三浦雄一郎氏の講演会 |
さて、先日行ってきたプロスキーヤーで冒険家の三浦雄一郎氏の講演会について少し。
三浦雄一郎氏といえば、なんといっても今年5月に世界最高齢(80歳)でエヴェレスト登山を達成したスゴイ人なんですが、帰ってきてからは毎日のように日本各地で講演を行っておりまして、新聞などにもその話の内容が少し出ていたりしております。
私もそのような報道を目にしていたおかげで、だいたいの話は想像していた(wiki)のですが、報道にはあまりなかった大怪我からの回復の話や心臓の手術の話などが生々しくて、個人的には非常に興味深いところがありました。
また、講演開始の前に見せるフィルムの出来も素晴らしく、これだけ見ていれば本人の話もいらないほど(?)のリアリティのあるドキュメンタリーでした。
ただし、個人的にとても気になったのは、三浦さんがあまりにもずば抜けてスゴイ人なので、彼が得たものは、われわれのような一般ピープルにとってはろくな教訓にならないんじゃないか、という点です。
話を聞いていると、そもそも高校時代から毎年飲まず食わずで竜飛岬周辺を野宿して歩くということをやっていたり、大学時代は毎日スキー漬けで、立山で合力やっていた時には100キロくらいの荷物を担いで山に登っていたとか、とにかくすごすぎるのです。
彼の結論としては、年をとると出来ない理由が増えるが、できることのほうに意識を集中させて、どうぜやるなら楽しくやりましょう、ということで普遍的な応用性が効きそうなもので、これはまさにその通りだと思うんですが、彼は基本的にスーパーマンであり、その原則は普通の人間には適用できないのでは?という感覚が拭えませんでした。
これは一般的な「偉人」と呼ばれる人たちの講演会にも共通して言えることですが、本人たちが無意識にできていながら、すでに「前提」となっていることが、実は一般人にとって最も知りたいことであるのにもかかわらず、彼らはその「前提」に気づいておらず、その先のとうてい及ばないレベルにおいて話をしているということがしばしば。
ただし純粋な達成物語としては感動できること間違いなし。とても勉強になった講演会でした。