戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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昨日の質問者の意見について

今日の横浜北部はよく晴れております。さすがにお盆ですから朝夕だと暑さもだいぶおさまってきた気がするのですが気のせいでしょうか?

さて、昨夜に小規模な勉強会に招かれて講演をしてきたのですが、そこでの印象的なエピソードを一つ。

今回は私がいつも頼まれるような地政学の概論を話すようなものだったのですが、前半の内容は「なぜ日本人は戦略が苦手なのか?」というもの

すでに本ブログをご覧の皆様にはこの辺りの話はけっこう当たり前だと思われるのですが、団塊の世代かそれよりも上の世代の方だと、「日本人には戦略感覚が欠けている」という話に時として異様な反発を感じる人もいるようで、この会場にもそのような人が一人。

このシニアの方は、講演をはじまる前に私が配ったレジメを目にすると、いきなり私に向かって、

日本人が戦略が苦手なんてありえんよ!こんなふざけたこと講義してどうする!

と食ってかかってきました。

この反応には私もちょっとビックリしたわけですが、無事講義を終えて質疑応答の時間になると、当然このシニアの方が私の講義内容を軽く批判するような内容の質問。

曰く、「日本の企業の持っている技術は世界最高水準だ。建築や炭素繊維や原発、加工技術など、抜かれるわけがない!」と論じたわけです。

ところがよくよくその内容を聞いてみると、このシニアの方が言っていることは「日本の産業界の技術力」であって、「戦略」の話ではないのです。

私は「ははぁ、このシニアの方は私の講義の内容をこれっぽっちも理解していないのだなぁ」と実感したわけですが、ではなぜこのような「勘違い」が起こるのでしょうか?

この詳しい理由については、今週日曜日に行われる私の「武器捨て本」の出版記念講演会で、色々な実例や、ゲストの方とのトークの時間で解き明かして行きたいと考えております。

ということで、今週末の講演会ではご参加いただいた方々に、この辺の謎を徹底的にご理解していただくつもりです。ぜひご期待下さい。
Commented by 待兼右大臣 at 2012-09-20 21:26 x
以前のエントリとも関連しますが、極めて単純化すれば

日本語しかできない人に対して、いくら【英語】で懇切丁寧に説明しても
それは説明したことにならない

ということだと思います。しかも、ここは日本なので、

日本語しかできないのはいかがなものか

といわれても、ここは【日本だ】と言われて終わりです。
それでも、日本語で説明しないのであれば、【西洋かぶれの何様】
と思われるだけです。

【営業戦略】としては、だから日本人は駄目だと言った方がウケるのかもしれませんが。

仮説
日本人(日本社会)には【世界観・戦略に依存しない世界観・戦略】が
無意識のうちにしみついているので、「純粋な」日本人であれば、
それを言語化することは困難だし、外国人がそれを理解するのは
日本人が言語化する以上に【事実上不可能】

というものです。
以前のエントリーで「OSが違う」とコメントしたのはこういうことです。

Commented by 待兼右大臣 at 2012-09-20 21:27 x
「黄昏少女 アムネジア」の夕子さん(幽霊)みたいに、見える人には見えて、触ることもできるが、見えない人には何も見えないので、【超常現象】のように見える(幽霊が知覚できない人に幽霊の説明をしても知覚できるようにはならない)

あるいは、「影夕子」のように、別のグロテスクなものが見える。

というものでしょう。
この例の場合は、「なぜ」という問いをしつこく繰り返せば、無意識の事項を意識化でき、運が良ければ言語化できるという意味で、戦略論とは【こういうことか】というのが少しは理解してもらえたのかもしれません。
Commented by 待兼右大臣 at 2012-09-20 22:52 x
もう少しアカデミックにいくのであれば
大日本帝国憲法制定に代表される
伊藤博文の知的格闘が参考になると思います。

現在であれば、
瀧井 一博 『文明史のなかの明治憲法』 講談社選書メチエ
瀧井 一博 『伊藤博文―知の政治家』 中公新書
伊藤之雄 『伊藤博文 近代日本を創った男』 講談社
伊藤博文著 宮沢俊義校註  『憲法義解』 岩波文庫

辺りが値段と入手しやすさと内容とのバランスがとれていると思います
Commented by 中山太郎 at 2012-09-21 09:38 x
東大で教えておられる、北朝鮮との外交で仕事をされた、田中均氏が、講演で話しておられました。東大では、ダブルディグリーの制度を開発し、米など海外の大学への留学をしやすいようにしたが、これを利用するのは、中国、韓国からの学生で、日本人学生は外へ行く意識が希薄だ。これは、企業や社会にも問題がある、グローバルな人材を求めると言いながら実際は内向きで、留学した人間を嫌がると申しておりました。このおじさんも、狭い世界だけで生きているのでしょう。
Commented by masa_the_man at 2012-09-21 11:05
待兼さんへ

>日本語しかできない人に対して、いくら【英語】で懇切丁寧に説明してもそれは説明したことにならない

うーん、戦略という概念はこのシニアの方にはそこまで違う概念なんでしょうかねぇ

>ここは【日本だ】と言われて終わりです。

それはその通りです。

>それでも、日本語で説明しないのであれば、【西洋かぶれの何様】
と思われるだけです。

わかります。その日本語化をするのが私の仕事だと勝手に思っているのですが・・・

>【営業戦略】としては、だから日本人は駄目だと言った方がウケるのかもしれませんが。

たしかにウケそうですが、私は日本人がダメだと単純に否定しているだけではなくて、できるのにやらないのはもったいないのかと。

>外国人がそれを理解するのは日本人が言語化する以上に【事実上不可能】

私はそれほど悲観的ではないかと。一部にはある程度成功できている例もありますし。

>以前のエントリーで「OSが違う」とコメントしたのはこういうことです。

OSのたとえなんですが、私はとくに上のシニアの方の場合は世代的な問題のほうが大きいと考えております。鋭いコメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2012-09-21 11:08
待兼さんへ

>この例の場合は、「なぜ」という問いをしつこく繰り返せば、無意識の事項を意識化でき、運が良ければ言語化できるという意味で、戦略論とは【こういうことか】というのが少しは理解してもらえたのかもしれません。

いや、質疑応答の時間ではわかってもらえたような雰囲気が。

>大日本帝国憲法制定に代表される伊藤博文の知的格闘が参考になると思います。

なるほど。コメントありがとうございました。
Commented by masa_the_man at 2012-09-21 11:10
中山さんへ

>東大では、ダブルディグリーの制度を開発し、米など海外の大学への留学をしやすいようにしたが、これを利用するのは、中国、韓国からの学生

うおお、ありがち(苦笑

>グローバルな人材を求めると言いながら実際は内向きで、留学した人間を嫌がると申しておりました。

わかりますなぁ。

>このおじさんも、狭い世界だけで生きているのでしょう。

世代的に技術に自信を持っている、ということなんでしょうなぁ。ただしそこでは勝負できなくなってきたところに問題があり、そこまで考えが及んでいなかったような雰囲気が。コメントありがとうございました
Commented by ランバダ at 2012-09-21 11:53 x
大学時代に戦略という言葉が嫌いだ、と言っていた経営学の先生が
いました。
当時おいおいと思いましたが。今はもう70歳より上でしょうね。
アジアへの技術移転とかに熱心な先生でしたが、やっぱり戦争が
影響してるんじゃないかと思います。
Commented by 日比野 at 2012-09-21 21:36 x
待兼様。こんばんは。
「OSが違う」命題ですけれども、私は、日本語もしくは日本的価値観は、Windows的であり、海外のそれは、"ソフト"にあたるのではないかと考えています。海外はある目的に沿って作られた確固たるソフトであるのに対して、日本はそれらのソフトをインストールして、時々に応じて、必要なソフトを起動して使う、という具合です。その時その時の最新ソフトを使えるという強みがある反面、OS単独では何も出来ないという弱点があるという感じですね。
Commented by 待兼右大臣 at 2012-09-21 22:43 x
日比野様

>>日本語もしくは日本的価値観は、Windows的であり
私が念頭に置いていたのもそれです。

逆にいえば、ハードウェアに依存せずに動くOSあるいはソフトというイメージでした。

20年以上前、当時のPCの能力では日本語処理は難しく、
同じMS-DOSといっても、微妙に仕様が異なり、NECでは動いた
ソフトも富士通では動かないということが珍しくありませんでした

それが、DOS/V PCの出現で、ハードに依存することなく日本語処理
ができるようになって、日本のPC市場の「非関税障壁」が崩れました。
(今のWINDOWSマシンも規格的にはDOC/Vの延長です)

という日本におけるPC発展史が元ネタです。
Commented by 愚人 at 2012-09-22 13:29 x
この受講者の方は、戦略という言葉は、実は日本では意外と多く使われており、この辺から誤解されているのでは。
特にビジネス系の雑誌には昔から「戦略」という言葉が踊っております。

勿論、ご存知のように、実態はほとんどが戦術のことを指しており、精々が作戦レベルまでで、戦略の定義には当てはまらない使用のされ方をしているわけですが。
しかも、私の見るところ、作戦・戦術レベルですら実際には活用されておらず、念仏のように唱えているだけに見えます。

これと似たような単語に「情報」とか「国際」という単語があると思っています。
どちらも大人気ですが、誤った使い方をされている上に、お題目だけで実が伴っていないという意味で。
by masa_the_man | 2012-09-20 15:59 | 日記 | Comments(11)