米中はスマートにつきあうべし:その2 |
===
●中国の台頭についてあまりに怖がらないことが重要なもう一つの理由は、パワーの拡散である。
●中国とアメリカ(そしてヨーロッパ、日本、その他の国々)は、気候変動やテロ、サイバーセキュリティ、そしてパンデミックのような、新しい難問に直面することになる。これらの問題はより切迫したものとなり、協調が求められ、しかも多くのケースでは非政府機関の助けが必要となるのだ。
●オバマ政権の二〇一〇年の「国家安全保障戦略」では、アメリカはパワーというものをゼロ・サムではなくポジティブ・サムで考えるべきであるという事実が指摘されていた。いいかえれば、中国の台頭はアメリカ(と世界)にとって良いことになる場合がある、ということだ。
●たとえば中国が温暖化ガスの排出をコントロールして減少させるということだが、たしかに中国はこの点で明らかに大きな権力を持っている。われわれはこの分野における中国のパワーの増大を歓迎すべきであり、これには中国国内のシェールガスのガス田の開発も含まれる。これはウィンウィン状態だ。
●新しい国際的な難問の多くに対峙する上で、アメリカは誰かのパワーについて考えるのではなく、誰かと一緒にパワーをどう使うかを考えなければならないのだ。われわれは中国と協調するやり方を考えられないために恐怖に陥りたくはないのだ。
●今日の世界政治は過去二〇〇年間のそれとは違う。それはまるで三次元のチェスのようであり、アメリカに国際的な軍事力が一極集中しているが、国際的な経済力は多極的な形で分配されており、気候変動やテロ、それにパンデミックのような国際的な問題はかなり拡散しているような状態なのだ。
●パワーの構造は一極ではないし、多極でもなければカオス的でもない。この三つが共存しているのだ。
●したがって、スマートな戦略は異なる分野におけるパワーの分配状態に対処しなければならず、その間のトレードオフを理解しなければならないのだ。
●世界を純粋なリアリスト的視点から見るのはもう時代遅れで割りに合わない。なぜならそれはチェスボードの最上階を見ているだけで、中国との紛争を予測しているものだからだ。
●ところリベラルなレンズから一面だけを見て、協力関係だけを予測するのも間違っている。これは三面からのゲームなのであり、ボードの一面だけに集中するプレイヤーは長期的には負けることになる。
●幸いなことに、中国とアメリカは紛争的な関係よりも、協力的な面による関係から獲得することのほうが多いのだ。両者はこの点を認識すべきなのだ。
===
最後に新しいアイディアを出してきましたね。つまり「パワー三面論」ということでしょうか。
1、軍事力:アメリカ一極状態
2、経済力:多極状態
3、脅威:カオス状態
ということみたいです。このオッサン、こういうアイディアだけは豊富ですな。
