戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28

機甲戦の理論と歴史の講演会に参加してきました

今日の横浜北部は朝から雨が降ったり止んだりしておりまして、けっこう気温も低かったような記憶が。

さて、本日のことですが、学会の関係で元自衛官の葛原和三氏の講演会の司会をしてきましたのでその報告を。

講演者の葛原氏は三重県出身の元自衛官。陸上自衛隊幹部学校で戦史教官を務めて今年の三月に退官され、現在は靖国偕行文庫の室長であります。

講演は基本的に葛原氏のロングセラー本の内容を元に二部構成になっており、前半は機甲戦の思想がヨーロッパでどのように発展してきたか、そして後半は日本でそれがどのように受容されてきたのかという経緯についての概論でありました。

もちろん私の専門は「戦略の階層」で言えばもう少し上の話が得意なので、正直なところ作戦レベルの話は難しかったのですが、個人的には前半の用兵思想が出てきた経緯の部分の話はかなりヒットしました。

とくにナポレオンとモルトケの用兵思想の違い(内戦作戦vs外線作戦)の以下の説明は興味深かったです。
b0015356_18111047.jpg


ただし用兵思想の流れについての以下の説明については、よくまとまっているとは思いますが、ちょっと微妙かなという感じが。
b0015356_1830454.jpg


唯一残念だなぁと思ったのは、戦後や現代までどのようにつながったのかについてほとんど触れられなかったという点でしょうか。

個人的にはこれを補う形としてはこのベラミーの本がかなり良いと思っているのですが、どうやらこれはすでに絶版なようで。

その内に時間がありましたら、このベラミーの本の内容を紹介してみようと思っております。

ということで、ほとんど講演内容の説明にはなっておりませんが、詳しくお知りになりたいかたはぜひ以下の本を参照にしてください。文体や構成も意外にやさしく書かれており、硬さはないです。

b0015356_1816689.jpg


余談ですが、ネット上で有名な「逆神」様もご来場でした。本物を見たのは初めてだったので、非常に感慨深いものが。


Commented by 待兼右大臣 at 2013-10-05 20:31 x
コメント場所を間違えました。

「つかみ」のガルパンネタで言えば
あひるさんチーム(九七式中戦車搭乗)の「もっと火力を」という言葉が
真実だったということが、本日の葛原元一佐の講演で理解できました。

本論で言えば、現代の戦車を巡る状況として
1 機動力と打撃力は航空機や対地ミサイルで代替でき、
2 COINや対テロ戦争では鈍重である
3 機甲兵団(「進撃の○○」とは何の関係もありません)を必要とする
 会戦が生起する可能性は低い
という批判が考えられるのですが、それについてどのように考えるのかという質問を考えていたのですが、時間の関係で出来ませんでした。
Commented by touge at 2013-10-05 20:41 x
有名な逆神って、あの北浜さん?
Commented by 待兼右大臣 at 2013-10-05 20:47 x
帝国陸軍の作戦構想で言えば
1 持久戦体制を構築する
2 持久戦体制は不可能だから、速戦即決主義を取るしかない
という2つの立場の対立があり、前者の中心人物がが田中義一、宇垣一成であり、後者の中心人物がが上原勇作でした。

本来は持久戦派である石原莞爾が起こした満州事変が、宇垣閥対反宇垣閥の対立に利用されたという側面もあると思います。

当時の南陸相は宇垣派で、反宇垣派(一夕会)が担ぎたい「みこし」であった林銑十郎朝鮮軍司令官の「独断越境」(これで林は「越境将軍」と呼ばれ、後に首相にまでなる)で面子を潰された格好となります。

歴史の後知恵で言えば、総力戦派が築こうとしていた「陸軍省優位」(とその(意図しない)結果としての「シビリアンコントロール(内閣による陸軍省を通じた陸軍の統制)が頓挫したともいえます。
Commented by 待兼右大臣 at 2013-10-05 21:03 x
戦前は、好意的に見れば、兵站軽視というよりも、社会インフラ整備を含めた総力戦体制の構築が不可能なので、そもそもインフラを必要としない(兵站不要)の作戦構想を樹立せざるを得なかったかもしれません。

鉄道輸送で言えば
日本の在来線では、幅3m未満
欧州標準軌では、幅3.15M未満
と違いは15センチ程度です。
この15センチの差がどれだけ戦車の設計に影響を及ぼすかはわかりませんが、参考まで。

現在なら
「在来線が無理なら新幹線で運べばいいのよ」
(新幹線は幅3.4m未満)
というアントワネット的な発想もあります

しかし、現実的には、重量制限で貨物列車を新幹線で運行するのは難しいでしょう(新幹線のような幹線では、1000トンから1300トン位の貨物を運搬できる貨物列車の運行が必要)。
Commented by 待兼右大臣 at 2013-10-05 21:05 x
>>あの北浜さん

いえ、○浦氏です。
Commented by 待兼右大臣 at 2013-10-06 23:07 x
ちなみに「ガルパン」は、東京では、毎週日曜23時からMXで再放送されています。
Commented by sdi at 2013-10-08 00:32 x
待兼殿のコメントに追加みたいなものですが
>1 持久戦体制を構築する
>2 持久戦体制は不可能だから、速戦即決主義を取るしかない
昭和期の陸軍軍閥抗争史において、前者の流れが「統制派」、後者の流れ「皇道派」とよばれています。このあたりの話は、先月発売の歴史群像の田村尚也氏の記事に上手く纏められています(あの場所にいたかな?)
日本の機甲部隊は、統制派の宇垣軍縮はじめとする「平時の質、戦時の量」重視の軍備と国家生産力の増強・統制政策がなければ恐らく成立しえなかったでしょう。しかし、今回の講義に出てきた吉田眞将軍が策定したさまざまな文書の内容をみると、明らかに速戦即決、仮想的は中国大陸の装備劣等軍になっているとしか思えませんでした。このあたりの矛盾について葛原元一佐の見解をお聞きしたかったのですが時間切れでできませんでした(笑)
by masa_the_man | 2013-10-05 18:19 | 日記 | Comments(7)