戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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フランスは「軍国主義」の国である

今日の横浜北部は少し気温が低めでしたね。いやー、連日の暑さがおさまって少しホッとしました。

さて、フランスに憧れをもつ平和主義の人々の幻想を打ち破るかもしれない記事として面白いものがあったので要約します。

フランスほど「軍国主義国家」というのは、世界でも例を見ないほどですね。軍人にたいする国民の尊敬は今でも圧倒的なものがありますし。

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フランス人はなぜパレード好きなのか
by ロバート・ザレツキー

●パリのシャンゼリゼ通りで毎年7月14日に行われる大騒ぎは、フランスの国家としてのまとまりと自信を示すために行われるものであり、国民にとっては待ちに待った祝日である。この日に限ってはフランスは経済・政治面での困難を忘れて、リラックスしながら道行くパレードを観賞できるのだ。

もちろんこのパレードで注目を集めるのはミッキーのようなキャラクターの巨大な風船ではなく、対空ミサイル搭載車や戦車であり、ここでもフランスの例外主義は本当に「例外的」であることをわれわれに思い起こさせてくれるのだ。

●実は、フランス革命の思想的な一端を担った思想家であるジャン=ジャック・ルソーもパレードが大好きであった。パレードは「(王族から)解法された自由な市民」の表現の一つであったという理由から、ルソーはそれらが「共和国に唯一必要なエンターテイメントだ」主張している。

●そしてこれはバスティーユ襲撃のたった一年後のことであり、実のところ、ルソーの理想はほぼ実現しつつあったのだ。

●この革命という大きなイベントを記念するために、その主人公となったパリ市民たちは「パリ祭」を計画した。フランス国民全員(この新しい国をつくった連邦化したコミューンたち)は、この祝いに参加するようパリに招待されたのだ。

●この祭りは、突然「自由」で「平等_になってしまったこの三千万人の個人たちにたいして「博愛」の精神を植え付けるための集団的な「振り付け」の一種である。

●ほとんどの歴史家たちが同意しているのは、この国家的な行動が単に人気が高いだけでなく、極めて自発的なものであるという点だ。全国民がパリの祭りのために駆り立てられるのだ。

●パリにつくと、彼らは祭りのための舞台づくりに邁進する。つまり、ルソーの共和的な夢を復活させ、市民――都会や田舎、貧富や老若男女を問わず――は手に道具をもって、国防省とセーヌ川の間の土地に円形劇場をつくったのだ。

●1789年の創造的混乱から生まれた市民軍である「国民軍」(national guard)がそばにいたのだが、これはいわば啓蒙時代の「ウッドストック」であった。

●青白赤のリボンを身につけた国民軍たちは、自分たちが革命を支持していることを証明するために全国の地域を代表して派遣されてきており、1790年のフランスでは、国民軍はジミ・ヘンドリックスと同じくらい(彼もウッドストックで赤白青の衣装を身にまとっていた)国民の意志を反映した存在として人気を得ていたのだ。

●この祭りにおける国民軍の役割は、現在のパレードに軍が参加している理由の一端を説明するものだが、そこには他の理由もある。ナポレオン時代とその後のフランスの台頭によって、7月14日はあえて口にしてはならない歴史的な重要性を持ったのである。

●それは普仏戦争の敗北によって逃れていた第三共和政が、1880年にパレードを復活させたからだ。

●フランスの左派はパリ祭における軍隊の役割を右派よりも強調する。これは外国から来た人々にとっては奇妙に映るかもしれないが、理由は単純だ。軍は国家の復活を象徴するだけでなく、共和国化した、革命を行った国家の伝統を受け継ぐ存在であるからだ。

●話を数世紀先(そして二つの共和制の後)の現在に移すと、フランス人はその政治思想に関係なく、相変わらず今でも軍を尊敬している。

●たとえば二年前に「緑の党」の大統領候補であったエヴァ・ジョリーが、パリ祭のパレードに兵隊や兵器を参加させるかわりに「市民」のパレードにしようと提案したことがあるが、直後からあらゆる政治家や知識人たちからの猛反発を食らい、ジョリーはすぐにその提案を引っ込めたことがある。

●そして今年のパレードでも、フランスの経済が芳しくないにもかかわらず(というよりも、むしろそうだからこそ)、さらには社会党の政府が同じく人気がないにもかかわらず、誰も軍の参加に疑問を差し挟む人はいないのだ。

●ところがもしわれわれが今年のパレードを文学の文献のように分析したらどうなるのだろうか?

●パリそのものはそのような分析が可能だ。たとえばフランスの右派はパレードの通り道をブルジョワが住む通りやパリ西部の保守系の地域へと通そうとするはずであるし、左派は行進を革命が最初に起こった町の東部の労働階級の多い場所で開始させて終わらせようとしている。

●ところが7月14日のパレードはパリの中心部を横切るものであり、凱旋門からシャンゼリゼ通りを通ってコンコルド広場を通るため、象徴的ではあるが、この町(そして国家全体の)イデオロギー面での対立を乗り越えるのだ。

●今年の通路は多くの意味で「省略版」とも言えるものだ。政府は国防費を削減したために、登場する飛行機や車両の数は少なくなっており、その燃料費をかなり浮かせている。



●ところがパレードの参加者はかつてないほどのにぎわいだ。まずパレードに参加するフランス軍の数は削減されておらず、さらに今年は外国からのゲストの数が多いのだ。

●たとえばクロアチア兵が参加しているのだが、これは彼らのEUへの参加を象徴している。ところがさらに重要なのは、60人のマリ兵と、フランス・ドイツ混成旅団が参加していることだ。

●この二つの派遣隊は、ある特定の地政学的現実によるものだ。

●マリがパリに来たのは、パリが最初にマリに行ったからだ。「サーバル作戦」と名付けられた今年初めのフランス軍の軍事行動は、イスラム反逆軍の侵入を阻止するためのものであったが、これはマリとフランスの双方で非常に高い支持を得たものであった。

●フランスがテロとリンクしたイスラム系の動きを打倒するという、世界の舞台で発揮する実力を持っているということは、フランスにとって過去の革命の栄光の匂いと共和国の理想主義以上のものがあったのだ。

●ところが同時にフランスは、「サーバル作戦」を経済的にも兵站的にも継続することはできないことを自覚していた。なぜならそれには同盟国たちからの支援――しかもいやがるドイツから――が必要であったからだ。

●この作戦の支援のためにドイツのアンゲラ・メルケル首相が用意したのはいくつかの輸送機だけだった。オランド大統領がこのすぐ後に「ヨーロッパ軍」を言い始めたのはこのことが頭にあったことは明らかだ。

●フランス・ドイツ混成旅団が今週の日曜日にパレードに参加して、彼がヨーロッパ軍を呼びかけてからも、実はほとんど何も反応はない。要するにこれはたんなる「見世物」としか思われていないのだ。

●ただし最初に行われたパリ祭がわれわれに思い起こさせてくれるのは、「見世物」は観客を動かすだけでなく、国家を動かすこともあるということだ。

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重要なのは、革命を起こした市民軍=国軍という考え方ですね。


Commented by えんき at 2013-07-17 20:24 x
思えば、我が軍から栄誉を剥奪したのは、先の大戦での敗戦ではありませんでした。その証拠に、1964年東京オリンピックの時点に於いて、我が軍に栄誉は与えられていました。開会式儀仗兵、儀仗音楽隊、各国先導兵、オリンピック旗先導隊、ファンファーレ隊、祝砲隊、五輪空中描画航空隊・・・ 東京オリンピック開会式とは、正に軍の栄誉を体現していたのです。

我が軍から栄誉を剥奪したのは、俯瞰思考を成し得ない偏狭な反米ナショナリスト達であり、中国に媚び諂う国家官僚左派達であったのです。その権化こそが、全共闘世代の新左翼とその後継者達でしょう。彼らが憲政史を捏造し、我が国の免疫系である靖国神社を愚弄し、我が軍から栄誉を剥奪し続けているのです。
Commented by 中山太郎 at 2013-07-19 10:29 x
日本こそ世界の国際常識に外れた偏頗な国だ。軍人、軍隊への極端な非敬意、制約。それでも、途上国で非常事態が起こると、在留邦人、メディアなどは何故、日本政府は助けに来ないのかと叫びまくるのだ。
Commented by masa_the_man at 2013-07-19 22:38
えんき さんへ

>1964年東京オリンピックの時点に於いて、我が軍に栄誉は与えられていました

意外な。

>栄誉を剥奪したのは、俯瞰思考を成し得ない偏狭な反米ナショナリスト達であり、中国に媚び諂う国家官僚左派達であったのです。

なるほど。

>全共闘世代の新左翼とその後継者達でしょう。

その彼らはそろそろ社会のトップから引退ですか・・・。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2013-07-19 22:40
中山さんへ

>それでも、途上国で非常事態が起こると、在留邦人、メディアなどは何故、日本政府は助けに来ないのかと叫びまくるのだ。

これは本当ですか?私の印象では「仕方ない」という論調のような気がしていたんですが・・・それも台風とか地震みたいな不可避の自然現象のような感じで。コメントありがとうございました
Commented by ランバダ at 2013-07-29 11:33 x
フランスがイラク戦に反対していたときにどんな事を他にやってるのか
知りたくて当時検索してみたりしたことがあるんですが、コートジボアール
に出兵していたのはろくに日本語の報道が見つからなかったような。
旧大陸で軍事的側面が発揮されることが多いから日本では目立たな
くて妙に平和イメージを持つ人がいるんでしょうか。
Commented by masa_the_man at 2013-08-06 17:48
ランバダさんへ

>旧大陸で軍事的側面が発揮されることが多いから日本では目立たな
くて妙に平和イメージを持つ人がいるんでしょうか。

それも一端かと。そういえばアルジェリア介入関連の映画なんかあまり公開されていないような気が。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2013-07-16 19:33 | 日記 | Comments(6)