戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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「バイトがネットにイタズラ画像」事件と戦略論3

今日の横浜北部はよく晴れましたが、数日前のような狂ったような暑さは少し落ち着いているような気が。

さて、2日連続で続けての最近の「バイトがネットで写真を載せて炎上」事件についての話をまとめます。

昨日は「戦略の平坦化」に対処する方法の一つとして出てきたのが、元米陸軍少将のロバート・スケールズが提案した「徹底した教育」であったことを述べたわけですが、もちろん徹底した教育を兵士全員に行うのには限界があるわけですから、どうしても「無理」が生じてきます。

この「無理」が出てくる現象や様子、それにさらなる対処の仕方について、戦略学の世界では本ブログでもおなじみのエドワード・ルトワックが、すでにある概念を使いながら説明しております。

ではそれは何かというと「ポスト・ヒロイックな戦い」(post-heroic warfare)というものです。これを無理やり意訳すれば「死傷者の出ない戦争」ということでしょうか。

ルトワックは95年に発表したフォーリン・アフェアーズ誌の論文の中でこの概念を提唱しているのですが、簡単にいえば先進国で出生率が下がったことによって、社会の中で犠牲者の出る戦い(heroic warfare)が忌み嫌われるようになったということです。

そうすると、このような国ではやたらと危険で人的被害が出そうな任務を兵士に課すことができなくなり、おのずとその国や軍隊が使える戦術・戦略面でのオプションも限られてくることになります。

このようなジレンマを解消してくれたのが、アメリカにとっての「テクノロジー」であり、この進化は、とくに(すぐれたエアパワーを)「持っている側」にとっては、敵の破壊のためにわざわざ現場に兵士を送り込んで命を危険にさらす必要がなくなり、とっても好都合な状態が生まれる、というものでした。

とくに兵士の家族のため、そして自国民の命を大切にしたい政府のトップたちにとっては、たとえば無人機の使用はとても都合がよいことになるわけです。

もちろん無人機にはそれを使われて攻撃されている側に与える副次的な被害など、倫理・道徳的な問題が様々にあるわけですが・・・・。

ルトワックの議論を援用すれば、そもそも先進国では「出生率の低下」がはじまっており、これは同時に戦争やビジネスに「使える人材」が不足してくることを意味しているわけです。

しかも先進国では法的な制約も厳しくなってきているわけですから、個人(一兵卒やバイトなど)レベルまでに以前のような無理は押し付けられなくなってきています(無理にやったら「ブラック企業」と言われてしまうので)。

そしてそれを解消する意味で、最新のテクノロジーの開発が急がれたわけですが、あまりにもそれが進みすぎてしまったために、今回のような「副作用」が出てきているということです。

つまりイメージとしては、若い兵隊や人員の数が減ってきているのに、それを補うための質的な向上を約束してくれるはずの最新のテクノロジー(ビジネスの場合はカメラ付きの携帯電話、戦争の場合は強力な兵器など)が、かえってさまざまな問題を起こすことつながっている、ということです。

ここまで書いてまたまた時間切れです。続きのまとめはまた今晩遅くに更新します。


by masa_the_man | 2013-08-14 18:34 | 日記 | Comments(0)