戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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ルトワックの動画:外部からの介入がダメにする論、その2

今日の京都は晴れたのですが非常に寒かったです。冬に逆戻りのような雰囲気でした。

さて、昨日のつづきを。いよいよ佳境に入ってまいります。

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(9:00)

●この長期的な紛争ですが、大国同士の戦いではなく(大国同士はあまり戦いませんから)、内戦みたいな地元の人間同士が争うタイプのものです。

●写真や報道によって世界中にこの紛争が伝わると、「ああ人が殺されているんだわ!」となるわけです。そこで国連のような制度機関が力を発揮して、このような紛争を無理やり止めるわけです。

●ところがここで覚えておかなければならないのは、戦争自体にも目的がある、という点です。では戦争自体の目的とは何でしょうか?

●それは人々がもつ「戦争への欲望」や、それに使われる「資源」、それに戦争の原因となる、「希望」や「野望」を焼き尽くすことです。

●戦争が始まったとすれば、その究極の目的は戦争そのものを破壊することにあるのです。

●たしかに戦争がはじまると、はじめは勢いがあって独特の高揚感があり、恐怖や欲望などがありますが、町は破壊されて人は死に、戦友を失い、政治家は現実的になって、戦争は終わります。

●ところがここで国連のような外部の人間たちが介入してきたらどうなるでしょうか?

●つまり停戦協定を結ばせて戦争を滞らせてしまい、その動きを強制的に止めてしまうわけですが、こうなると国連が創設されて以来の長期的な戦争がなかなか終わらなくなってしまうわけです。

●たとえばカシミールにおけるインドとパキスタンの紛争は終わりませんし、パレスチナ問題も終わりません。アフリカではDRCとルワンダとの戦いも終わりません。

●ルワンダの場合は軍事国家ですから、その目標、つまり東コンゴにいって軍事的に圧倒したいわけですが、その仕事もさせてもらえないというわけです。

●国連だけじゃないです。NGOなんかもひどいもんです。彼らはたしかに意識は高いわけですが、たとえばある場所にいる難民などに長期的に食糧を与えることで紛争を長期化させているのです。

●この典型的な例がルワンダのフツ族とツチ族の争いです。この部族間の問題があると、NGOが大量に寄ってきてたとえばフツ族に食糧を供給すると、彼らは朝に腹を満たしたその夜にツチ族を殺しに行くわけです。これは実は大変なスキャンダルなわけですよ。

●つまりは国連が戦争へと無理やり介入することでその戦争の目的そのもの、つまり平和の達成を邪魔してしまうわけです。

●もしこのようなことがヨーロッパの歴史で起こっていたらどうなっていたでしょうか?

●国家は存在しなかったでしょうし、教会の建物はなかったでしょうし、宮殿も文化も存在しなかったでしょう。ただ単に難民キャンプがそこら中にあって、ローマ人があちこちにいて敗北したドイツ人が色々なNGOに食糧をめぐんでもらって、様々な停戦協定を結ばされていたことでしょう。(会場笑)

●ようするにわれわれは「怪物」を生み出してしまったわけです。

●もし今度セーブザチルドレン財団があなたの家のドアまできて募金を呼びかけてきたら、その人をひっぱたいて飼い犬をけしかけて追い返してやりましょう。なぜなら彼らこそが、戦争のメカニズムが達成しようとしている目的の達成を妨害しているからです。

●さらに悪いのは、彼らが旱魃や飢饉の起こっている時にすることです。たとえば国民の半分が飢えてて、他の半分が小作業をやっているのに、NGOがやってきて飢えているほうに食糧を配ったりすると、農作物を売れなくなってしまうようなケースです。

●たしかにNGOで働く金髪の女性なんかは食糧を配ることによって聖人になったようで気分はよいかもしれませんが、彼女たちは同時にその半分の飢えていないほうの国民の生活を破産させてしまっているわけです。

●イギリスの場合は世界中に「必要性」があったから120もの違う国々へ植民地の獲得をしに行きましたが、現在はそれにかわってボランディアたちが仕事をしておます。

●もちろん彼らの意図は素晴らしいですし理解できるものですが、それでもそれは本当に邪悪なことをやっているわけです。

●なぜ邪悪なのかというと、たとえば本当に大規模な民族浄化のような大虐殺が行われている時は、彼らは介入しないのです。カンボジアのクメール・ルージュが自国民を200万人殺しましたし、ルワンダの時は80万人死にましたが、そういう時は絶対に介入しないのです。

●ところが介入する場合には何というか。なんと「大虐殺を阻止するため」という理由を使うのです。

●ボスニアの場合にはサラエボでは何もしなかったので大量に人が死んだわけですが、コソボの場合は虐殺なんか起こっていないのに、そういう場合に限って介入するわけです。その時に殺された人の数は1800人とかでしたが。

●つまりわれわれは戦争のプロセスに介入してしまうことによる成り行きというものを徹底的に見ていかないといけないわけです。

●スリランカはこのよい方の例にあたります。スリランカでは長いこと内戦が起こっておりましたが、シンハリ政府が徹底的に内戦を抑えて終戦に持ち込み、だからこそ平和のチャンスが訪れているというわけです。

●ところがもしここにNGOやヒューマンライツウォッチなどが入り込んで色々と報告などをしていたら紛争が長引いていたはずです。

●よって、われわれは「善意」であったとしても、それが国際関係においてどれだけ邪悪な結果を生み出しているのかを考えなければならないわけです。ご清聴ありがとうございました。
Commented by 無花果 at 2013-04-22 11:11 x
このような援助の名目を伴った関与は、現場の人はどうあれ、大局的には混乱を長引かせ、発展途上国が安定し自立するのを妨げるための戦略の一環として行われているものだと認識していましたが、混乱が飛び火しやすくなり、そういったものが邪魔になってきた、ということなのでしょうか。ルトワックさんがどのような目的でこういう問題を提起して、既存の慈善的価値観を破壊しようとしているのか興味深いです。
Commented by あさぎり at 2016-01-07 21:15 x
ツチ族とフツ族の話は今の日本と韓国の関係にも言えそう。
日本は日韓関係を自らコントロールしないで、外部に頼ってると永久に悪い状態のままでしょうか。
by masa_the_man | 2013-04-21 22:40 | 日記 | Comments(2)