バチカン銀行の“改革”をめぐる権力争い:その3 |
さて、またまたバチカン銀行のネタの続きを。
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●秘密的なバチカンにたいしてさらなる透明性を求める外部からのプレッシャーは、ブリュッセルに本部をおいてEU27カ国を代表する欧州委員会や、1999年にユーロを導入する際に課せられたルールの変更からもきている。
●2000年12月にはバチカンはこの小さな領土の中でユーロを使用するための文書にサインしており、これによって記念コインやユーロコインにバチカンの象徴などを盛り込むことができるようになって、旅行者用の土産品としてかなりの売り上げをあげている。
●ところがこの合意はブリュッセルの官僚たちにとって失望であった。なぜなら、他のユーロ使用国のほとんどがしたがっている資金洗浄を禁止するためのルールに、バチカンはほとんど従う姿勢を見せなかったからだ。
●欧州委員会はバチカンにたいして、この合意を見直すよう求めている。
●2009年12月にバチカンはようやくブリュッセルと新しい契約を結ぶことになったのだが、これは前例ないほどバチカンの自律性を損なう約束が含まれていた。なぜならヨーロッパとの金融面での紛争の解決については、ルクセンブルクにある欧州連合司法裁判所にゆだねることが含まれていたからだ。
●ヨーロッパ側の政府高官は「これは大きな新しい歴史的な第一歩です。歴史始まって以来はじめて、バチカンが神以外の超越した権威を認めたわけですから」と述べている。
●去年の6月にバチカン銀行の執行役であるキプリアニ氏は、バチカン銀行を紹介する珍しいツアーの際に、報道陣にたいして、ユーロコインの発行権を維持するために、資金洗浄を防止のマニーヴァルによる監査をはじめから合意していたと述べている。
●彼は「われわれは聖なる父の姿をコインに刻み込むことはできません。なので、その代わりにこの問題に取り組んでいたのです」と彼は「母なる教会」を描いた天井のフレスコ画の下で、すでに用意されていた質問に答えていた。黒服を着た銀行のマネージャーたちは、その横に静かに立っていた。
●彼はバチカンが「透明性の問題に真剣に取り組む」ということも述べており、「われわれは(銀行にかかっている)秘密のベールをはぎ取る必要があります」と言っていた。
●ところがそこから伸びる影は大きくなるばかりだ。1月1日には、バチカン銀行を詳しく捜査しているイタリア銀行が、ドイツ銀行のイタリア支店のバチカンにたいする金融サービスを禁止している。
●この禁止には、バチカンの美術館でクレジットカードを使えなくすることが盛り込まれており、この措置は去年の12月31日までにバチカンが締め切りまで命令の追従にしたがわなかったからだ。
●バチカン側はこの禁止措置に抗議しており、2月にはEUに所属していないスイスに合弁企業を設立して、そこに金融サービスを行わせると発表している。
●バチカンがスイスの企業に内部の財政サービスを任せたのは、バチカンの「透明性に関してはあまり良いニュースではない」と述べるのはイタリアの経済紙( Il Sole 24 Ore)のバチカン専門家であるカルロ・マローニ氏の弁。
●それでも彼はいくらかの変化があったとしている。「過去はたしかに金融面でやりたい放題でしたが、今日はかなりそれも改善されました。それでもグレーなところは変わりませんがね。最小限よりはマシなことをやっていますが、それでもまだまだです」とのこと。
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バチカンというのは、IRAというテロ組織にたいする資金源になっていると言われたり、その金がアメリカのカソリックから流れてきているという噂があったりと、常に歴史の見えないところで色々と関与が噂されているところですよね。
世界で10億人以上信者がいると言われる信仰の総本山ですから、問題がないことのほうがおかしい、といえばまさしくその通り。
ということで微妙なネタでしたが、イギリスでも新法皇がアルゼンチン出身ということでフォークランドと紛争を抱えているためにこの辺りの話を大きく取り上げていたのが印象的でした。
国際政治を分析する上では、このような宗教関係の動きも無視できないのでなかなか大変です。
