戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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サイバー紛争に関する3つの学派

今日の横浜北部はまた朝から快晴でした。最近本当に天気のよい日が続いているような。

さて、最近読んだサイバー戦に関する本の中に興味深い三分類についての分析があったのですが、時間がないのでここに簡単にメモ代わりに書いておきます。

サイバー紛争やサイバー戦争と呼ばれる、情報通信技術の爆発的な進歩による新しい紛争(第5次元)の戦略理論についての議論はかなり以前から行われているわけですが、最近ちらっと読んだ文献の中には、この理論については現在大きくわけて3つの学派がそれぞれ議論を展開しているとのこと。

1つ目の学派が「革命派」と呼ばれる人々であり、情報通信技術の発展には革命的な力が備わっており、これからどんどん世界を変えていき、「サイバー戦争」(cyber war)が起こると断言する人々のことです。

彼らの代表的なのが「世界サイバー戦争」の著者であるリチャード・クラークや、ベテランのロンフェルト&アキーラなど。

2つ目の学派が「保守派」と呼ばれる人々で、コリン・グレイとその弟子のデヴィッド・ロンズデール、そして最近話題のトム・リッドなど。

彼らはクラウゼヴィッツを多く引用しつつ、人間は基本的に変わらないものだから、いくらテクノロジーが進化しても戦争の「地理」が一つ増えるだけで、サイバースペ―ス単独で戦争が決せられるわけがないとして、「サイバー戦争」という概念に否定的です。

3つ目の学派はちょうどその中間で、「たしかに変わった部分はあるが、それでも劇的な変化というわけではない」という、いわば「中庸派」とでもいうべき立場。

たとえばこのモノグラフなどが典型なわけですが、その議論の土台にあるのが「人間が決めることだ」というもの。選択肢は人間が持っているわけであり、それほど恐れすぎてもいけないということです。

結局のところこのようなサイバーにかんする戦略系の議論は、テクノロジー、人間、そして国家や社会という要素の絡み合いとバランスの話になる、ということで。


Commented by 待兼右大臣 at 2013-11-22 00:23 x
単純化して言えば
革命派=累積戦略派
保守派=順次戦略派
といったところでしょうか。

問題は、その閾値が定量化できずに、論者の主観に依存しているということでしょう。どちらに触れるかなどということは、私には分かりません。

参考例として、交通機関で言えば、鉄道の移動時間で
8~7時間と4~3時間で断絶ができます。
(この「閾値」を挟む変化であれば「革命」となります。例えば、英仏海峡トンネル開業で、ロンドンーパリ間の夜行連絡船がなくなりました)


前者は夜行か昼行か
(東京ー大阪間が6時間半で「日帰り圏へ」:ビジネス特急「こだま」
後者は鉄道か飛行機か
(空港立地にもよるが、鉄道4時間で互角、3時間で鉄道有利)

それ以外では、順次戦略が妥当すると思います。
情報の伝達速度が変わることで、意思決定は変革されるかもしれませんが、実体物の物流が変わらなければ、兵站は変わりようがないです。
by masa_the_man | 2013-11-18 23:51 | 日記 | Comments(1)