戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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地政学:ミャンマーの中国パイプライン完成

今日の横浜北部は晴れておりまして、夏が戻ってきました。

さて、先月のパイプライン関連の翻訳の記事をもう一度。

このネタについては日本語で上がっているものでも地政学的な分析がやや甘いものが多いので、まずは資料をここにまとめておく意味で再掲載しておきます。

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中国の新しいエネルギールートの地政学
By K.ヨーメ

●中国国営の中国石油天然気集団(CNPC)は、ミャンマーから中国までつなぐ、天然ガスのパイプラインの建設を、先月の五月二八に完了した。同時に石油パイプラインもすぐに完成させるところまできている。

●パイプラインは7月1日に、ミャンマー西岸のベンガル湾から昆明(雲南省の首都)までガスを運び始めることになっており、石油パイプラインのほうは年内に中国の原油をペルシャ湾やアフリカから運び始めることになる。

●この中国への石油とガスの新しいルートは、この地域の地政学的な情勢にとって非常に重要な痕跡を残すことになり、主要国の戦略的計算にとってカギとなる要素を構築することになる。

●まずこのパイプラインは、中国が南西部の省とインド洋をつなげるという夢の実現を意味している。中国は研究者たちによって言われている、いわゆる「二大洋戦略」(two-ocean strategy)の完成に一歩近づいているといえる。これはインド洋と太平洋の両大洋で海洋コントロールを達成するということだ。

●パイプラインは戦略的にも非常にタイミングのよい時に完成している。エネルギー安全保障が地域の地政学にとって支配的となり、この石油パイプラインは、戦略的に致命的なマラッカ海峡を通る石油の3分の1の量の海上輸送をバイパスできることになったからだ。

北京はこの海域を「アメリカがコントロールしているシーレーンである」と見ており、いざ紛争になった時にはそこに資源を依存していることになるため中国の脆弱性が増すと考えているのだ。

●現在、中国の80%の原油の輸入はマラッカ海峡を通過しているのだ。

●このパイプラインのロケーションが重要な理由は他にもある。ミャンマーはこの地域の主要国の影響力を争う場となっているのだ。中国は段々とミャンマーの利害を高めていたが、最近のミャンマーの突然の変化は中国にとって思わぬ障害となっており、「新しいミャンマー」に対処し、アメリカと日本の新しい政策に対抗すべく政策を考え直さなければならなくなったのだ。

●中国はベンガル湾周辺の国々と政治的・経済的・軍事的な結びつきを強めており、主にその理由は、中東やアフリカからのエネルギーへのアクセスを確保するというところにあるようだ。

●これらの国々の中でもミャンマーは、中国の「インド洋につながる戦略的野望」にとって最も重要な国である。中国は公式的にミャンマーの国際社会への復活を祝っているが、同時に長期的な安全保障の権益を確保したいと考えているのだ。

●北京政府はこの代替的なエネルギー供給ルートの開設を、東シナ海と南シナ海における領海争いの状況への対抗策として見ている。ミャンマー中国パイプラインは、中国にインド洋へのアクセスをもたらすことになり、アジアの大国ゲームに新しい動きを及ぼすことになるのだ。

●ところが中国はすでにミャンマーにとっての「唯一の友」ではなくなっている。テイン・セイン大統領の五月の訪米はオバマ大統領のミャンマーへの歴史的訪問のたった半年後に行われているのだ。両国高官同士の交流の高まりは、アメリカのミャンマーにおける利害が大きくなっていることを示しており、これは「軸足」戦略にとって有利であるとアメリカは考えているのだ。

●アメリカはミャンマーの改革の支援を協調しており、ミャンマー側は「自国の大統領の訪米はアメリカからの投資を促すものだ」と期待している。

●中国の専門家たちは、米とミャンマーとの間の関係復活を、アメリカによる中国の台頭の「封じ込め」の一環であると見ているのだ。

●日本もミャンマーへの関与を復活させている。日本の安倍首相は五月にミャンマーを訪問しているが、この後には野党の代表であるアウンサンスーチー女史が訪日しており、日本は5億ドルもの新しいローンを提供しており、安倍首相の訪問中には174億ドルもの対日負債を帳消しにしている。

●その理由は、少なくともジャパンタイムス紙の記事で明確に述べられている。安倍氏の訪問の直前に書かれた論説記事では、「日本の動きの理由の一つは、中国の影響力の増大に対抗するためだ」と書かれている。

インドはこれまでのところ、あまり動いてはいない。中国の李克強首相が5月にインドを訪れた時に、「インドと中国は、共通の近隣諸国にたいする友好的な関係の強化を助け合う、互恵的、ウィンウィン的な結果を得るという点で合意した」と述べている。

パイプラインは北京にとってエネルギーの代替的な輸入ルートを与えてくれることになる。アメリカがこの地域の優位を保っていることから、中国にとってこれは極めて重要だ。ところが北京が長期的にこのパイプラインのおかげで得る戦略的有利は、ミャンマー国内の発展と、それにおける中国の関係に左右されることになるのだ。

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このネタについての地政学分析は、今日中にメルマガのほうで書こうと思っております。


Commented by えんき at 2013-07-23 21:24 x
中国とインドに挟まれたミャンマーはその独立を維持する上で、たとえ核武装を行ったとしてもまだ足りないのかもしれない。

インドは、その国土の扶養力を大幅に上回る程に人口を爆発させてしまったという点で、中国と同じ問題を抱えている。インド人(ベンガル人)は、気候変動による食糧難や不足する石油天然ガスを求めて、一部はミャンマーへ、一部はスマトラ島へ殺到することだろう。

ミャンマーへ進んだベンガル人は、ミャンマー軍に加勢する中国人民解放軍と激突することになる。凄惨な戦いは戦術核兵器を打ち合う消耗戦となるだろう。この消耗戦の中で、ベンガル人と漢族の人口削減が行われるのだ。

スマトラ島はベンガル人とジャワ人の戦場になる。インド人とインドネシアジャワ人は、双方とも人口爆発してしまった共通点がある。ベンガル人には欧米が、ジャワ人には中国が肩入れすることだろう。戦闘は激しく、双方とも消耗戦となり、人口削減が行われるだろう。生き残るのは恐らくベンガル人だろう。
Commented by navi-area26-10 at 2013-07-29 19:28 x
メルマガ読みました。アンダマン諸島とニコバル諸島のおかげで、あそこら辺の海域のインドの支配力は強いというお話がありませんでしたっけ。
Commented by masa_the_man at 2013-08-06 17:33
えんき さんへ

>インド人(ベンガル人)は、気候変動による食糧難や不足する石油天然ガスを求めて、一部はミャンマーへ、一部はスマトラ島へ殺到

うーん、私はここまで確証はもてませんが・・・。

>生き残るのは恐らくベンガル人だろう。

正規戦よりもグダグダの非正規戦のほうが妥当に見えるのですが・・・まあでも未来予測というのは基本的に当たりませんからね。備えましょうというのが一番妥当かと。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2013-08-06 17:35
navi-areaさんへ

>あそこら辺の海域のインドの支配力は強いというお話がありませんでしたっけ。

ただしまだインド海軍は弱いですからねぇ・・・今後の活躍に期待というところでしょうか。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2013-07-23 15:56 | 日記 | Comments(4)