戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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ルトワックの動画の翻訳:その2

それでは昨日のつづきです。

動画についてはこのエントリーを参照してください。

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(10:00)

●私は(イスラエルの)ハーレツ紙に(第四次中東戦争の行われている)1973年の10月23日あたりにインタビューされたことがあるのですが、この時に私は「イスラエル側は突然戦争が始まって驚いたけど、なんとか戦争に勝てた、なぜならバランス・オブ・パワーがイスラエル側にシフトしていたからです」と答えたことがあります。

●もちろんいくらでも状況が悪くなる可能性はあったのですが、テクノロジーなどの変化はイスラエル側に有利になっていたからです。

●このように答えたらさっそく大きな批判が出てきまして、たとえば私が犠牲者について何も触れていないということで色々と意見をいわれました。

●しかしこの時の私の見解は、大量の戦車を使って何千人も犠牲者を出すような覚悟がないかぎり、戦争は行えないということです。

●ここで戦略の三つ目の問題が出てきます。それは、「常識」は敵である、普通の人間的な感情は敵である、ということです。

●つまり、われわれの唯一の味方は、紛争の冷酷なロジックなのです。そしてこれは外交レベルで最も必要とされます。

●たとえば第二次大戦の時のドイツを思い出して下さい。ドイツ国防軍は素晴らしかったですが、空軍はそれほどでもないし、海軍は無益でした。

●陸軍の将軍で有名だったのはロンメル、グデーリアン、それにマインシュタインなどでしょうが、彼らも結局は何の役にも立たなかったわけです。つまり価値は「ゼロ」だったのですね。

●なぜでしょうか?それはヒトラーがロシアとアメリカと戦争をはじめて、同盟国をブルガリアとイタリアにしたからです。私はブルガリア軍を非常に尊敬しておりますが、それでも役には立たなかったのです。

●だからこそここで、われわれには「忍耐」(discipline)が必要になってくるわけです。この「忍耐」のわかりやすい例を挙げてみましょう。

●19世紀から20世紀に変わる頃の話ですが、ドイツの大学は世界の最先端を行っておりまして、イギリス人でさえ大学で科学や古典(ギリシャ・ローマ)をやる場合にはまずドイツ語を学ばなければならなかったほどで、唯一ドイツ語を必要としない学科は英文学だけでした。

●学問界ではそのような状況でしたが、産業界ではその差がさらに開いていて、シーメンスやドイツ銀行などは世界のトップでした。

●そうなると、1890年の時点で30年後の世界、つまり「1920年の世界はどうなっているか」と予測したとすれば、知性を持ったほとんどの人々が「ドイツが世界を席巻しているよ、当然だ」と答えたでしょう。

●ところが実際の1920年のドイツは敗戦国で、国土は荒れている状態にありました。

●では何が問題だったかというと、ドイツが(とくに太平洋の)植民地を欲しがったという点です。このためには艦隊が必要となったのです。

●まったく同じことを中国もやっているわけです。彼らは空母を持ってますが、これは完全ジョークですよね。なぜならこれで手に入れられるのは、何の影響もない小さな島くらいであり、しかもそれで世界を敵に回してしまうわけですから。

●で、ドイツは何をしたかというと、艦隊を建造しはじめたわけです。これがイギリスの支配層の逆鱗に触れて、彼らは冷酷に「ドイツ帝国海軍は破壊されなければならない」と考えたのです。当時のビクトリア女王はドイツ皇帝と親戚でしたが、これは無意味なことでした。

●ではイギリスは何をしたか。まずアメリカとの紛争を徹底的に回避したのです。

(15:00)

●アメリカはイギリスにたいしてやりたい放題したわけですが、それをイギリスは我慢したのです。これこそが「忍耐」なのです。

●次に何をしたのか。フランスと17箇所で行っていたとされる植民地争いをやめ、すべてにおいて妥協をして問題の決着を計ったのです。これで領土争いは早い段階で一挙に解決できました。フランスは100%要求を獲得できたのです。

三つ目にイギリスがしたのは、鼻をつまんでロシア帝国と同盟を結んだのです。

●この時点でドイツは三つの帝国(英仏露)に囲まれたわけであり、唯一同盟ができる国は日本だけだったのですが、イギリスは先に日英同盟を結んで予防策を講じていたわけです。

●この三つのことをやり切るあいだ、イギリスはとにかくすべてを譲って犠牲にしてきたわけです。この時には「帝国の遺産を切り売りしている!」と言われたり、「外交官は毎日シャンペンを飲んでるだけだ」と非難されたわけです。

●ところがその結果はドイツの敗北です。

●もちろんドイツ陸軍は優秀でしたし、科学者もすごくて、ガス兵器も使ったりしましたが、それでも結果的には何の役にも立ちませんでした。なぜなら三つの帝国を相手にした状態で、いくら戦闘や戦域で連戦連勝したとしても、封鎖されて何も輸入できなくなっていたからです。

●これはアメリカが参戦しなくても最終的な結果は同じで、食べるものがなければ終わりということです。

●ではこれはどのようにして達成されたのかというと、イギリスがとても冷酷に戦略に焦点を当てていたからです。つまり「同盟国」のほうが、自国が伝統的にもっていた「国力」よりも大切であるということです。

●私のいう「大戦略レベル」とは、国家の資源や国民の支持、それに経済などですが、それと外交レベルがあり、ここで同盟国が必要になってきてすべてが決定されるわけです。

●この「同盟国」というのは、単なる外交的な言葉の上辺のものだけではなくて、本当に機能しているものであるということです。

(18:00)

長いのでつづきはまた明日!
Commented at 2013-04-15 12:09 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by at 2013-04-16 22:19 x
日本は中露韓と領土問題でもめているわけですが。
by masa_the_man | 2013-04-14 21:23 | 日記 | Comments(2)