戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28

米国の政府高官が絶対に認めない五つの「真実」

今日の東京はよく晴れまして、真冬ながらもなんとなく春の到来がかすかに感じられた一日でありました。

さきほどまで月に一度のオフ会を開催しておりました。ご来場いただいたみなさんには感謝です。さっそくですが来月のスケジュール(三月一〇日)と発表者も決定しまして、二人とも医療業界の興味深いネタになりそうです。

さて、本日は私がいつもチェックしているスティーブン・ウォルト教授のブログから。

内容は「アメリカの政府高官が絶対に認めない五つの真実」という興味深いもの。簡単に要約を。

===

われわれが核兵器を手放すはずがない

すでに冷戦初期からアメリカの大統領は核の廃絶を言明している。歴代の高官であるキッシンジャー、シュルツ、ペリー、ナンのような引退した有名人だけでなく、オバマ自身だって言明している。また、国防長官にノミネートされているヘーゲル元上院議員も「グローバルゼロ」という核廃絶宣言に署名している。だが持っている核弾頭をすべて廃絶することを真剣に検討したことはないし、個人的に支持を表明したとしても、これほどすごい抑止力の放棄など実際にやろうとはしていない。

実は人権なんかどうでもいい

たしかに政府の上層部の人間はいつも人権の大切さを訴えるが、それがアメリカの国益と衝突する場合は国益が常に優先される。たとえばイラクにたいする経済制裁が多くのイラク国民の死の原因になっていた時でもアメリカ人は全然気にしていなし、ブッシュ政権の拷問を許可した人間も訴えられていない。アメリカの同盟国の中には人権など考えないような政権もあるし、中国とも喜んで貿易している。もちろんわれわれは人権に関心はあるが、実際にその向上のために何か行動を起すことは(戦略的に有利になる場合以外は)少ない。

パレスチナに国家の地位を承認するわけがない

アメリカの政府高官たちは建前上はパレスチナ問題で国家を与えるべきだと言うのだが、実際にはオスロ合意以来とにかく失敗ばかり。たしかにイスラエル自身も反対している(細かい計画が出てくると賛成は激減)し、パレスチナ側は弱体化して過激派が政権をとってしまうし、最近のイスラエルの選挙では和平派への支持は集まってない。アメリカも長年仲介役をやっているが中立的な立場ではないのでいつも失敗させている。失敗した後にどうしようかという政策が見えていないからだ。

われわれは世界でナンバー1でいることが大好きだし、この状態をなるべく長く続けたい

アメリカはつねに外交の席で他国との協調を言明するのだが、実際のところはどの大統領も「ナンバー2になるために投票して下さい!」とは言わない。だからこそ彼らはヨーロッパの統合について曖昧で、とりあえず統一してもいいがアメリカに対抗できるほどの超大国にはなってほしくないのだ。だからこそブッシュ父は1992年に発表されたディフェンスガイダンス(グローバル覇権を狙う非常にネオコン的な内容)の初期のドラフトの存在を否定したのだ。

われわれは外交で何度も失敗をしているが、それに慣れてくれ

1960年代初期からのキューバへの政策が失敗だったことは明らかだがそれでもアメリカの政府高官はフロリダの有力者たちを怒らせることになることを恐れて変更することができない。誰もが「麻薬との戦争」が国内での状況と同じように失敗していることは最近のケリーやヘーゲルの公聴会でもまったく触れられない。アメリカの同盟国たちがアメリカに「ただ乗り」していることは誰もが知っているが、外交的な意味で何も言えない。アフガニスタンの戦争も失敗だと知っているのに、政治的に実行可能だから「成功だ」と言いはって撤退をするという具合だ。われわれのイランにたいするアプローチは逆効果であることを知っているのに、誰もそれを指摘しない。

===

たしかにアメリカの政府高官はこんなこと絶対言いませんね(苦笑

問題は、ウォルトはリベラルだからこういうことを言っているのではなく、リアリストだからこういう指摘をしているという点です。

国際政治は危険で汚いヤクザな世界です。この視点を忘れてはいけないということですな。
Commented by ウヨなM at 2013-02-03 22:30 x
これは絶対に認めないというより
思っててもいっちゃダメだろレベルに感じます(笑)
Commented by カレリア at 2013-02-04 08:38 x
アメリカが尖閣で日本側につくと言う幻想を日本はいつまで持ちつずけられるのか。
Commented by (^o^)風顛老人爺 at 2013-02-04 14:52 x
拝啓、奥山様お題外れかもしれませんが。「 男脳中国女脳日本 」なぜ彼らは騙すのか 谷崎 光 集英社が参考になります。第六章、中国の本質は遊牧にあり 202ページが領土と歴史感覚を海老天ぷらところもに喩えています。

根本的に何故、日本人はお人好しか。 なんでチャイニーズや大陸の人々はごり押しで狡賢くしぶといか。漫画的な所がありますが端的にに指摘してあります。是がチャイナのやり方全ての原因ではと捉えています。m(_ _)m乱文にて 敬具
Commented by (^o^)風顛老人爺 at 2013-02-04 20:27 x
追伸、連投御容赦下さい。書き忘れましたアマゾンのリンクです。m(_ _)m 敬具
Commented by 大阪人K at 2013-02-04 22:46 x
最後の落ち
⑤われわれは外交で何度も失敗をしているが、それに慣れてくれ

これ自体がアメリカンジョークですね。
思わずお笑いしてしまいました。


>ヤクザな世界
社会的に成功したヤクザはリアリズムとリベラリズムの使い分けが上手いですね。実際、ヤクザは無茶もしますが慈善団体への寄付もしたりします。

実際、四六時中リアリズムをむき出しにしたら、周囲から袋だ叩きに遭うのでリベラルなことをして自分を守ります。

そう思うと益々もって国際社会とヤクザの世界が重なってくるのが何とも・・・国際社会もリベラルな”フリ”をしていますから・・・

リアリズムだけでも駄目、リベラルだけでも駄目。何事も使い分けということでしょうか。
Commented by masa_the_man at 2013-02-06 21:07
ウヨなM さんへ

>思っててもいっちゃダメだろレベル

たしかに(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2013-02-06 22:48
カレリアさんへ

>アメリカが尖閣で日本側につくと言う幻想を日本はいつまで持ちつずけられるのか。

天は自ら助くる者を助く、ですな。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2013-02-06 22:49
風顛老人爺 さんへ

>拝啓、奥山様お題外れかもしれませんが。「 男脳中国女脳日本 」なぜ彼らは騙すのか 谷崎 光 集英社が参考になります。第六章、中国の本質は遊牧にあり 202ページが領土と歴史感覚を海老天ぷらところもに喩えています。

ご紹介いたきありがとうございます。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2013-02-06 22:51
大阪人Kさんへ

>これ自体がアメリカンジョークですね。

そうなんですが、人間界や国際政治にはこのような例が豊富なわけで・・・

>実際、ヤクザは無茶もしますが慈善団体への寄付もしたりします。

ありますねぇ

>国際社会もリベラルな”フリ”をしていますから・・・

そうなんです。

>リアリズムだけでも駄目、リベラルだけでも駄目。

バランスなんでしょうな。ただし日本の場合はリアリズム的視点を忘れがちなので困るわけです。コメントありがとうございました
Commented by (^o^)風顛老人爺 at 2013-02-21 06:56 x
拝復、奥山様返信頂き有り難うございます。付記URLよりチャイナ・ウォッチャー谷崎光氏 中国てなもんや日記へ。新刊
「 中国人の裏ルール 」
10年住んでもダマされる 谷崎光氏 新人物往来社が紹介されています。日本は、逆説的に素晴らしい周辺国に囲まれています。(笑)(^o^)m(_ _)m乱文にて 敬具
by masa_the_man | 2013-02-03 19:39 | 日記 | Comments(10)