戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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世代間の戦略の考え方の違い?

今日の横浜北部はまたまたよく晴れております。昨日よりも気温が上がるとか。

さて、すでに以前のエントリーで触れた通り、ノーベル賞を受賞した京都大学の山中教授が「累積戦略」と「順次戦略」を「ビジョン&ハードワーク」という言葉で表現していることを書きましたが、その補足を。

ネットにはこの彼の「究極の戦略論」の説明が出ておりますが、たとえばこのサイトでは以下のような説明が。

===

山中教授の話の中で印象的だったのは、座右の銘であるという「Vision(ビジョン)&Hard Work(ハードワーク)」という言葉。

「ビジョン&ハードワーク」、すなわち「目的をはっきり持って、それに向かって懸命に働くということ」ですね。

山中教授は講演の中で

・「日本人は、ハードワークは得意だがビジョンを見失っている学生が本当に多い。」
・「ビジョン(仮説)がないとハードワーク(作業)のムダ使いになる。」

と話しているそうです。

===

とあります。それに対して私は以下のように、

===

これについてですが、私の「武器捨て本」を読まれた方はすでにご存知の通り、これは山中教授が無意識的に戦略の肝となる部分を理解していたということ。

どういうことかというと、

ビジョン:順次戦略

ハードワーク:累積戦略

ということになります。

私が翻訳したワイリーは、著書の中で「この二つの戦略の両方を使わないとダメ」としておりますが、山中教授は(米国で教えられて?)この二つを意識していたと。

しかも彼は上の講演会で、「日本人はハードワークは得意だが、ビジョンを見失っている学生が本当に多い」としており、日本人は累積戦略が得意だが、順次戦略が(とくに若者たちに)ないと言っているわけです。

さらに面白いのは、この記事の見出しが「技術者マインド」で、さらに該当部分の小見出しが「ハードワーク」だけ、という点でしょうか。

日本人がいかに累積戦略が好きなのかを象徴しているような(笑

===

と説明したわけですが、今回のCD「若きクリエイターたちへ捧ぐ! Cumulative & Sequential Strategy 累積戦略と順次戦略
~『Quiet(クワイエット)』を読み解く:引きこもりが勝利する時代~
」をつくる過程でつくづく感じたのは、最近の日本人の多くの思考法が、どちらかの戦略論に極端に偏りすぎているということです。

たとえば累積戦略、つまり(孤独な)ハードワークというのは、近年アメリカから大量に輸入された順次系の戦略理論などの攻勢に押されて、最近はあまり垣間みられなくなっております。

ところが古い世代の「現場」出身の人たち(しかもバブルまでは大成功していた)というのは、この累積戦略の大切さを肌身でわかっているために、若い世代に対してとにかくハードワークをやらせようとするわけです。(この極端な例が体罰問題?)

しかし若い世代の人間が、順次系に毒されてしまったために、累積系を「完全に古い時代遅れなもの」と見なしているため、その大切さが伝わりません。ここにギャップが生まれるんですな。

では古い「累積ハードワーク系」の世代が、若い「順次ビジョン系」の世代の考え方をわかるかというと、彼らも実は理解不能なわけですから、結局は意志の疎通ができずに共倒れするという構図が現在の日本の産業界全体にあるのかと。

肝腎なのは、ワイリーや山中教授も言うように「累積」と「順次」の両方をバランスよくもって、それを「回す」ことにあるわけですが・・・これはなかなか簡単に理解しずらいものなのかと。

もちろんこのような世代間のギャップについての考えの違いについての分類はかなり大雑把なわけですが、それでも一つの傾向のようなものを表しているのかと。

先日の某官僚の方々との会話でもそうですが、「戦略の階層」とともに、この「累積順次」の重要性を理解する人が増えればだいぶマシになるのになぁ、と思う今日このごろです。
Commented by xyz at 2013-02-28 23:15 x
最初、山中教授を見たときに、違和感を感じたんですよ。軍艦の艦長みたいな面構えの人が、ノーベル賞を取ったことになんですが。
この違和感の原因は、世界観を持っていることに起因するんですかねぇ。
by masa_the_man | 2013-02-28 11:13 | 日記 | Comments(1)