2013年 01月 14日
アメリカの世界観:その1 |
今日の横浜北部は朝から雨でしたが、9時頃から雪に変わりまして、いまつもりはじめております。
さて、以前お約束した「アメリカの世界観」について。
私が去年から繰り返し説明している「戦略の階層」におけるトップに位置する「世界観」なんですが、もちろん事実上の世界覇権国であるアメリカももちろん持っております。
しかもこのトピックについてはかなり本格的な研究もありまして、何をかくそう、私もその研究の一つの成果である本を最近になって翻訳しました。
それがクリストファー・レインの『幻想の平和』という本です。
この本はアメリカの行動の原理のひとつの側面を教えてくれるという意味で個人的にも「翻訳してよかったなぁ」と思える名著なんですが、とくにこの中の第六章が、そのようなアメリカの世界観がどういうものであるかを論じた極めて特徴的な部分なのです。
しかしこの本はいかんせんちょっと価格的にお高いので(苦笑)、わたしがその重要なエッセンスの部分だけを出血大サービスで以下に要約としてまとめておきます。
もちろんもっと知りたいかたはぜひご購入していただければ、出版社のほうとしても助かりますね(笑
====
●アメリカの大戦略の思想の根底を形成しているのは「ウィルソン主義」。これはアメリカの対外拡大主義的なリベラル派のイデオロギーの略称。
●「ウィルソン主義」はアメリカの大戦略から一度も消え去ったことがない。
●現在のアメリカの政策家たちは、アメリカが安全を確保できるのは「門戸開放」(open door)された世界の中だけだと考えている。
●この「門戸開放世界」(the Open Door World)というのはアメリカ式のリベラルなイデオロギーによってできあがった世界のことであり、アメリカを自分のいる地域よりも外での覇権へと駆り立てているのは、国際システムの構造的な圧力ではなく、この門戸開放政策そのものだ。
●実はアメリカは二〇世紀初頭から最も安全な状態にあり、911以降でもテロでさえ「実在的な脅威」とはなっていない。
●ところがアメリカの対外政策のエリートたちは、伝統的に「自分たちが危ない状態にある」という感覚に悩まされ続けている。
●アメリカは自分たちが「特殊な国である」と感じている。それがいわゆる「例外主義」だ。
●この「例外主義」と「安全への恐怖」が組合わさって「門戸開放」という考え方がうまれた。
●「門戸開放」の最終目標は「国際的な環境をアメリカの都合のよい状態につくりかえること」となる。なぜならアメリカ国内の価値観の健全性は、海外の門戸開放世界の維持とリンクしていることになるからだ。
●これが安全保障の政策につながってくると、「アメリカが安全を確保できるのは、イデオロギー面で似たような価値観をもっている国だけが存在する世界である」という信念につながる。
●ところがこのような信念をもつアメリカ式のリベラリズムというのは、結果としてそれ以外の政治的イデオロギーにたいして非寛容的になってしまう。これはそもそも「リベラル=寛容性」ということを考えると大いなる矛盾だ。
●そしてこれが結果的に「国内での安全を確保するためには、海外の敵対的なイデオロギーを絶滅させなければならない」という考えにつながってくる。
●このようなジレンマを解決するひとつの方法が、民主制度の海外への輸出。そしてこれがいわゆるネオコンの思想や「民主制平和論」(デモクラティックピースセオリー)の考え方の土台になっていることはいうまでもない。
●ウィルソン主義のリベラリズムは、「アメリカが世界の目指すべきモデルであり、どの国よりも優れた価値と制度をもっている」という自意識の上に成り立っていることになる。
●ところがこれは、アメリカが必然的に自国とは違う文化や政治システムを受けつけないことを意味している。
===
それにしても「帝国」というのは、どの時代でも似たようなことを考えるんですな(笑
続きは別エントリーでまた書こうかと。
ついでながら、最近起こったニューハンプシャー州の幼児銃撃虐殺事件をきっかけに再燃した銃規制の問題について、アメリカの右派陰謀論者とCNNのホスト(イギリス人)の対談の様子も。
これも一つの「世界観」の違いを見せてくれているという意味で興味深い例かと。
さて、以前お約束した「アメリカの世界観」について。
私が去年から繰り返し説明している「戦略の階層」におけるトップに位置する「世界観」なんですが、もちろん事実上の世界覇権国であるアメリカももちろん持っております。
しかもこのトピックについてはかなり本格的な研究もありまして、何をかくそう、私もその研究の一つの成果である本を最近になって翻訳しました。
それがクリストファー・レインの『幻想の平和』という本です。
この本はアメリカの行動の原理のひとつの側面を教えてくれるという意味で個人的にも「翻訳してよかったなぁ」と思える名著なんですが、とくにこの中の第六章が、そのようなアメリカの世界観がどういうものであるかを論じた極めて特徴的な部分なのです。
しかしこの本はいかんせんちょっと価格的にお高いので(苦笑)、わたしがその重要なエッセンスの部分だけを出血大サービスで以下に要約としてまとめておきます。
もちろんもっと知りたいかたはぜひご購入していただければ、出版社のほうとしても助かりますね(笑
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●アメリカの大戦略の思想の根底を形成しているのは「ウィルソン主義」。これはアメリカの対外拡大主義的なリベラル派のイデオロギーの略称。
●「ウィルソン主義」はアメリカの大戦略から一度も消え去ったことがない。
●現在のアメリカの政策家たちは、アメリカが安全を確保できるのは「門戸開放」(open door)された世界の中だけだと考えている。
●この「門戸開放世界」(the Open Door World)というのはアメリカ式のリベラルなイデオロギーによってできあがった世界のことであり、アメリカを自分のいる地域よりも外での覇権へと駆り立てているのは、国際システムの構造的な圧力ではなく、この門戸開放政策そのものだ。
●実はアメリカは二〇世紀初頭から最も安全な状態にあり、911以降でもテロでさえ「実在的な脅威」とはなっていない。
●ところがアメリカの対外政策のエリートたちは、伝統的に「自分たちが危ない状態にある」という感覚に悩まされ続けている。
●アメリカは自分たちが「特殊な国である」と感じている。それがいわゆる「例外主義」だ。
●この「例外主義」と「安全への恐怖」が組合わさって「門戸開放」という考え方がうまれた。
●「門戸開放」の最終目標は「国際的な環境をアメリカの都合のよい状態につくりかえること」となる。なぜならアメリカ国内の価値観の健全性は、海外の門戸開放世界の維持とリンクしていることになるからだ。
●これが安全保障の政策につながってくると、「アメリカが安全を確保できるのは、イデオロギー面で似たような価値観をもっている国だけが存在する世界である」という信念につながる。
●ところがこのような信念をもつアメリカ式のリベラリズムというのは、結果としてそれ以外の政治的イデオロギーにたいして非寛容的になってしまう。これはそもそも「リベラル=寛容性」ということを考えると大いなる矛盾だ。
●そしてこれが結果的に「国内での安全を確保するためには、海外の敵対的なイデオロギーを絶滅させなければならない」という考えにつながってくる。
●このようなジレンマを解決するひとつの方法が、民主制度の海外への輸出。そしてこれがいわゆるネオコンの思想や「民主制平和論」(デモクラティックピースセオリー)の考え方の土台になっていることはいうまでもない。
●ウィルソン主義のリベラリズムは、「アメリカが世界の目指すべきモデルであり、どの国よりも優れた価値と制度をもっている」という自意識の上に成り立っていることになる。
●ところがこれは、アメリカが必然的に自国とは違う文化や政治システムを受けつけないことを意味している。
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それにしても「帝国」というのは、どの時代でも似たようなことを考えるんですな(笑
続きは別エントリーでまた書こうかと。
ついでながら、最近起こったニューハンプシャー州の幼児銃撃虐殺事件をきっかけに再燃した銃規制の問題について、アメリカの右派陰謀論者とCNNのホスト(イギリス人)の対談の様子も。
これも一つの「世界観」の違いを見せてくれているという意味で興味深い例かと。
by masa_the_man
| 2013-01-14 10:51
| 日記

