戦略とは何か
2013年 04月 27日
さて、最近考えていることを少し。
先週の京都で久しぶりに学者っぽい仕事として研究発表をしたわけですが、その内容は戦略研究(strategic studies)の歴史を振り返りつつ、最終的にその学問(というか実践)で究極的に問われている「戦略とは何か」という問題について考えてみる、というものでした。
もちろんこの学派で行われている最近の議論、たとえばCOINやWar Terminationなどの議論も紹介したわけですが、これらをやってもいつも出てくるのは究極の質問である「戦略とは何か」。
これについてはまだ誰も満足な答えは出しておりませんで、結局のところはサイエンスよりはアートで、しかもこれは科学的に分析すべきだが、それでも実践する人はアートとして実行するしかない、というあやふやなもの。
しかも文献を読み込めば読み込むほど「矛盾」がキーワードになってくることが明確になってきまして、たとえば、「色々なところに注意を拡散せよ」とか言いながらも、同じアドバイスをしている人が「一つのことに集中せよ」みたいな相反することを書いていたりします。
もしくは「ハイパーでいろ!」と同時に「落ち着け!」というアドバイスみたいな。
経営戦略論のミンツバーグなどは、戦略の古典にあるこのような矛盾する格言に辟易しているようで、
「古典にある戦略の格言というのは、そもそも矛盾しているから信じないでよろしい」
みたいなことまで書いている始末。
ただし私から言えば実はわかっていないのはミンツバーグのほうでして、戦略の理論は常に矛盾をはらんでおり、さらには矛盾があるからこそ戦略だ、ということにもなるわけです。
この辺については論文としてまとめなければいけないので、さらに文献を読み込んで行こうと思っておりますが、大事なのは戦略の「科学や合理性では割り切れない性質」を理解することなのかもしれません。
なんだかまとまりないですが、戦略ってどうもそういうことみたいなので・・・

