戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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不完全燃焼な戦争の時代

くどいようですがお知らせです。

明日の午後六時から、いよいよ国際地政学研究所のワークショップが開催されます。

さて、北朝鮮の核武装ネタに関連して、というわけではないですが、以前の記事で面白いものがあったので、その要約を。

著者は米陸軍の元軍人で、対暴動でかなり有名な本を書いた人物で、米軍の陸軍・海兵隊のマニュアルまで書いております。退役後はオバマ政権でアドバイザーなどを務めており、CNASというシンクタンクでは代表まで務めております。

そういえばこのブログでも、彼が私の学校に来て講演をしたことを載せた記憶が。

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不完全燃焼な戦争の時代
By ジョン・ネーグル

●(二〇一二年五月末の)戦没将兵追悼記念日に、オバマ大統領はアメリカのすべての戦争の退役軍人たちに向けて演説を行ったが、その中で特に二つのことを強調した。

●一つはイラク戦争がその前年に終わったこと、そして二つ目はベトナム戦争が五〇年前に始まったことだ。

●ところがオバマ大統領は、現在進行中で軍事史には確実に残ることになるアフガニスタンで行われている戦争については何も触れなかった。その理由は、まだこの戦争がベトナムの時のように混乱状態にあるのか、もしくはイラクの時のように不完全燃焼で乱雑な勝利の一種のようなだからだろうか?

●従来の見方からすれば、この二つの選択肢はどちらも魅力的ではない。ところがオバマ大統領はアフガニスタンの戦争を、まさにイラクのような形で終結させることを受け入れなければならない

●これは逆説的かもしれないが、実は乱雑で不完全燃焼な状態というのが現代の対暴動戦争における「成功」の印だからだ。

●たとえばアメリカは、現在のイラク政府とその政策で困ることはないし、イラクの石油の輸出量の増大は世界経済の復活を助けることにもなる。

●もちろんわれわれがイラクに注ぎ込んだ血と資金の報酬としては満足いくものではないが、それでもこれは完全な敗北ではないし、これはイラクが内戦に陥っていてアルカイダが基盤を固めようとしていた二〇〇六年の時点でわれわれが想像していた状態よりも、はるかにマシな状態なのだ。

●二〇一五年にはアメリカの資金とアドバイザーのおかげで、アフガニスタンにも同じようにマシな政府が誕生していないとは言いきれない。そしてこれも不満足な目標だが、失敗ではないし、しっかりとした安定が訪れる希望がないわけではないのだ。

●不完全燃焼な戦争というのは、対暴動の相場で取引される「株式」である。よって、相手の降伏を祝うような式典はほとんどないし、従来の戦争のような勝利でおわることも稀なのだ

●そしてこのような形の戦争こそ、われわれが過去五〇年間にわたって戦ってきたもののほぼすべてなのだ。

●ジョン・F・ケネディ大統領は一九六二年に陸軍士官学校であるウェストポイントで卒業生にたいして、君たちはこれから暴動的な敵を倒すのに苦労するかもしれない、と警告している。

●「目に見える敵とオープンな場所で戦う場合にはあまり問題ないが、敵が見えにくい存在で、しかもその戦いが長期戦のゆるやかなものである場合には君たちにとってかなり厳しい状況になる」とはケネディ大統領の弁。

●ウェストポイントの卒業生や東南アジアで対暴動の作戦に従事する人々にとって、それからの戦争は、結果として若い大統領が思いもよらないほど厳しいものになったのだ。

●もちろん米陸軍はクレイトン・エイブラムス将軍の下で対暴動の原則を実行したためにかなり進歩したのだが、それでもベトナムの教訓は「アジアで非正規戦を戦うべきではない」ということになってしまったのだ。

●陸軍はこの教訓をあまりにも強く受け止めてしまったために、ジャングルで学んだことを忘れ、ソ連との通常兵器による戦いに集中してしまった。

●二〇〇三年に陸軍と海兵隊はサダム・フセインの軍隊を迅速に破壊したが、その後に予測できていたはずの敵、つまり一部はイスラム過激派の思想から、しかし多くは単純なナショナリズムに影響された反乱分子たちに直面することになってしまったのだ。

●対暴動の厳しい教訓は、ゲイツ(前)国防長官とペトレイアス(元)将軍が戦闘と交渉を織り交ぜた戦略を実行する前に軍内で再学習されるべきであった。

●二〇〇七年の「サージ」では、新しい対暴動戦術が使用されたと同時にイラクにおけるアルカイダの無意味な蛮行があったおかげで、スンニ派は立場を変えてアメリカ人ではなくイラク内の過激派にたいして戦うようになったのだ。

●「サージ」はイラク戦争を劇的に変化させ、当時はまだ大統領候補だったオバマ氏も、イラク戦争に向けていた資源を「善い戦争」であるアフガニスタンに向けると約束したほどだ。オバマ氏は大統領になってからもこの公約を守り、任期の一年目からアフガニスタンの米軍の規模を三倍まで増やし、パキスタンにおける無人機攻撃を今までの半分に落としたのだ。

●そしてネイビーシールズのチームによるオサマ・ビンラディン殺害によっても助けられたこの戦略は、一定の効果を挙げたのである。

●アルカイダが実質的に排除された今、国を統治してなんとか機能させられる政府というは、アメリカの国家安全保障の目標を達成するという意味でも十分な存在であろう。

●成功したいかなる対暴動と同じように、アフガニスタンというのはアメリカ人にとって不完全燃焼のまま終わるだろう。

●つまりカブールの政府は汚職にまみれているがゆっくり改善しつつ、アドバイザーたちが弱体化しているがまだ危険なタリバンと戦うためにアフガニスタン軍を指導し、精神分裂的なパキスタンはアフガニスタンとタリバンを代わる代わる助けるような状況になるということだ。

●また対暴動の奇妙なロジックによれば、われわれがプロジェクトをある程度未完成のまま終わらせることができれば成功に近づくということにもなるのだ。

●自分自身でも対暴動を大変得意としていたT・E・ローレンスは、「自らの手であまりやりすぎないほうがよい・・・これは彼らの戦争なのであり、君の役割は彼らを助けることで、彼らのために勝つことではないのだ」とアドバイスしているほどだ。

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非常に素直で正直な論説記事ですね(笑)最後の部分などは「バックパッシング」そのまま。

「対暴動」のところを「領土紛争」と置き換えると、面白い視点が見えてきていい感じです。
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Commented by 待兼右大臣 at 2013-02-15 10:53 x
>>「対暴動」のところを「領土紛争」と置き換えると

というよりも、日華事変を思い出してしまいます。
Commented by masa_the_man at 2013-02-23 09:51
待兼さんへ

>というよりも、日華事変を思い出してしまいます。

なるほど、そうきましたか。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2013-02-14 06:00 | 日記 | Comments(2)