戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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日本が最新の経営戦略論の元祖だった?!:後編

今日の横浜北部は朝から快晴でした。しかし晴れても気温はなかなか上がらない感じですね。冬の到来の予感が

さて、一昨日のエントリーの続きを。

前回は、アルバート・ウォルステッター(Albert Wohlstetter)が、奥さんのロバータ(Roberta)の真珠湾攻撃についての研究を読んで「代替リスク」(alternative risks)という新しい概念を思いつき、これが有名な「際どい恐怖の均衡」(The Delicate Balance of Terror)という彼の超有名論文に結実した、というところまで説明しました。

この奥さんの研究は、いわゆるインテリジェンス関連の文献の先駆けとなったわけですが、それよりも現代の経営戦略などで重要なのは、なんといってもこの旦那のアイディアが、後のケネディ政権で国防長官となる、ロバート・マクナマラ(Robert McNamara)に気に入られて政策の考え方に採用されたことです。

たとえばウォルステッターやランド研究所の仲間たちは、「損害限定」(damage limitation)や「確証破壊」(assured destruction)、それに「強制能力」(coesive capability)というアイディアを論じていたわけですが、これを気に入ったマクナマラは自身の戦略にも採用します。

ところがこれは概して矛盾した戦略であり、たとえば長期にわたって「(相互)確証破壊」や「損害限定」などを目指すと、逆にソ連側には脅威となり、結果的にソ連が核戦力を増強してしまいます。

これに気づいたマクナマラは、ジョンソン政権の後期にはこれらのアイディアから離れるわけですが、ウォルステッターの「代替案」を持つやり方には感銘を受け、フォード社の経営手法から国防省にもたらした「計画,実行計画,予算編成制度」(PPBS)の中にもこのアイディア、つまり費用対効果を中心に「代替リスク」を考える案が積極的に採用されます。

そのマクナマラは、以前からハーバード大学の経営学とも関係が深く、ここが現代のアメリカ(および世界)の経営戦略の中心地になっているために、現代の最新の経営論、とくにリスクや費用対効果の計算についての考え方には、ウォルステッターとマクナマラを通じて、間接的に日本の真珠湾攻撃が関わっていた、とも言えるわけです。

かなり無理やりたかもしれませんが(苦笑)、歴史のつながりをたどっていくのはなかなか興味深いことかと。
Commented by 待兼右大臣 at 2012-11-10 01:36 x
リスクや費用対効果の計算とマクナマラについては、いくらか語りたいことがあるのですが、それは、またの機会に
(それについて、そこそこのことを語るには、米国出張で仕入れた英文の資料を読まなければいけないので)
by masa_the_man | 2012-11-08 22:00 | 日記 | Comments(1)