戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

ルトワック本の紹介

今日の横浜北部は・・・冬でした。少なくとも一ヶ月以上前の気候ですね。日差しだけは春だったんですが。

さて、連日お伝えしているルトワックの議論ですが、彼の最新刊のご紹介を。

The Rise of China vs. the Logic of Strategy
by Edward N. Luttwak

b0015356_21493242.jpg


すでに中国ウォッチャーの間ではある程度有名になっているようですが、この本はルトワックが自身の「戦略の逆説的ロジック」を使って、中国の台頭がいかに自滅的なものであるかを解説したものです。

先ほど更新されたメルマガのほうにも書きましたが、ルトワックはかなり「ストレート・トーク」をする人で、かなり中国側にお世話になっているにもかかわらず、最近出たキッシンジャー本とは違って、中国の問題点について言いたい放題な様子。

たとえばいくつか例を挙げてみますと、

ー中国の外交政策は「外国も自分たちと同じように現実的かつ日和見主義的である」という前提から考えられている。

―漢民族は、同じような目的や優先順位、そして価値観を共有していたのだ。彼らの国家関係は、いずれも同一文化内(intracultural)で展開されていた。そのために、外交や諜報、秘密作戦、政治的な裏切りのチャンスが驚くほど多く存在していたのだ。

―当然なこととして挙げられるのは、孫子の『兵法』の主役級の人物が、すべて漢民族で構成されていたという点だ。彼らは支配者であり、将軍であり、敵対する中華国家の指南役であった。彼ら全員が文化的な規範による同じ枠組みの中で活動していたのだ。

―中国の政府高官たちによく見られるのは、「外国との間の長年にわたる未解決の紛争は、故意に危機を煽ることで解決できる」という考え方だ。そうすることで強制的に交渉を開始させ、紛争を収めようというのだ。

というような、刺激的な発言が多くみられます。これはキッシンジャーのほうが、

―(中国以外の)どの国にも、一〇〇〇年も前の出来事から戦略上の原則を導きだして重要な国家政策に着手する現代のリーダーはいないだろうし、「自分がほのめかしていることの意味を同僚たちも理解している」と自信を持って考えることができるリーダーもいないだろう

という微妙に賞賛しているパターンとは大違い。

結論は「中国は自滅する」ということなんですが、面白いのはそれがなぜ自滅するのかを解説している彼独特のやり方でしょうか。

文は冗長でやや読みにくかったりしますが、昨日までの動画でもわかるようなあけすけな言論を読んでみたい方には楽しめると思います。

ちなみに目次は以下の通りです。

Preface
1 The Fallacy of Unresisted Aggrandizement
2 Premature Assertiveness
3 Great-State Autism Defined
4 Historical Residues in Chinese Conduct
5 The Coming Geo-Economic Resistance to the Rise of China
6 China’s Aggrandizement and Global Reactions
7 The Inevitable Analogy
8 Could China Adopt a Successful Grand Strategy?
9 The Strategic Unwisdom of the Ancients
10 Strategic Competence: The Historical Record
11 The Inevitability of Mounting Resistance
12 Why Current Policies Will Persist
13 Australia: Weaving a Coalition
14 Japan: Disengaging from Disengagement
15 Defiant Vietnam: The Newest American Ally?
16 South Korea: A Model Tianxia Subordinate?
17 Mongolia: Northern Outpost of the Coalition?
18 Indonesia: From Ostracism to Coalition
19 The Philippines: How to Make Enemies
20 Norway: Norway? Norway!
21 The Three China Policies of the United States
22 Conclusions and Predictions

13章以降は地域研究というか、国別の中国の台頭についての対応や反応について書いております。もちろん日本も入っておりまして、取材に来ているんですよね。

ということでやや異色な中国論としてはキッシンジャーのものよりも読ませてくれる良書です。
by masa_the_man | 2013-04-22 22:07 | おススメの本 | Comments(0)