戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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マッキンダー名言集

今日の横浜北部は朝から小雨がシトシト降っております。気温もやや下がりましたね。

さて、現在配送中の「地政学講座」と関連するのですが、以前つくった名文集があったのでついでにここに貼付けておきます。

現在の国際政治を見る上でも参考になるものばかりです。

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「地理学からみた歴史の回転軸」(1904年)

1.しかし現代以降、つまりコロンブス後の時代において、我々は再び一種の閉鎖された政治システムと交渉をもたなければならないようになったのだ――しかもそれは全地球規模の現象である。およそあらゆる社会勢力の爆発は、周囲の未知の空間、野生的な無秩序のなかに吸収され、または拡散してしまうかわりに、地球の反対側からの鋭い反響を呼び、その結果として世界の政治的・経済的有機体の弱い部分は破壊されることになるのだ。

2.つまり我々はようやく全世界的な規模であれこれの地形を比較考察したり、またさまざまな事件のあいだの真のつながりを考えたりすることができる時代を迎えた、という意味である。これは言い換えれば、世界史全体のなかにおける地理的な因果関係について、少なくともなんらかの特徴をしめす図式を発見するための努力だといってもいいだろう。そしてもしこの試みがうまくいけば、現に国際政治のなかで競合しつつあるさまざまな勢力の成り行きについて、ある程度の見通しを持つためにこの図式が現実に役立ってくれるかもしれないのだ。

3.ヨーロッパの文明が花開いたのは、あくまでも外民族の野蛮な行為に対する抵抗の歴史を通じてだった。私がこの講演の席でとくに諸君にお願いしたいのは、しばらくのあいだ我慢して、ヨーロッパの地理ならびにヨーロッパの歴史を、アジアの地理ならびにアジアの歴史に従属するものとして見ていただきたいということである。事実として、ヨーロッパの文明と称するものは、かなり現実的な面からみれば、アジア民族の侵入に対する世俗的な戦いの産物にほかならなかったからである。

4.近代ヨーロッパの政治地図を見てまず最初に気づくことは、ロシアが一方において広大な大陸のほぼ半分の地域を占めていることであり、西欧の諸国がその反対側で狭い領土を分割しあっている状態である。

5.大陸を横断または縦断する鉄道網が発展した結果、ランドパワーの成立の条件が大きく変貌しつつある。そして道路を作ろうにも、材木ひとつ、そして石材ひとつもままならないユーラシア大陸内陸のハートランドにおいては、鉄道が発揮する効果は絶大である。ともかくも鉄道は平原に大きな奇跡をもたらした。なぜならば、ここでは道路建設の時代を飛び越して、鉄道がいきなり馬やラクダの機動力に取って代わったからである。

6.満州地方におけるロシア陸軍の存在は、そのランドパワーの移動機能をまざまざと証明して見せている。もとより現在のシベリア鉄道は単線であり、したがって戦略的な輸送手段としてはまだ頼りない気がする。しかしながら、やがてアジア全体が鉄道でおおわれる日が来るには、今世紀の終わりを待つまでもないとおもわれる。

7.ところで今の勢力関係を破壊して、回転軸となる国家に有利な地位を与えることは、やがてユーラシア大陸周辺の諸地域にたいするその勢力の膨張をうながし、それが莫大な大陸の資源をその艦隊の建設に役立たせることにもつながるのだ。

8.いうまでもなく、歴史の各時代における政治勢力のバランスは、一つには地理的条件――これには経済的な意味と戦略的な意味がある――の産物である。ところが同時にそれは、その当時にたがいに競争しあっているさまざまの国民の数や、またそれぞれの生活力、装備の能力、また社会的な組織力等の相対的な要因によっても規定される。

9.これまでの全歴史を通じて、人類社会の動きは常に原則的に一定不変の自然の様々な特徴によって左右されてきた。

10.結論として言えるのは、たとえ現在のロシアに代わって新しい勢力が内陸の一帯を支配する位置にたったとしても、同地域の回転軸としての地理的な重要性が持つ意味は少しも変わらない、ということである。たとえば日本人が中国人を支配し、また彼らを組織してロシアの帝国を倒し、その領土を征服したと仮定してみよう。その場合は、おそらく黄禍が世界の自由を脅かすことになるだろう。というのも、その場合に彼らは広い大陸の資源を背景にした上、さらにこれに加えて海の正面を持つこと結果になるからだ。

「デモクラシーの理想と現実」(1919年)

11.戦略的な観点を考慮に入れて考えると、ハートランドには次の諸地域が含まれることになる――バルト海、ダニューブ川中流および下流の航行可能な部分、黒海、小アジア、アルメニア、ペルシャ(現在のイラン)、チベットおよびモンゴル地方がそれだ。したがって、この枠の中に入るブランデンブルグ=プロイセンおよびオーストリア=ハンガリー、ならびにロシアの三カ国は、かつて騎馬民族の時代に欠けていた豊富なマンパワーの供給源を構成することになる。近代戦略的な意味におけるハートランドとは、要するに必要に応じてシーパワーの侵入を阻止できる地域のことである。

12.現代の陸軍はいうまでもなく、大陸を横断ないし縦断する鉄道網のほかに、さらに自動車輸送という手段をもっている。おまけに航空機もある。最もこれは使われかた次第では、かえって自分の命取りになりかねないが、しかしシーパワーに対抗するランドパワーの有効な武器なりうる素質をもっている…これを手短にいえば、どのような軍事大国でも、ハートランドとアラビアを占領してしまえば容易にスエズという世界の交差点を押さえることができてしまうということなのだ。

13.東欧を支配するものはハートランドを制し、ハートランドを支配するものは世界島を制し、世界島を支配するものは世界を制す

14.マンパワー――すなわち、人間の集団が発揮する威力――は、もとより現代においても組織の力に依存するところがきわめて大きい。これはまた言葉をかえていえば、企業組織や社会組織の問題でもある。ところで、これまで「ドイツ文化」の思考が外部にとって有害だったのは、それがもっぱら地理的な事実と経済的な事実とに意識を集中して、そのほかのことをまったく考えようとしない傾向があったからである。

15.もし我々が将来に災い種を残したくないと考えるなら、この際、東欧におけるドイツとスラブ間の問題に最終的な結末をつけないような戦争の善後策を絶対に受け入れてはならない。我々が必要とするものはドイツ人とスラブ民族の間の適正なバランスであり、しかもその両方がそれぞれ真の独立を享受できるような解決策でなくてはならぬ。

16.もし我々が“東方問題”をその大筋において完全に解決しようとせず、中途半端な妥協に走るとすれば、我々はただ一時の休憩時間を稼いだにすぎないことになる。そして我々の子孫は、再びハートランドを攻囲するために新たに大軍を組織しなければならない必要に迫られるだろう。


「球形の世界と平和の勝利」(1943年)

17.ハートランド全体としての地形的な特徴は、これを戦略的な思考の基礎とするのに十分である・・・これまで私は、いわゆるハートランドの概念について色々と述べてきたが、これが二十年ないし四十年の歳月を経た今日でも、いまだに有効であるばかりでなく、むしろますます迫真の力をおびてきたと自信をもって主張できると確信している。

18.一度汚染された水路も、その両側に強力な堤防を築くことによって、きわめて効果的に清潔に保つことができるかもしれない。その堤防の片側に北太平洋の周辺のシーパワーがある。将来そのどちらの方面に向かってふたたび戦争を企てても、ドイツ人には絶対に勝ち目がないことを徹底して教え込んでやれば、あとはドイツ人自身が問題を解決するだろう。

19.かくてハートランドは、この地球上で最大の天然の要塞を形成することになる。その上、この要塞は史上初めて量的にも質的にも十分に満ち足りた守備兵力をもつことになったわけだ。

20.その第一はフランスという橋頭堡であり、第二が英国という外堀を持った飛行基地であり、それから第三がアメリカ合衆国東部およびカナダにおける熟練したマンパワーならびに農業、工業などの潜勢力である。

21.いまや西ヨーロッパと北米は様々な機能を持った、一つの統合された共同国家群を形成しているといえる。この事実は第一次世界大戦においてアメリカとカナダの軍隊が大西洋を越えてフランスで戦ったことにおいて初めて明らかになったのだ…アメリカにおいて最も降雨量が多く、そして最も石炭を多く産出するのは東側の地帯なのであり、ヨーロッパにおいてはこれらが逆に西側に集中しているのだ。よってヨーロッパの西側と北米の東側は物理的に補足しあう関係であり、お互いに分担して大きな共同体を急速に形成しつつある。


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by masa_the_man | 2013-05-20 15:56 | 日記 | Comments(0)