戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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なぜ日本は韓国に「感謝」されないのか

今日の横浜北部は雨かと思ったら意外に晴れまして、けっこう蒸し暑い感じでした。

さて、ルトワック本のゲラ直しも終盤にかかってきまして、最後の追い込み状態に入ってきているのですが、前回のエントリーでも引用した彼の韓国分析について、もう一箇所面白いところを抜き書きしておきます。

===

●教育を受けた若い韓国人たちの反米感情について述べてみよう。彼らは単なる事故が起こっただけでも容易に怒りを爆発させてしまう。そして直ちに自国の政治指導者たちを「米国の言いなりだ」と言って問い詰めるのだ。

●なぜこうなってしまうのかについてはわざわざ説明する必要はないだろう。それは人間の感情として、最も根本的なものに根ざしたものだからだ。

●つまり、見返りを求めない施しというのは、受け取り側の屈辱感へと容易に変化するからだ

●これについて興味深い例は、アルメニアの例だ。この国の大統領ヌバル・パシャ(Nubar Pasha)は、若い事務員が下品な噂を広めていると聞かされた時に、「さて、彼にどんないいことをしてやったのか思い出せないのだが」と答えているほどだ 。

●韓国の学界では、朝鮮戦争は米国の陰謀か米中の共謀であるという馬鹿げた考えが驚くほど信用されている。

●一方でそれほどあからさまなものではないが、韓国女性とつき合っている米兵への人種差別的な悪感情は、数十年にわたっていまだに強い。

●こうした情況こそ、反米感情が煽動されたり誇張される背景にある、語られざる部分なのだ 。

●さらに重要なのは、「重要性が低下していくと考えられる米国よりも、中国のほうが自国にとってはるかに重要な貿易相手になる」と韓国人が考えていることであり、この傾向は日本人や欧州人と比べても強い。

===

ルトワックのこの分析は、いわゆる「恩を仇で返す」「飼い犬に手を噛まれる」というメカニズムのことを言っていると思うのですが、個人と個人のつきあいだったらまだしも、国家と国家の間では、意外とこのようなことが日常茶飯事として起こっているということも言えそうな。

つまり「逆説的」(パラドキシカル)ですが、施しを与えれば与えるほど、逆に恨まれることもある、ということを我々はもう少し肝に銘じておかなければならないのでは?ということです。

ここで重要なのは、個人レベルの分析を国家レベルに適用しようとすると大きな間違いにつながる、という点でしょうか。

日本の政治家たちの議論を聞いていると、どうも国家の話を個人レベルの話に置き換えて考えてしまっている人が多いような気がしてならないんですが。

東アジアとアメリカの関係を見ると、ますますそのようなメカニズムが浮き彫りになってくるような気がしてなりません。


「中国の地政学と大戦略の失敗」CD



Commented by 待兼右大臣 at 2013-06-30 01:19 x
というよりも、いわゆる「特定アジア」三カ国においては
建国神話の根本に「反日」が組み込まれているからでしょう。
中国と北朝鮮は八路軍や金日成の「抗日ゲリラ」神話がありますが
韓国にはそれが無いということで「引け目」を感じているという記事を
見た記憶があります。

冷戦時は、「共産主義」(中国、北朝鮮)と「反共」(韓国)が
前面に出ていましたが、冷戦終結に伴い「建国神話」としての
共産主義と反共は意味を失いました。
Commented by 待兼右大臣 at 2013-06-30 01:33 x
冷戦終結に伴う「正当性の消失」は我が国の左翼も同様でした。
我が国では、冷戦終結とほぼ同時(1989年)に昭和天皇が崩御
(「戦前」を歴史として論ずるタブーの消失)したこともあり、

先の大戦を反省しない「侵略国」としての日本

に正当性を求めました。
これにより、1990年以降「歴史認識論争」が表面化しました。
(「アカシック・レコード」というHPでは新聞記事検索サービスで
 「慰安婦」という言葉がソ連崩壊後、「桁違い」に急増したということを
 突き止めています。)

そして、我が国の左翼は「特ア三国」と「歴史認識論争」で連携する必要
が生じ、それは、特ア三国に対し「反日」という「建国神話」を呼び戻す
事となったのです。
Commented by 待兼右大臣 at 2013-06-30 01:44 x
しかも、都合の悪いことに

1985年 戦前世代(戦前に成人した世代)が60歳(定年)
1990年 戦中世代(終戦前後に旧制中学卒業した世代)が60歳
となり、「戦前」を体験した世代が社会の第一線から退場したこともあり
左翼側の「嘘」に対する抑止力が低下していました。

このことは、ベトナム戦争以降の

左翼=反日・売国奴

という我が国特有の用法を定着させ、2002年W杯開催問題をへて、

韓国の政治的正当性を維持する手段としての反日(歴史認識論争)

に対する反作用としての嫌韓、反韓が生じ、そのため

右翼=嫌韓、反韓

という摩訶不思議な用法が定着しました。
2002年以降の反韓については、古谷経衡氏の『ネット右翼の逆襲』が
一番まとまった参考資料だと思います。
Commented by 待兼右大臣 at 2013-06-30 01:52 x
同書の難点として、主に対象とした時期が2002年以降ということもあり、
ウヨサヨ論争の「手段としての『歴史認識論争』」が主の時代であり、
「右」にとって、歴史認識論争が歴史認識論争であった時代
(小林よしのり著『戦争論』の時代)の記述が殆ど無いことです。

その時代の生き証人として、私のような「ネトウヨ界の『西園寺公望』」
が必要とされる時代が来るのでしょうか。
Commented by えんき at 2013-06-30 08:00 x
帝国主義の後遺症で今でも欧米は搾取癖が抜けませんが、我が国も嘗ての支配地域に対する貢ぎ癖が治らなくて困ったものです。
Commented by とっくりくじら at 2013-06-30 13:34 x
出版は待ち遠しいですが、出版前に講演の予定はないのでしょうか?CDでの講義よりストリーミングでの展開があればありがたいのですが‥。小冊子も申し込みしましたが、こちらもKDPの利用をご検討いただければありがたいです。
by masa_the_man | 2013-06-29 22:30 | 日記 | Comments(6)