戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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人間・国家・戦争 by ウォルツ

今日の横浜北部はスッキリ晴れましたが、気温はやや低め。これくらいだと本当に気持ちいいですよね。

さて、以下の本が届きましたので簡単な書評を。

タイミングが良すぎるというか、先日のエントリーでも紹介したウォルツの処女作が、とうとう日本で新発売されました。

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人間・戦争・国家: 国際政治の3つのイメージ
by ケネス ウォルツ

はっきり言いまして、名著です。

学術的にはネオリアリズムを打ち立てた『国際政治の理論』のほうが重要なのかもしれませんが、すでに本ブログでも何度か触れてきた通り、私はこちらのほうがはるかに知的刺激を受ける本だと思っております。

内容はタイトルにかなり大きなヒントが隠されておりまして、実は「戦争の原因」という哲学的な問いかけについて、三つのレベル(人間、国家、国際関係)ごとに議論していくというもの。

テーマは広いのですが、それをうまくまとめて俯瞰しておりまして、やや文体的にはわかりにくいところも多少あるのですが、その議論の仕方(たとえば第四章の冒頭の水をつかった喩えなど)はかなり読みごたえのあるところが多々あります。

しかもウォルツのすごいところは、冒頭の2001年版の序文にもありますように、この本全体の構想を図書館で座って考えていたときに「閃光がひらめい」て、それをメモとして書き留めたものがもとになっているということです。

ようするに一瞬で全体像を思いつき、あとの論文を各作業はそれを埋めていくだけだったというわけですが、このような創発的なプロセスについての記述はなかなか示唆に富むものであります。

いわれてみれば、この本の分析は極めてシンプルですし・・・。

実はこれ、ウォルツのデビュー作でありまして、しかも博士号論文をそのまま出版したものがこの分野で「古典」になったわけですから驚きです。

このクオリティの高さですから、その生徒であった人々にとって悩みのタネになっていたというのは理解できるところでして、弟子であったウォルトによる先日の追悼記事でも、論文を書く時に相当のプレッシャーになったことを告白しております。

といってもウォルトだって『同盟の起源』という古典を書いているわけですから生徒としてはすごいもんだと思いますが。

ということで、古い哲学者などの名前がバンバン出てくるのであまり読みやすい本だとはいえませんが、その論じ方とアイディアには後に理論を一つ立ち上げるだけの力量を感じる参考になる本です。日本の国際政治関係の大学ではこれが必読本にならないとウソですな。

訳文も申し分ないものです。おススメかと。
Commented by 待兼右大臣 at 2013-05-25 21:18 x
本日私も書店で見かけました。
ポイントの関係で、後日行きつけの本屋で買おうと思います。
by masa_the_man | 2013-05-25 20:53 | 日記 | Comments(1)