戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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経済格差はテクノロジーと学歴のせいか?

今日の横浜北部は朝から快晴でした。それでもかなり冬に近づいてきたような。

さて、テクノロジーという教育と経済格差という、少し込み入った話についての記事がありましたのでその要約を。

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経済格差の台頭を見直してみよう
Byエデュワルド・ポーター

●アメリカ人の多くは「大学卒業資格は、経済面での成功を約束してくれる」という考えに疑いをいだきつつある。

●ある大学関係の機関が行った意識調査によれば、答えたうちの46%の人々――これには18歳から29歳までの人々の半数以上が含まれる――が、大学の学位は成功には必要ないと答えている。2011年のピュー研究所の調査によれば、アメリカ人の中で大学の学位は「良い投資である」と考えているのはたった40%だという。

●ドルあたりの換算でいけば、学位の効果を疑っている人はまちがっていることがわかる。たしかに最近の卒業生にとって就職状況というのは厳しいのだが、それでも大学卒業の学位を持っている人間は高卒のほぼ2倍の額をかせぐことができるのだ

●もちろん大学の授業料はこれまでにないほど高くなっているが、人生全体で見ると学士の学位は3650万円ほどの価値があるといわれており、しかもこれは学校に行く際にかかったすべてのコストをすべて差し引いて残った額なのだ。OECDの調査によれば、アメリカの学位の価値というのは、先進国の中でも最も回収額の高いものであることになる。

●それでも政治家や多くの学者たちが「高等教育はアメリカの中間層の人々を豊かにし、収入の格差の広がりに対抗するための武器である」と考えてきたこの鉄則について、何人かの経済学者の中では疑いは高まっているのだ。

●これについて新たな批判も発生しており、主に政治的に左派のほうから「教育の差は経済格差を生み出す主な原因だ」というアイディアに異論が唱えられはじめている

●「過去15年間で完全に明らかなのは、教育による賃金の差は、全体的な賃金の差につながっていないということだ」とはEPIというリベラル系の経済研究所の所長だ。「ここ15年で賃金の格差はかなり広がってますが、教育が高いことによるプレミアムはほとんど変わっておりません」

●ハーバード大学のローレンス・カッツとクラウディア・ゴールディン、そしてMITのデビッド・アウターが提唱したテクノロジーと教育の関係性についての分析法は、きわめてシンプルな前提によってできている。つまり、テクノロジーの進化は高い教育を受けた人材の需要を高め、彼らが生産性を上げて収入も高めるというものだ。商取引と同じように、これによってスキルの低い仕事は時代遅れになり、以前は固いとおもわれていた中間層向けの仕事がどんどん失われているというのだ。

●このような歴史の解釈によれば、テクノロジーの発展――それと80年代に急速に低下した大学の卒業率――というのはアメリカの収入格差の広がりの最大の原因になっており、教育の低い労働者を置いてけぼりにしたというのだ。

●ところがミシェル氏のような批評家は、この理論に大きな穴があるとしている。たとえば、この十年間で大学の卒業率は低下したのに、なぜイノベーションが驚くべき勢いで進んでいるのか、という点だ。2000年から2008年に最低限の学士の資格を持っている男性の平均年収はインフレを差し引いても20万円落ちて703万円になっている。2008年から2012年までの期間ではさらに35万円も落ち込んでいる。女性でもこのパターンは似たような感じになっている。

●もちろん両者は2000年以降の労働市場全般の需要の低下が原因の一つであることは合意している。カッツ教授が述べているように、「われわれがこの期間に広範囲にわたって経済的な恩恵を受けることができた瞬間に労働市場はすでに飽和状態にあった」のだ。

●それでもここ十年間の雇用の増加がかんばしくない理由――そして90年代後半の急激な拡大の後のことだが――は、テクノロジーとスキルの関係性では何も説明できないのだ。

●とくにこのスキルとテクノロジーの関連性についての理論で説明できていないのは、ここ30年間の最も込み入っていて重要な動きである。それは全米の人口の中の「1%の人々」の台頭であり、彼らが去年のアメリカ経済が生み出した富の4分の1を溜め込んだということだ。

●カリフォルニア州立大学バークレー校のデヴィッド・カード氏は「学士の資格を持っているかどうかというのは、それほど少数の人口に富が集中している構造の中ではほとんど意味がないと思うんですよ」と述べている。

●ミシェル氏は格差の台頭の説明として、構造的な面があることを強調している。スキルの低い労働者たちの最低賃金のカットが縮小しつつある中で、貿易の障壁が消滅し、規制緩和や労働組合の減少などが進んでいることから、中間層の収入が減ってしまったというのだ。

●彼によれば、1%の台頭は会社のトップたちの収入の増加にのおかげであり、金融の影響力がアップしているからだという。カッツ教授とオーター教授も、労働市場における経済的利益の不均衡な分布状態を改善するための一連の政策が必要であることは認めている。その政策には、サービス産業の最下層にいる労働者たちの最低賃金を上げるようなことや、勤労所得税控除を広げることなどが含まれる。

●また、さらなる技術訓練は高卒の労働者たちのスキルを上げることになる。高所得者に所得税を高くかけるようになるとトップの収入の減少にもつながってしまう。しかしおそらくもっとも重要なのは、マクロ経済の政策のやり方によって失業者の数を減らして維持することであろう。

●「教育はたしかに一つの解決法かもしれませんが、それでもそれが完全な答えを与えてくれているわけではありません」とはカッツ教授の言葉。

●「教育とテクノロジーの発展が最近の格差の主な原因だ」とする分析が間違えているのであり、その反対は単に政治家に「政策で解決できる問題ではない」と言い訳を与えてしまうだけだ。「すべての経済学者たちは、このような単純な見方を断固として拒否すべきなんですよ」とはオーター教授の弁。

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結局は制度設計の問題だと左派の研究者たちは言いたい、と。


Commented by 大阪人K at 2013-11-17 23:42 x
実際は親の経済格差が学歴に与える影響の方が大きいのではないでしょうか。それこそ”コネコネコネ”の世界ですから・・・(苦笑)

後、左派系の学者の卑怯と思えるところは、そのテクノロジーの代表であるインターネット動画を活用して無料公開授業をしないところでしょうか。

それをせずに格差社会の恩恵をウォール街のエリートと同様に受けている左派系学者の姿は偽善ですらなく、滑稽にしか見えません。
by masa_the_man | 2013-11-16 23:59 | 日記 | Comments(1)