戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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バチカン銀行の“改革”をめぐる権力争い:その1

今日の横浜北部は朝からずっと雨です。というか、昨日から飽きもせずによく降り続いているなぁという感じですね。

さて、キプロス問題に揺れるEUですが、個人的にはバチカン/カソリックネタのほうに前から注目しておりまして、とくにバチカン銀行の情報公開をめぐる熾烈な争いは、非常に興味深いと思っておりました。

日本での注目は低かったですが、このニュースではEUとの権力争いや「道徳」をめぐる問題、イタリア特有(?)の政治文化、そして宗教間の争いや「伝統vs近代」という対立など、驚くほど多様な要素が入り混じっていて好奇心をそそられます。

ということでやや古いものですが、話題になった記事の要約です。

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バチカン銀行の改革をめぐる権力争い

byレイチェル・ドナディオ&アンドリュー・ヒギンス

●バチカンを国際的な銀行の基準にしたがわせるかどうかについての交渉は、実に微妙なところにきている。

●ある昼食の席で実際にあった話だが、数百年間にわたって秘密の闇に包まれてきたバチカン銀行の改革の必要性について話題が及び、その話題をあるバチカンからの参加者にふると、「なんて失礼な質問をするんですか!」と叫んだという。

●これはバチカン銀行に浄化する圧力がかかり始めているからこそ起こったことであり、たしかにこの銀行は、何十年間にもわたって後ろ暗い噂や陰謀、それに不審死などが疑われてきた。

●またこの圧力は、EUがユーロを使用しているバチカンやモナコなどの小国を含む、すべての国にたいして統一したルールを制定しようとしているという事情もあるのだ。

●このような圧力は前のベネディクト16世の任期が終わるまで続いており、新しい法皇が選ばれる今後も引き続き焦点になるはずだ。新しい法皇はカソリックの財政を近代化なければ、世界の銀行システムへのアクセスを失うことにもなりかねないし、その道徳的な面や財務の安定性を損なってしまう危険もあるのだ。

●コンクラーベの前に枢機卿たちはバチカンの財政について説明を受けており、バチカンの内部か、それとも外部の人間がそれをコントロールするほうがいいのかどうかという点について議論を重ねている。

●議論の対立点がどこにあるのかは微妙だが、バチカンの財政については内部で意見がわかれており、より透明性を確保しようとする勢力と、秘密の伝統を守ろうとする勢力の争いになっている。

●1942年に創設されたこの銀行は、一般的にローンの貸し付けはしないのだが、宗教施設の預金や遺産は管理しており、ここの口座を持てるのはバチカンによって派遣される聖職者と外交官だけである。

●専門家によると、冷戦時代のバチカン銀行は東欧圏で共産主義打倒のための活動資金を通過させるために使われている見られており、今日ではバチカンがキューバや中国のような微妙な地域での活動資金を流すために使っているとされている。

●ところが外部の権威にたいして口座を公開しようとしないバチカン側の気乗りしない姿勢(これはとくに過去の取引を詮索されるのをいやがっているためだ)のために、長年にわたってその口座のいくつかは犯罪組織やイタリアの政治腐敗の資金源となっているのではと怪しまれている

●2011年にはバチカン銀行の概要が一度だけ発表されたことがあり、2万772人の顧客があり、そのうちの68%は聖職者のもので、合計資産は82億ドルであった。銀行によれば、全部で3万3000個の口座があるという。

●近年になってイタリアの検察は、とくに聖職者が怪しい目的で口座を使っているのではないかと疑って積極的な捜査をするようになっている。たとえば去年の七月にイタリア当局は、保険金詐欺をはたらくために弁護士に自分のバチカン銀行の口座を使わせていた神父を逮捕している。

●金融機関をモニターしているEU本部のブリュッセルの高官や機関は、バチカンは資金洗浄を禁止するという面で近年になって非常に協力的になってきていると言っているが、それでもまだ透明性が足りないという。

●バチカンの中には積極的に改革しようとする人々もいる。ところが既得権を持つ勢力による「透明性にかんする問題ではとんでもない抵抗があることを軽くみてはいけないですよ」とあるEUの職員は言っている。

●ベネディクト法皇時代にはバチカン銀行は、国際的な銀行の基準に適合する、いわゆる「ホワイト・リスト」に入ることを宣言していた。たしかに彼の最後の行動は、ドイツの貴族であるエルネスト・フォン・フライベルグ氏をバチカン銀行の新しい頭取に任命することであった。

●この任命によってバチカン側がイタリア人の少数のインサイダーたちによって伝統的に握ってきたの財政のコントロールがゆるまったのであり、それらの何人かは外部からの査察に猛烈に抵抗してきた経歴を持つのだ。

●彼らはバチカン銀行を実質的にイタリア人だけの機関として保とうとしていたのであり、批評家たちは彼らがイタリアのスキャンダルだらけの政治・財務のエスタブリッシュメントと危険なほど近い関係にあったと言っている。

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ちょっと長いので、後半はまた明日。

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by masa_the_man | 2013-04-03 15:22 | 日記 | Comments(0)