戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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中国の新しいパイプラインの地政学:その2

さて、つづきです。

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●中国はベンガル湾周辺の国々と政治的・経済的・軍事的な結びつきを強めており、主にその理由は中東やアフリカからのエネルギーへのアクセスを確保するというところにあるようだ。

●これらの国々の中でもミャンマーは中国のインド洋につながる戦略的野望にとって最も重要な国である。中国は公式的にミャンマーの国際社会への復活を祝っているが、同時に長期的な安全保障の権益を確保したいと考えているのだ。

●北京政府はこの代替的なエネルギー供給ルートの開設を、東シナ海と南シナ海における領海争いの状況への対抗策として見ている。ミャンマー中国パイプラインは、中国にインド洋へのアクセスをもたらすことになり、アジアの大国ゲームに新しい動きを及ぼすことになるのだ。

●ところが中国はすでにミャンマーにとっての「唯一の友」ではなくなっている。テイン・セイン大統領の五月の訪米はオバマ大統領のミャンマーへの歴史的訪問のたった半年後に行われているのだ。両国高官同士の交流の高まりはアメリカのミャンマーにおける利害が大きくなっていることを示しており、これは「軸足」戦略にとって有利であるとアメリカは考えているのだ。

●アメリカはミャンマーの改革の支援を協調しており、ミャンマー側は自国の大統領の訪米はアメリカからの投資を促すものと期待している。

●中国の専門家たちは米・ミャンマーの関係復活を、アメリカによる中国の台頭の「封じ込め」の一環であると見ているのだ。

●日本おミャンマーへの関与を復活させている。日本の安倍首相は五月にミャンマーを訪問しているが、この後には野党の代表であるアウンサンスーチー女史が訪日しており、日本は5億ドルもの新しいローンを提供しており、安倍首相の訪問中には174億ドルもの対日負債を帳消しにしている。

●その理由は、少なくともジャパンタイムス紙の記事で明確に述べられている。安倍氏の訪問の直前に書かれた論説記事では、「日本の動きの理由の一つは、中国の影響力の増大に対抗するためだ」と書かれている。

●インドはこれまでのところ、あまり動いてはいない。中国の李克強首相が5月にインドを訪れた時に、「インドと中国は、共通の近隣諸国にたいする友好的な関係の強化を助け合う、互恵的、ウィンウィン的な結果を得るという点で合意した」と述べている。

●パイプラインは北京にとってエネルギーの代替的な輸入ルートを与えてくれることになる。アメリカがこの地域の優位を保っていることから、中国にとってこれは極めて重要だ。ところが北京が長期的にこのパイプラインのおかげで得る戦略的有利は、ミャンマー国内の発展と、それにおける中国の関係に左右されることになるのだ。

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微妙な時期に完成したんですね。建設そのものは中国とミャンマーの関係が悪化する前から始まっていたわけですから、結局はミャンマー国内の政治的バランスの問題に焦点を当てて考えるほうが有益なのかもしれませんが。

やはり伝統的に情報をとれている日本についても触れてますね。

何度もいいますが、(古典)地政学で大事なのは資源の場所と、その運搬ルート(の安全)です。そういう意味で、このパイプラインの開設はたしかに重要ですね。

実質的な意味でも、シンボリックな意味でも。


Commented by 無花果 at 2013-06-23 18:11 x
ミャンマーへの影響力の考察で英国が語られていないのが気になりました。アメリカに集約されているのでしょうか。
by masa_the_man | 2013-06-23 00:00 | 日記 | Comments(1)