戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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ルトワックの「日本語版へのまえがき」その3

昨日の仙台は午後少し雨が降りましたが、今日はなんとか晴れております。

これから植樹祭に参加してきます。木を植えるというのはなかなか味わえない経験です。

さて、以前ご紹介したルトワックのまえがきのつづきを。

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●このような態度は新しいわけでもないし、とりわけ珍しいわけでもない。このようなことは人類の歴史では何度も起こってきたことであり、もし台頭する大国が歴史から学ぶことができれば、人類にはこれほどの犯罪と失敗の記録は残っていなかったはずのだ。

●このプロセスの一例を挙げよう。ある国家が周辺国よりも相対的に国力を伸ばして侵略的な振る舞いを始めるようになると、その支配者、支配者層、そしてエリートたちが「新しいパワー(もしくはパワーの期待値)は国家の栄光やさらなるパワー、もしくは一般的に想像されているような富などの追求において有利に活用できるはずだ」と自分たちに思い込ませてしまうのだ

●非合理生というのはわれわれを不快にするため、海洋紛争は海底に眠る石油やガスの埋蔵量という想像された価値によって説明されることになる。

●これについては一九八二年のイギリスとアルゼンチンの間で起こったフォークランド紛争でも同じような想像的な説明がされたのだ。ところがどれほどの埋蔵量があろうとも、中国には海を接した近隣諸国を敵に回すコストまで正当化できるわけがない。

●その次の段階もよく見られるものだ。つまり、ある台頭した国によって脅威を受けた別々の隣国たちが、それまでは互いに関係が深いわけではなく、場合によっては悪い関係にあることもあるのだが、新しい脅威にたいして新しく合同で対処する方法を探ろうとして互いにコミュニケーションを始めるのだ。

●その次に彼らは様々な面で実際に協力できることをはじめ、公式な安全保障面での取り決めもないままに自然な同盟関係が形成されるのだ。

●たとえば二〇一三年現在、日本はベトナムに資金援助を行っており、ベトナムは潜水艦をロシアから購入している。ベトナムがこのような高度な兵器を使うための専門知識を獲得するまでには普通はきわめて長い時間がかかるものだが、インド海軍はまったく同じ型の潜水艦を使っているために、ベトナムの乗組員を自国の訓練養成所で訓練させることを提案している。

●インドと日本とベトナムの間には三国間の安全保障協定があるわけではないし、その必要もないのだが、それは最近の中国の独善的な態度がこの国々から防御的な反応を自然と引き起こしたからである。ちなみにこの三国の人口と経済力の合計は、中国のそれよりも多い。
 
●中国周辺のあらゆる国々が、その台頭する国力にたいして同じような反応を起している。

●オバマ政権の場合はこれが大西洋から太平洋へ「重心」を移す政策を宣言したことにも見られるし、より控え目なものとしては、オーストラリアが中国との友好関係を主張しながらも、同時にダーウィンに新たな米軍基地を開設し、インドネシアとマレーシアにたいして中国の領海の主張に抵抗するように静かに支援しているのだ。
 
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以上です。

残りの核心部分は発売してからのお楽しみということでご期待下さい。
by masa_the_man | 2013-06-09 09:00 | 日記 | Comments(0)