戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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アメリカの世界観:その2

今日の横浜北部はまだ晴れておりますが、天気予報だと今夜から雨/雪だとか。

さて、クリストファー・レインの『幻想の平和』を参考にして、またアメリカの世界観について。

例のごとく第六章の重要なエッセンスの部分だけを出血大サービスで以下に要約としてまとめておきます。

もちろんもっと詳しく知りたいかたはぜひご購入のほどを!

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●リベラル派のイデオロギー(ウィルソン主義)では、国際的に経済がオープン(門戸開放)されている状態であることが国際政治において「自然」な状態であり、これが平和と安定をもたらすものだと示唆されている。

●ところがこれは現実からはあまりにかけ離れている。なぜか。

「国際政治で経済的にオープンな状態」というのは、そもそもある覇権国が意識的に創設した場合にのみに発生するものだからだ。

●オープンな経済に必要なのは以下の四つ。

①地政学的動揺のない国際政治の状態
②安定的な政府
③貿易ルートの安全確保
④周辺地帯へのアクセス(とその地域の安定)

●経済面での拡大というのは、まず政治面での安全度に左右される(ジョン・ギャラガー&ロナルド・ロビンソン)

●アメリカが一九四〇年以降にやってきたのはまさにこれだ。アメリカは軍事力を使いながら、経済面での門戸開放にとって安心できるような、安定的な秩序をつくってきたのだ。

●その反対にいえば、アメリカが海外にもつ経済的権益というのは、これを守ろうとしてアメリカの軍事力を引き寄せる、いわば磁石のような役割を果たして来たのだ。

アメリカの政策家たちにとって、経済面での門戸開放にたいする根本的な脅威というのは「政情不安」である。

●「もしわれわれ以外の国々が戦争の混乱に陥ってしまえば、世界の貿易は完全に中断されてしまう」とはフランクリン・ローズヴェルトの言葉。冷戦時代もそれ以降も、アメリカの政策家たちのこのような考え方には変わりはない。

●「政情不安というのは、人命とマーケットを破壊するものだ」(ウィリアム・コーエン)

●米軍が東アジアやヨーロッパにいるのは、ワシントン政府がこの二つの地域で新たな覇権国の出現を阻止するためではなく、むしろ地域の政情不安(とくに経済の閉鎖状態につながるような大国同士の争いの復活)を防ぐことによって、門戸開放を維持するためなのだ。

●さらにいえば、アメリカは地政学的な動揺が溢れ出し、それがコア(中核地域)の経済に悪影響を与えるのを防ぐために、周辺地帯(もしくはその近くの地域)において軍事力を行使しなければならなくなる。

●アメリカの政策家たちは、とくに「再国家化」(re-nationalization)から生まれる悪影響を憂慮しており、この考えは彼らの「アメリカの地域安定装置としての役割は、ヨーロッパと東アジアの主要国たちが対立しあうような状況を防ぐことにある」という考え方が反映されたものだ。

●アメリカの安全保障関係者たちの間では、「再国家化」という言葉は、アメリカのカギとなる同盟国(ドイツ、EU、日本、韓国)がワシントン政府の戦略的包囲網から解放されて、自律的な対外安全保障政策をつくりはじめる可能性のことを示している。

●つまり、ヨーロッパや東アジアに駐留する米軍は、「再国家化」につながる可能性のあるヨーロッパや東アジアにおける「安全保障の真空状態」を防ぐためのものなのだ。

●これをわかりやすい言葉でいいかえれば、アメリカの政策家たちは、カギとなる地域が自国の門戸開放政策の経済的利益に影響を与えるような「多極の不安定な状態」に陥ることを恐れているのだ。

「再国家化」というのは、アメリカの戦略家たちにとって「多極状態への逆行」を意味する言葉だ。

●彼らはそもそも多極状態が国際政治を不安定化するもの――したがって経済がオープンな状態にとって有害なもの――であり、ヨーロッパや東アジアにおけるアメリカの大戦略の目標は、あくまでも「多極化に反対すること」であって、「覇権を防ぐこと」ではないと信じている

●単純に言えば、アメリカの大戦略の核心にあるのは「同盟国たちを自分の足で立たせることよりも、アメリカが彼らを守ったほうが良い」ということだ。

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いかがでしょうか。彼らの複雑かつありがた迷惑(?)な世界観の一面を表しているのかと。

ここから感じられるのは、やはり動機としての「恐怖」なんでしょうね。銃規制に関する最近の議論でも何度も出てきますが、この「外敵の恐怖」という動機はアメリカの場合にかなり強いのかと。

しかもそれがリベラルなイデオロギーと結びついているから厄介である、ということも言えそうな。

この辺はニーバーが「アメリカ史のアイロニー」でも散々指摘していることですな。
Commented by xion at 2015-08-01 21:51 x
さきほど市民メディアのIWJさんが山本太郎氏との対談で「幻想の平和」が出ていてました。それらを紹介しつつ、ようするにアメリカの軍事に加担する日本はこのままでは米中の戦場になるといっており、またオフショアバランスという言葉を出してアメリカは自国でやるのではなく、他国(日本)にやらせることで責任を転嫁できるとのこと。それを安倍政権は自ら買って出ているから危険だという話でした。それは正しい指摘なのでしょうかね。
Commented at 2015-08-04 09:33 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by masa_the_man | 2013-01-21 07:00 | 日記 | Comments(2)