戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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政治家は「偉い」もんだ

今日の横浜北部は朝から雨で、かなり気温も低め。個人的にはモスクワの10月半ばくらいの気候という感じでしょうか。

さて、今回の選挙について一言感想を。

今回私が書くことは、おそらくこれをお読みの皆さんにはご理解いただけないかもしれず、もしかしたら非常に誤解を受けるだろうなぁということを承知で、あえて書いてみます。

すでにtwitterのほうでご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、私は昨日数カ所(しかも党の違う)の選挙事務所を覗いてきまして、その場にまるで支援者であるかのような顔をして紛れ込み(笑)、一種の社会見学をしてまいりました。

実は私は三年前の総選挙の時にも同じことをやっていまして、その時に味をしめたために、今回はこのようなことを行うのが二回目です。

そして今回、選挙事務所というものを覗いてみてあらためて感じたのは、「政治家は偉い」ということ。しかも私は「どの政治家も」という但し書きまでつけてしまいたいと思います。

なぜか。

政治家というのは、一般的にメディアでは、われわれの税金をつかって好き勝手やっているようなイメージを持った、ようするに「罵る対象」として格好の攻撃ターゲットとなっております。

たしかにある程度のポジションまでいけば、国の政策を動かせるという意味で絶大な権力を持つこともできますし、実際にそれを悪用して金を溜め込んでいるような人もいるのは事実でしょう。

よって、「公僕」である彼らはつねに批判にさらされなければならないというのは、民主制国家では当然ということになります。

ただしだからといって、彼らをおいそれと気軽に批判したり非難する資格が、私を含めて、政治活動を行っていないわれわれ全員(とくにメディアや批評家)にあるかというと、私は最近この点について大きな疑問をいだいております。

選挙活動の様子を表層的に見た私でさえも感じているのは、立候補を表明して政治活動を行おうとしている政治家および政治家予備軍というのは、その思想的立場はさておき、何も実際の政治活動を行っていないわれわれのような人間に比べて、最低限のレベルでは「偉い」というべきなのかと。

なぜなら、彼らは批評したり文句を言うだけでなく、実際にアクションを起しているからです。

小沢さんのようなレベルの「大物」は別としても、ほとんどの日本の政治家(しかも国政レベル)というは、政治資金が足りなく、よって雇える秘書の数も少なく、時間もほとんどない中で、ほぼボランティア状態で、しかも家族/家庭生活を犠牲にしながら、政治活動を行っております。

ちなみに公設秘書の数ですが、日本は3人、韓国6人、そしてアメリカは平均15人以上です。

結果として、日本の場合は秘書たちを選挙対策に回せば終わり。政策をつくるほうに回すこともできません。

立法府の構成員である議員たちが、その肝である「政策づくり」にリソースと時間を注げられなくなるわけですから、日本の政治がダメになるのは火を見るより明らか。

しかも突然選挙になって落選する可能性は常に残っているために、身分の保証もなく、常に文句を言われ、常に頭を下げまくって、常に恐怖と隣り合わせのプレッシャーのある環境で生きております。

さらには仕事に対する名誉は段々と失われており、「クリーンな政治」という怪しいかけ声の元で政治資金はどんどん減らされつつあるため、政治家をやっていても報酬面で「報われる」ということはほとんどありません

つまり、いま政治家をやっている人、もしくはこれから政治家になろうとしている人たちは、よっぽどの変わり者か頭のおかしいひと、もしくは強烈に自分を騙している人です。

いや、むしろそこまでできないと、「選挙に出馬して当選してさらに活動を継続する」ということまではできないわけです。

これを「エラい」と言わずになんと言おうか。「実際にあなたもこれをできますか?」と言われれば、私は全く「イエス」と言う自信がありません。

もちろん私は「政治家を批判したり罵倒したりするのを止めよう!」と言いたいわけではありません。

でも少なくとも、彼らは私たちよりも、“実行”しているという時点ですでに相当「偉い」、という視点で考えてみるのもありなのかと。

一言でいえば、「みなさんは政治家にたいして色々と言いたいことあるみたいだけど、少なくとも彼らはアンタたちよりはエラいです」ということですな。

選挙の、まるで戦争のような壮絶さを目の当たりにして、そんなことを思った次第です。
Commented by (^o^)風顛老人爺 at 2012-12-17 20:26 x
拝啓、奥山様仰る通りです。
失業バッシングのリスクを背負って立候補している政治家諸氏は主義主張は別として偉いです。オフ会に参加していた、
みんなの党から立候補した椎名毅さんが神奈川県9区で当選しました。m(_ _)m取り急ぎ乱文にて 敬具
Commented by チンネ at 2012-12-17 21:45 x
ご無沙汰です。
今朝、安倍総裁が記者の「中国とどう向き合うか?」みたいな質問に、日中二か国間で物事を見るというより、地球儀(地図?)を見ながら考えたい」みたいな事を言っていました。
何となく感慨深い気持ちになりましたよ。
Commented by ナリ at 2012-12-17 21:57 x
素晴らしい発言だと思います。そう評論家は簡単なんです。実行して結果を出すのがどれだけ大変か。利害調整を一度でもやれば分かると思うんですよね。批判するなら自分が立つなり、近くの事務所に行って叱咤激励して、手伝ってやるなり。行動あるのみですよね。しかし、政治家には年間1億好きなように使え!するのが、領収書集めて事務作業するよりコスト的に有為だと思うんですよね。
Commented by イギアリ at 2012-12-17 22:52 x
政治家だけでしょうか?
報酬面でも報われず、家族を犠牲してまで働いてるのは政治家だけではありません。日本の多くの労働者や経営者だってそうです。
しかも労働者も経営者も、社会や経済を「実際」に動かしています。だからと言って、ほらやっぱり政治家は偉くないんだ!……というのも違いそうですが。
日本社会の隅々まで、より能率的により安心して生活できる仕組みになるといいですね。
Commented by sdi at 2012-12-17 23:09 x
どういう訳が、日本人は実業に携わったことのない評論家のいうことをやたらと評価する向きがあるようです。政治なんか特にそうですね。
実業(政治なら現実に発生する利害調整)の現場を知らない人たちの言うことを頭か信じ込んで、付和雷同して非難の声を上げる。
それどころか、「評論家のほうが優れている」と褒め称えて持ち上げる方や「既存の仕組みに囚われない新しい発想する」素人(芸人etc)をヒーローに持ち上げたりしてますね。
Commented at 2012-12-18 03:21 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by キモオタ at 2012-12-18 08:46 x
一般的な政治家のイメージって現実の政治家ではなくて
マンガやドラマや小説などのフィクションで構築された
幻想ではないでしょうかね。

水戸黄門なんて、残っている資料なんかだと辻斬り上等のドキュソで
決して名君ではないですしね。
しかしテレビドラマの影響で庶民の味方の名君のイメージが強いです。
他にも、坂本龍馬とか宮本武蔵なんかも小説の影響が圧倒的に
強いですし。
Commented by 中山太郎 at 2012-12-18 11:12 x
奥山さんの、政治家は「偉い」は、しみじみとした名文章です。感銘を受けました。口先ばかりで実行しない人というのは、どこか空虚です。政治とゆう修羅場へ乗り出す勇気を持っているだけでもたいしたものです。
Commented at 2012-12-18 13:20 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 待兼右大臣 at 2012-12-18 23:34 x
自分にないものを持っている人の「自分に持ってないもの」に対して
敬意を払わなければならないという意味ではそのとおりです。

しかし、その逆も然りです。その意味で【職業に貴賎なし】であり、
さらにいえば、どのような仕事も【同等ではあるが同じではない】
ということです。

「実践」に対して相応の敬意を払うべきというのはそのとおりですが、だからといって、学者や評論化が政治家を批判するだけで意味がない
という大阪を基盤とする某政党の代表代行の言は、
逆の意味で【間違い】であり、【弁護士的詭弁術】にすぎません。

学者や評論家は政治家の「実践」に対して敬意を払うのと同様に
政治家は学者や評論家の「口先」にも敬意をはらう必要があります。

「実践」の専門性を盾に「口先」の専門性を否定するよう橋下氏の言動
はそのような、「プロフェッショナリズム」への敬意を決定的に欠いており
評価するに全く値しません。

もちろん、その逆が成立する「口先」だけの学者評論家も然りです。

Commented by 待兼右大臣 at 2012-12-18 23:34 x
ハンチントンが「軍人と国家」でなぜ、プロフェッショナリズムに基づく
「客体的シビリアンコントロール」という概念を創出したか。

それは、わが国で言う「匠の世界」に対する敬意とそれに由来する
匠としての自律権

というものだろうと思います。 

プロフェッショナリズム(匠の世界)が暴走して他の領域(匠の世界)
を侵そうとしたとき、(特に政軍関係において)何が起こるか
Commented by 待兼右大臣 at 2012-12-18 23:36 x
それは、戦前のわが国を含め、各国の歴史が示すところです
Commented by masa_the_man at 2012-12-19 18:18
(^o^)風顛老人爺 さんへ

>オフ会に参加していた、みんなの党から立候補した椎名毅さんが神奈川県9区で当選

知ってます。驚きました。政治家になりたいとはおっしゃってましたが、まさかこんなに早いタイミングで実現させるとは!コメントありがとうございます
Commented by masa_the_man at 2012-12-19 18:19
チンネさんへ

>日中二か国間で物事を見るというより、地球儀(地図?)を見ながら考えたい」みたいな事を言っていました。

いい傾向ですね(笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2012-12-19 18:20
ナリさんへ

>批判するなら自分が立つなり、近くの事務所に行って叱咤激励して、手伝ってやるなり。行動あるのみ

とくに政治の場合はそうですよね。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2012-12-19 18:23
イギアリさんへ

>報酬面でも報われず、家族を犠牲してまで働いてるのは政治家だけではありません

そりゃそうです。

>ほらやっぱり政治家は偉くないんだ!……というのも違いそうですが。

そういうことです。ただし彼らは「役割」として先頭に立たなければならない割にはずいぶん簡単にバカにされているからそういう認識を改めましょうといいたいのです。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2012-12-19 18:24
sdi さんへ

>どういう訳が、日本人は実業に携わったことのない評論家のいうことをやたらと評価する向きがあるようです

ありますなぁ

>「評論家のほうが優れている」と褒め称えて持ち上げる方や「既存の仕組みに囚われない新しい発想する」素人(芸人etc)をヒーローに持ち上げたりしてますね。

ううっ、どこかで見たような・・・コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2012-12-19 18:24
いくながさんへ

>関係者で回し読みする

それはありがたいことです。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2012-12-19 18:25
キモオタ さんへ

>一般的な政治家のイメージって現実の政治家ではなくてマンガやドラマや小説などのフィクションで構築された幻想

多分にそういうところがありますな

>坂本龍馬とか宮本武蔵なんかも小説の影響が圧倒的に強いですし。

イメージですよね。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2012-12-19 18:26
中山太郎 さんへ

>政治とゆう修羅場へ乗り出す勇気を持っているだけでもたいしたものです。

ここです。この認識がわれわれ一般人に足りないかと。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2012-12-19 18:28
waterloo さんへ

>「偉い」とは、ちょっと

あえてprovocativeにこの言葉を使ってみました。

>地元では、地味に恐れられています。

なるほど(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2012-12-19 18:34
待兼さんへ

>どのような仕事も【同等ではあるが同じではない】ということ

ですね。

>「実践」に対して相応の敬意を払うべきというのはそのとおりですが、だからといって、学者や評論家が政治家を批判するだけで意味がない

そこまで言いたいわけではないですが(汗

>政治家は学者や評論家の「口先」にも敬意をはらう必要があります

もちろん。

>「プロフェッショナリズム」への敬意を決定的に欠いており

しかし彼はプロフェッショナリズムに値しない人間を見て辟易したから出馬したんでしょうなぁ。

>プロフェッショナリズム(匠の世界)が暴走して他の領域(匠の世界)を侵そうとしたとき、(特に政軍関係において)何が起こるか

これもわかりますが、やや飛躍しすぎかと。私はただ単に「政治家は実践しているから偉いですよね」と言いたいだけです。コメントありがとうございました
Commented at 2012-12-19 20:30 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ばん at 2012-12-19 22:45 x
おひさしぶりです
この記事をみてコメント書こうと考えている間にこんなにコメントが(とほほ)

この記事
「日本のマスコミはえらそーにしゃあしゃあと物事を言うんじゃねえ」
と言うように解釈してしまったんですが。超絶解釈かな。
Commented by sirimonkon at 2012-12-20 00:18 x
>政策をつくるほうに回すこともできません。

官僚の思うつぼということですね。
Commented by masa_the_man at 2012-12-20 00:31
ばん さんへ

>「日本のマスコミはえらそーにしゃあしゃあと物事を言うんじゃねえ」と言うように解釈してしまったんですが。超絶解釈かな。

いや、そこまで言うつもりは(汗)まずは彼らが大変だという点を近いして話をしましょう、ということです。コメントありがとうございました。
Commented by masa_the_man at 2012-12-20 00:33
sirimonkon さんへ

>官僚の思うつぼということですね。

YesでありNoです。政治家が何もイニシアチブをとれないという点ではたしかにそうなんですが、官僚も政治家の働きかけがないと効果的に動けませんから。こんなんでよろしいでしょうか。コメントありがとうございました
Commented by navi-area26-10 at 2012-12-21 01:35 x
遅レスですが、外人にも(外人が偉いというわけではないですが)日本人は文句ばかり言っているという意見がありました。「おいしい料理にまで文句をいっている。どうして?こんなにおいしいのにと思う」みたいな。

我々も文句を言っていますが、政治家同士でもお互いを貶めている時があると思います。

とはいえ池田信夫氏がblogで熟議の国会を批判していましたが、多くの人が多くの事を知ればこういう問題はなくなるから知るように努力しようという路線もいたずらに市民の情報コストを上げるだけで難しいです。

東浩紀氏はネット上の書き込みから国家の一種の「無意識」を取り出しそれを今の政治にぶつけるみたいな素案をだしていますね。
Commented by masa_the_man at 2012-12-24 16:57
navi-areaさんへ

>「おいしい料理にまで文句をいっている。どうして?こんなにおいしいのにと思う」みたいな。

なるほど。

>政治家同士でもお互いを貶めている時があると思います。

そして互いに首を締めているという非生産的なことを(苦笑

>いたずらに市民の情報コストを上げるだけで難しいです。

そうなんですよねぇ。

>東浩紀氏はネット上の書き込みから国家の一種の「無意識」を取り出しそれを今の政治にぶつけるみたいな素案をだしていますね。

ビッグデータの活用みたいな感じでしょうか。集合意識ですかね。そういえばこういう記事が先日ありましたな。コメントありがとうございました
Commented by 503 at 2012-12-24 22:31 x
公設秘書が少ないということは、世間に対する発言力が少ないわけで、相対的にマスコミ経由の発言や意思表明の割合が多くなります。よって、公設秘書を増やそう、あるいは世界的にみて日本の公設秘書が少ないぞ!との発言は、マスコミの影響力を削ぐ方向になります。ただでさえインターネットのお陰で情報産業が食われている状況ですので、政治家への公的支出に対しての厳しい追求は、自らの利益に直結します。まあ、それに引っかかる政治家もいくらでもいるわけで・・・。
Commented by masa_the_man at 2012-12-26 15:23
503さんへ

>マスコミの影響力を削ぐ方向になります。

一理ありますね

>ただでさえインターネットのお陰で情報産業が食われている状況ですので、政治家への公的支出に対しての厳しい追求は、自らの利益に直結

なるほど。まあこの辺は究極的にいえばバランスの問題なのかもしれませんが・・・とにかく政治家本人の労力がそがれているのはその通りかと。コメントありがとうございました
Commented by (^o^)風顛老人爺 at 2012-12-29 10:46 x
拝復、奥山様返信遅くなりました。椎名毅さんの代議士初当選素晴らしいです。
横レスとなりますが、sdi様が書き込みされていた政治家評論家を新規で奇抜なものを求めるのは。「プルターク英雄伝」確かアルキビアデスの章「指導者は船と同じ使い捨て」を思わせます。
付記より坂東忠信氏ブログ更新中です。良いお年を。敬具
by masa_the_man | 2012-12-17 16:56 | 日記 | Comments(32)