ある安全保障カンファレンスに参加してきた
2013年 04月 23日
さて、本日のことですが、六本木ヒルズで開催されたある安全保障セミナーに参加してきました。
お目当てはなんといってもスピーカーの一人である戦略思想家のマーティン・ファン・クレフェルトでありまして、彼は日本でも『戦争の変遷』や『補給戦』、それに『戦争文化論』などの邦訳でも知られております。
ちなみに現在は彼のエアパワーに関する本が翻訳されているそうで、これは夏までに発売するとか。楽しみです。
すでに私のTwitter中継をご覧になった方はご存知かもしれませんが、スピーカーはイギリスのシンクタンクであるRUSIのクラーク所長、クレフェルト、それに森本前防衛大臣、それにシンガポール国立大学の黄教授というメンバーでした。
はじめはクラーク所長と黄教授の二人が世界の紛争やアジアの地政学的な状況について、そして森本元大臣の基調講演などがあったわけですが、クレフェルトはどちらかといえばコメンテーター的な役割。
他の人々が、どちらかといえば「安全保障」という枠組みから政治経済も交えて概説.概況的な説明に終止していたのにたいして、クレフェルトは講演者の中でもひときわ異色を解き放つスピーチを披露。
というのも、彼一人だけが「戦争」の専門家ですから、浮いてしまうのは当然といえば当然。
彼が強調したのは、「安全保障というのは、色々と聞こえがいいことを言えるが、究極的にはその安全を守るために命をかけて、相手を殺し、自分も死ぬ覚悟を持てるかどうかだ」というヘビーなもの。
これには多少会場の雰囲気が凍り付いた感じがあったのですが(笑)、国際政治の厳しい現実を述べているという意味では、彼をこのパネリストに招待した意味はあったのではないかと思いました。
たしかに国際政治というのは、言い方によってはオシャレな感じにも聞こえるように言えるのかもしれませんが、さすがは「水と安全はタダではない」というイスラエルからきた戦争専門家のいうことは、実に「異次元感覚」で参考になりました。

日本の戦略系の研究者の方々で、「戦争」の方面から戦略を研究している方ってどれくらい居るのでしょうか?