戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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「バイトがネットにイタズラ画像」事件と戦略論:まとめ

長くなったのでまとめます。

今回の一連のエントリーの結論として、私は三つのことが確実になった考えております。

ただしこれらは私の独断と偏見ですし、私の専門外のことでもありますので、目くじら立てて「違う!」と言われても困ります。あくまでも参考程度に考えていただければ。

===

1、今後もバイトによる不祥事がどんどん起こる

数日前に知り合いが紹介してくれた以下の写真をまず見ていただきたい。
b0015356_17563853.jpg

これはアメリカがアポロ計画で月に人を送り込んだ時に使われたコンピューターよりも、われわれの携帯ののほうがはるかに強力で高性能だ、ということを示した写真です。

つまりわれわれはかなりパワフルなコンピューター(とネットワーク)をすでに手にしているわけですが、この圧倒的な潜在的破壊力は「戦略の平坦化」につながる、まさに「猿にマシンガン」、もしくは「アムロにガンダム」状態。

また、この新しいテクノロジーは「アホ」をどんどん可視化して公共化できてしまうところに問題があるのかと。

ここで断っておきたいのですが、おそらく今回のような冷凍庫で寝っ転がったり店の倉庫でソーセージくわえてしまうようなイタズラというのは、それこそ太古の昔から「アホなバイト(丁稚、店番など)」によって、時代に関係なく常に行われていたということです。

戦略論でも常に話題になる「変わることと変わらないこと」のうちで、人間(の本性)というものは「変わらない」わけですから、「アホな人間」というのは以前も変わらずに存在したことがおわかりいただけるかと。

ところがこの「変わらずにアホ」であった人々の行為を文字通り「世界」に発信できるようにしてしまったのが最近のテクノロジーの驚異的な発展であり、これが以前とくらべて大きく「変わった」点なわけです。

そして彼らのイタズラを止める効果的な方法というのはないわけで、とりあえず当分は日本の社会全体がこのような「バイトのイタズラ炎上事件」に慣れるしかないということになります。そうなると今後も「トライ&エラー」の状態が続くことになります。

2,社会がギスギスしてくる

ところが会社側もやられっぱなしではないですから、「アホなバイト」を抱えているリスクをなんとかしようとして、そのための対抗策を色々と考えることになります。

その一例が、昨日のステーキハウスの閉店のニュースからもわかるように、まずは「見せしめ」的な意味で損害賠償を加害者のバイト君に請求することですが、このように「雇う会社側」と「雇われているバイト側」との間の訴訟や法律面での紛争は、今後も確実に増えていくでしょう。

また、予防措置・リスク回避のために、雇う側も色々と雇用前にバイトの人々とキッチリと契約書を交わしたり、防止対策として普段の行動規範などについての厳密なマニュアルの作成などが(それが徹底されるかは別として)進むことも確実です。

もちろんこれは日本でいままであいまいにされてきた(そしてブラック企業などにつけいるスキを与えていた)部分が明確化されることなので、労働基準という観点から考えれば日本の労働環境全般にとってメリットになるという議論もできるでしょう。

ところが逆の見方をすれば、いままで「あうん」の呼吸でやっていた曖昧な「あえて言挙げしない」、もしくは「以心伝心」的な、伝統的な社会文化的な部分を暗黙知の部分を破壊することになるわけですから、社会全体にそれなりにストレスが(とくに古い世代の人間にとって)感じられるようになるのは間違いないかと。

3、「バカなバイト」の雇用はどんどん削減される

もちろん産業革命の昔から単純作業の自動化は進んでいた部分はあるのですが、最近のテクノロジーの進化はすさまじく、いままで考えられなかったような範囲にまでその自動化が進んでおります。

ようするにテクノロジーの進化というのは「ロボット化」につながるわけですが、それが雇用に与えるインパクトは絶大です。

たとえばイギリスですが、ここ2年ほどで大手スーパーなどのレジが軒並み「セルフ化」しておりまして、店番のレジ係などの仕事がどんどん減らされてきております。

しかもこれは先進国だけの特殊な例というわけではなく、以前も本ブログに載せたエントリーにもあったように、テクノロジーの進化というのは全世界の雇用を全般的に減らしております。

たとえばフィリップスというオランダの大手電機メーカーですが、テクノロジーの進化により中国で多くの人を雇っていたのにもかかわらず、首切りをして工場を自国に戻したが、実際にはあまりにも工場内部のロボット化が進みすぎていたために、本国における雇用の創出にはほとんど貢献できなかったという例もあります。

また、このような雇用の絶対数の低下だけでなく、その「質」が変わってくるパターンもあるかと。

たとえばコンビニの例から考えれば、今後はイタズラをするような若い男子を雇うのはやめて、(どちらかといえば)イタズラをしない女子の採用が増えたり、また、ちょっとダークなところでは、イタズラをしそうもない真面目な(オーナーから脅されている?)外国人の学生などにバイトの職が行くことも。

また、CCTVなどによる(非公式な)監視なども、これからどんどん積極的に行われていくようになるのかと。

===

まとめますが、今回の一連のバイト炎上事件の本質にあるのは、私の見方では「テクノロジー」であり、またそれにたいして社会が順応できておらず、おそらく今後も順応していくのは大変なのは、戦略論の一連の議論を参考にしていても明白だ、というものです。

今後はこのようなテクノロジーに対する扱いをできるかできないか、つまりは教育/判断力のある・なしで、日本の社会の中でさらなる極端な雇用の二極化が進むことが考えられますし、この流れはもう止まらないでしょう。

すでに本ブログを読んでいるような「テクノロジー・リテラシー」があり、知性の高い方々にとってはこの問題は関係ないと言えるのかもしれませんが、問題は「アホなバイト君たち」をコントロールしていかなければならない国や組織や会社の人々です。

なぜなら彼らは「核兵器を手にした単なる一兵卒」を相手にしなければならないわけですから。


※余談ですが、このような(テクノロジーに原因のある)若者の雇用の状況改善を常日頃から訴えている日本共産党のような左派が、今後は確実に票を伸ばしてくるという状況もありえそうです。



Commented by だむ at 2013-08-15 00:53 x
低賃金雇用とエリート層の二極化が今まで進んできたけど、今後はそうした低賃金雇用が減少消滅して、エリート層と「バカな行為で企業にダメージを与えるおそれがない存在」つまり機械による代替が進ことになりますかね
Commented by xyz at 2013-08-15 18:35 x
自動つり銭機能付きレジの普及と、外国人レジ打ち店員の増加って同時進行していったように思いますが、これって質の期待できない店員をテクノロジーによってカバーした例じゃないんでしょうか。

自動つり銭機能付きレジのレジって現金がはいっている場所は鍵がないと開けられない構造になっているため、店員がネコババできないようになっており、更に機械がつり銭を勘定するので間違いもないわけで、店員の素養が低くても問題が起きないという店側にとっては大変ありがたい機械なわけです。

こういう例から、素養の低い店員を雇わないという方向だけではなくて、テクノロジーでフォローしていくという方向もあるんじゃないでしょうか。
Commented by 大阪人K at 2013-08-15 23:42 x
今回のお話で思ったことを

1:アホがやらかす。←今、ここ

2:テクノロジーでアホを雇わないようにしようとする。

3:でも完全に人をなくすことはできない。(そのテクノロジーを研究、開発、維持管理で人が必要だから)

4:もちろんテクノロジーを維持発展する人は優秀な人であるが、人間の本質であるアホからは逃れない。

5:そして、やらかして”1”に戻る。

以後、1~5の繰り返し。

と思ってしまいました。(笑)


幾らエリートだからといって、人間である以上は己のアホから逃れきれるとは思えませんから。(苦笑)
Commented by えんき at 2013-08-16 00:55 x
案外、知能労働の方が単純労働よりも早く減少して行くかもしれません。人件費を削減するにはその方が効率が良いのですから。人工知能の登場によって、ホワイトカラーの殆どはお払い箱です。

問題は、働く場所が無く給料が支払われないと成れば、当然消費も無くなるので、現状の経済というのは成り立たなくなる訳です。これに対してベーシックインカムのように金を配って消費経済を継続するという解決法を採ると、やがて資源を使い尽くしてしまい、残り少ない資源を巡って最終戦争が起こって文明が破壊されてしまうでしょう。反対に、要らなくなった人口を単に削減するとなると、科学文明を維持発展させていく人材が足りなくなってしまいます。

この矛盾を解決するには、やはりサイボーグ化しか無いと私は考えます。これなら、生まれながらの知能差というのは最早関係なくなります。どんな馬鹿であっても、現在一流の科学者よりも遥かに優れた電子頭脳を手に入れる事が出来、それによって少ない人口でも文明を発展させていく事が可能に成る筈です。
Commented by 通りすがり at 2013-08-16 02:01 x
昔おしとやかな女子がコンビニの店員(男)は怖いから行きたくないと言ってた。もっと酷いのになるとペッパーフードの店員男二人による女性客の監禁レイプ事件もありましたね。店番って今も昔も変わらず所詮底辺の馬鹿なんだろうw コンビニなんか不祥事起こしたら店ごとFC契約打ち切りだもんね。
Commented by へなちょこエンジニア at 2013-08-16 06:34 x
>日本共産党のような左派が、今後は確実に票を伸ばしてくるという状況もありえそうです。
「猿に選挙権」
Commented by musi at 2013-08-16 16:20 x
とはいえ、雇われるアホなバイト側も社会を構成する一大勢力でして、このテクノロジーの変化は、彼らには逆に不文律を破るべきではないという淘汰圧の強化として作用するでしょうから、日本社会がどちらへ移行するかは分からないように思います。
Commented by masa_the_man at 2013-08-16 17:41
だむ さんへ

>機械による代替が進むことになりますかね

なるんでしょうなぁ。もちろん程度の差は職業であるでしょうが、かなりの部分は・・・コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2013-08-16 17:43
xyz さんへ

>質の期待できない店員をテクノロジーによってカバーした例じゃないんでしょうか。

なるほど、そうかもしれません。

>テクノロジーでフォローしていくという方向もあるんじゃないでしょうか。

あると思いますが、これだったらイギリスでやっているようにセルフレジにしたほうが効率よいと言えるのかもしれません。そうすると人がいらなくなりますよね。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2013-08-16 17:44
大阪人K さんへ

>以後、1~5の繰り返し。

ループのパターンですな(笑

>幾らエリートだからといって、人間である以上は己のアホから逃れきれるとは思えません

そうなんですよね、人間はおしなべてアホの要素を「絶対に」持ってますので。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2013-08-16 17:47
えんき さんへ

>人工知能の登場によって、ホワイトカラーの殆どはお払い箱です。

なるほど、そうきましたか。

>当然消費も無くなるので、現状の経済というのは成り立たなくなる訳です

その通りですよね。

>これに対してベーシックインカムのように金を配って消費経済を継続するという解決法を採ると、やがて資源を使い尽くしてしまい、残り少ない資源を巡って最終戦争が起こって文明が破壊

一つのシナリオですが、ありえない話ではないですね。

>この矛盾を解決するには、やはりサイボーグ化しか無いと私は考えます。これなら、生まれながらの知能差というのは最早関係なくなります。

これはどうなんですかねぇ。いくら知能(知識と情報処理能力)が高まったとしても、肝心の「判断力」が本当に磨けるのかどうかというのはまた別問題のような気が・・・しかし興味深い話です。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2013-08-16 17:49
通りすがりさんへ

>店番って今も昔も変わらず所詮底辺の馬鹿なんだろう

もちろん全員が全員そうだとは言えませんが、そういう人材が集まりやすい部分はあるんでしょうかねぇ。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2013-08-16 17:50
へなちょこエンジニアさんへ

>「猿に選挙権」

一言で斬りましたね(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2013-08-16 17:52
musi さんへ

>彼らには逆に不文律を破るべきではないという淘汰圧の強化として作用する

ただ問題は、作用してもやりそうな奴がいるという点でしょう。ダチョウ倶楽部と一緒です。「やるなよ」がやっちゃうわけですから。

>日本社会がどちらへ移行するかは分からないように思います。

私はギスギスしていくという方に100カノッサです。ただしこれが見方によれば「良い」ということにもなりますので、見る人によって感じ方は違うかもしれませんが。コメントありがとうございました
Commented at 2013-08-17 00:29 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by masa_the_man at 2013-08-18 21:06
waterlooさんへ

>失敗の多い人とばかり組まされると能力の高い人は店を移ります

なるほど。

>“現場レベル”での優秀というものもあるのではないかと。

それはもちろんありますね。これは旧軍などを見ててもその通りですし。

>現場レベルでは判断できなかった

アメリカでも日本と同じように南北戦争ではこの逆のパターンがありますね。現場の指揮官としては超優秀だったのたのに、軍全体を指揮させたらサッパリだったので現場に戻したら復活したという。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2013-08-15 00:01 | 日記 | Comments(16)