戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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なぜ中国の「日本研究者」たちは影響力ないのか

今日の横浜北部は朝から快晴でしたが、やはり朝晩はこたえます。

それにしてイギリスではこれくらいの寒さは秋口から普通でしたから、自分の身体がなまったといえるのかどうか。

さて、翻訳や学校の仕事が立てこんでおりまして、なかなかブログのほうを更新できていないのですが、今日は久々に面白い話を仕入れてきましたのでその話を簡単に。

ある有名な歴史系の先生の話です。

その先生が現在勤めているところには、中国人の日本研究者たちがけっこう多いそうで、現在の日中関係の状況に憂慮した先生が、自分のところに来ている中国人たちに、

「ここで仕事を終えて国へ帰ったお前らの先輩(の日本研究者)たちは、こんなときになぜ北京政府にアドバイスしないんだ?

と聞いたそうです。そしたら彼らのこたえは、

先輩たちはみんな中国で日本語教師やってます

とのこと。

なぜこうなるのかというと、そもそも日本に留学してこようとする日本研究者の卵たちというのは、はじめは「日本語」という語学専攻でやってきたというパターンが多いわけで、語学以外の専門分野を学ぼうとしてやってきたわけではなかったという事情があるとか。

そのような彼らは、語学だけは得意ですから、日本語で論文を書けるようになるまで上達するらしいのですが、いざ中国に帰ると、中国語で論文を書く訓練を受けていないので、日本を専門にした研究者にはなれないことになってしまいます。

ようするに彼らは「日本研究者」ではなく、とりあえず生き残るために稼ぐ「日本語教師」になってしまうパターンが多いとのこと。

しかも語学の専門家というのは、たとえば(日本の)政治の専門家たちよりも格や社会的ステータスが低く、学者として尊敬されないために、どうしても中国における日本研究者、ひいては日本側の事情を北京中央部に正確に伝えることのできる人が少ないということになってしまいます。

これは構造的な問題なのかもしれませんが、こういうところで国益を損ねているのは、いわゆる「大国の自閉症」を持つ中国側ということになるんでしょうね。

まあ中国にかぎらず、大国から非大国に学びに来て帰った人々の事情というのは、どこでも似たようなものなのかもしれませんが・・・


Commented by 中山太郎 at 2014-01-13 19:04 x
奥山先生の目から鱗が落ちるような鋭いコメント。今までの日中学術交流なるものの弱点をうまく言い当てておられますね。戦後日本は、少なくない金、エネルギーを費やし、中国人学生、学者が帰国後日本びいきにならなくとも、せめて冷静な対日思考をして、それが要路の層に届くことを願ったんですが無駄だったのです。中国の国情への理解が浅かったのです。ひょっとして、米に対しての理解も浅すぎるのでは。
Commented by sdi at 2014-01-14 23:59 x
>いざ中国に帰ると、中国語で論文を書く訓練を受けていないので、日本を専門にした研究者にはなれないことになってしまいます。
これは、日本に留学する学生が中国で受ける教育課程の問題ですね。つまるところ、研究者を養成するコースを学んでいない(入れてもらえない)レベルの人しか日本に来ないということになってますね。
日本人の院生や博士課程の人たちが羨む奨学金を出してもらって母国に帰って就く職業が日本語教師というのは・・・・・・・。
そろそろ奨学金の使い方を見直すべきではないでしょうか?母国語で論文書けないというのは、ちょっと問題ではないでしょうか?
Commented by Marc at 2014-01-15 04:29 x
留学生のレベルの問題に関しては、sdiさんの言う通りだと思います。ただ極稀に、地理的に近いから選んだ、という人(アメリカに行くだけの実力も資金もあるにもかかわらず)もいるのでそういう人を巧く育てる必要があります。そもそも、せっかく留学してきたのに、論文を書けるような教育を施しているのか?という疑問があります。多くの日本の大学では、留学生を受け入れると人数に応じて補助金が出るというシステムになっています。さらに雑用係が欲しいという各研究室やゼミの事情もあります。このような状況では、帰国後日本語教師という選択肢も、仕方がないのでは。むしろ日本嫌いにならずにいてくれるだけまだましだと思われます。
Commented by touge at 2014-01-15 22:34 x
これはそもそも逆ではないでしょうか。
つまり、影響力の無さそうな人材が、(特別なコネも無いため)アメリカにも欧州にも行けず、残った選択肢として日本にいく。20年前のアフリカからの留学生も同じでした。
by masa_the_man | 2014-01-12 22:44 | 日記 | Comments(4)