コリアタイムズの社説:日本の軍の復活 |
さて、またしても重要な韓国の「世界観」について。今回は韓国の二大英字新聞の一方の雄であるコリア・タイムズ紙の、昨日の社説です。
これも日本の集団的自衛権の議論についての意見なんですが、彼らの「恐怖感」や複雑な感情というものがよくわかるという意味で、なかなか貴重なものかと。
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日本の軍の復活:韓国の北東アジアの動乱にたいする備えは万全か?
●韓国の人々をがっかりさせたことがある。それはアメリカが日本にたいして、地域と全世界の両レベルにおける軍事的な役割の拡大を促したことだ。
●財政面で制約を受けつつあるアメリカには、中国の台頭を抑止する上で日本の助けを求める他にはほとんど選択肢が残されていないともいえる。日本にとっても中国が地域のリーダーとしての役割を担うところを見るのは嫌なので、これは日米両政府にとって「ウィンウィン」の状態である。
●ところが韓国にとってはこの状況はかなり異なる。結局のところ、韓国人たちは日本の軍事面での復活をただ指を加えて見ているだけというわけにはいかない。なぜなら以前の宗主国である日本は、過去の悪行にたいして心から懺悔をしていないし、謝罪もしていないからだ
●さらに日本の政権トップは、過去の帝国時代を恋い焦がれているようにも見える。韓国にとってはこれは「一度怖い目に会うと二度目は臆病になる」ということだ。
●そして韓国側にとっても、中国の台頭を妨害するための日米韓の三カ国同盟に参加するには無理がある。なぜなら韓国政府は日米両国に、経済面や、北との争いに優位に立つことに関して、そこまで頼ることはできないからだ。
●韓国政府はアメリカ政府にたいして、アメリカが日本の(集団的)自衛権――これはもしアメリカが攻撃を受けた場合には日本が助けにこれるようにするものだが、これは結局のところ日本の軍を全般的に復活させることにつながるはずだ――について支持を表明した、先月の日米の外相と国防長官同士による「2+2」の会合の後に、韓国側の事情を説明すべきであった。
●アメリカの日本への支持表明は、韓国の朴槿恵大統領が米国防長官のチャック・ヘーゲル氏と会談した時に日本の自責の念の欠如について批判を行ったにもかかわらず行われたのだ。
●これはつまり、韓国政府が「実質的に機能する三カ国の同盟関係の前提条件として、日本政府が明白に歴史の悪行を認め、それを二度と繰り返さない」という点を明確にすべきであったということだ。
●これはわれわれが韓国大統領の主要安全保障アドバイザーである金章洙(Kim Chang-soo)が、最近アメリカにたいして「われわれは韓国政府の許可を得ないかぎり、日本の集団的自衛権によって韓国領内における日本の軍隊の活動を認めない」と求めつつも、実質的に日本の集団的自衛権を認めたことにたいして非常に大きな懸念を抱いている。
●識者の中には、「韓国には日本が主権を行使を阻止したり、日米というわれわれよりもはるかに大きな同盟国たちに影響を与えられるような外交的な余裕はない」という人々もいる。
●たしかにこのような現実主義者たちは正しいのかもしれないし、韓国人はこの点について最小限の要請をするだけで満足すべきなのかもしれない。
●ところが問題の核心は、このような消極的なスタンスが米韓同盟を日米同盟の下に従属させてしまうという点にある。そしてさらに根本的な問題は、戦時の軍の指揮権や、安全保障面で北からの脅しや日本の軍隊が朝鮮半島に戻ってくる可能性などについてアメリカに依存しきっている中で、韓国政府側に独立した戦略思考が欠如しているところにあるのだ。
●ほとんどの韓国人は自国の政府が、地域の安全保障の管理において、南北和解の実現や米中間の外交の綱渡りを上手く行うことによって、従属しているのではなく、独立した意志と能力を持っているのかどうかを知りたがっている。
●韓国は、周囲をはるかに大きなプレイヤーたちに囲まれている小国である。生き残るための唯一の方法は、自立した先見の明のある国家戦略を使うことであり、依存した、その場しのぎの対処ではないのだ。
●韓国人にできるのは、自分たちの政府が「自立した先見の明のある国家戦略を使うこと」を祈ることだけだ。
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ここでのキーポイントは、「南北和解」と「米中間を綱渡りすること」が韓国自身の戦略の独立性につながると(少なくともコリアタイムスのトップたちが)考えている、という点でしょうか。
非常に勉強になりました。