戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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将軍がアイビーリーグで教える?

今日の横浜北部は雲が多かったのですが、それでもなんとか晴れました。上着がいらない初夏の陽気です。

ますます脚光を浴びる「オフショア・バランシング」の理論についてここに簡単にまとめるつもりだったのですが、面白い記事があったのでとりあえずこっちを先にご紹介します。

それにしても最近はNYタイムズをはじめとする新聞が電子版で課金を始めたために、満足にリンク先を貼ることができません。あしからず。

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アイビーリーグの四つ星高級将校

●最近、イエール大学では、ある夜のクラスが大盛況だった。

●スタンレー・マクリスタル元将軍は、北アイルランドや南アフリカの紛争について、自分の昔話を交えながら二時間にわたって刺激的な授業を教えていた。

●その前のクラスでは、彼はピッグ湾事件やベトナム戦争、それに自身がアフガニスタンでの米軍のトップだった時にローリングストーン誌の記事のおかげで解任されたいきさつなどを、細かく授業で教えている。

マクリスタル将軍の「リーダーシップ」のセミナーは、イエール大学に入るのと同じくらい難しいと言われている。たとえば前の学期のクラスでは、20人のクラスに200人の応募が殺到している。

●「私が最初にここに来たとき、学校側は生徒たちによるデモがあると思っていたみたいですね」とマクリスタル将軍は授業の後でインタビューに答えている。彼はこの後に生徒たちとパブに飲みに行く予定だった。

●「ところが抗議に来たのはたった9人だけでした。これには正直がっかりしましたね(笑)」とマクリスタル。

●イエール大学は教師としての彼の到来を大歓迎している。実は他の大学でも彼のような元軍人の将校たちは、教師として歓迎されつつある

●たとえばマイク・マレン前統合参謀本部長は、今秋からプリンストン大学で外交と軍事に関するクラスを受け持つ予定になっている。

●エリック・オルソン元特殊作戦司令官は、9月からコロンビア大学で軍事戦略のコースを教えるという。

●ハーヴァード大学も、将軍たちを講義やレクチャーなどで定期的に招いている。現在のCIA長官であるディヴィッド・ペトレイアスや、現在の統合参謀本部長のマーティン・デンプシーなどは、先月キャンパスに来ていた。

●ところがヴェトナム戦争が一番盛んだった時代を知っている人間たちにとって、たとえばウェストモーランド将軍がアイビーリーグのクラスに招かれるというのは、およそ信じがたいことだった。

●ところが徴兵制がなくなったなどの理由から、現在の世代では軍人に対する見方はかなり変化してきたようである。

●去年にはハーヴァードとイエール、それにコロンビアは、ベトナム戦争時代にキャンセルされた米軍の予備役将校育成プログラムを復活させている。

●この理由として、彼らは「米軍が公式にゲイであることを認めている人を採用可能としたからだ」としている。

●そして退役将校たちを教師として迎え入れているのも、そのプロセスと時を同じくしている。

イエール大学のほとんどの生徒たちにとって、軍というのは「知らない世界」であり、マクリスタル将軍のクラスに申し込んだ人々の多くは「どういうものなのか知りたかったから」という理由が大半だった。

●たとえばある生徒は、「三年前の自分は、元将軍のクラスを受けるなんて考えもしなかった」と言っている。

●もちろん大学の中には、彼のイラクでの軍歴や、彼が博士号をもっていないことなどを理由に反対を表明している教員たちも多い。また、ここ十年間のアメリカの戦争が不人気であることを指摘する人もいる。

●ところがマクリスタルを賛成する人々は、生徒たちは戦士と戦争そのものをわけて考えているし、とにかく最前線の経験を持つ人々に教えてもらうことができることは学生たちにとっても貴重なものだと主張している。

●マクリスタル将軍たちは、単に軍事史を教えているわけではない。たとえば最近の彼の授業では、アパルトヘイトのような問題を解決するためにはどのようなリーダーシップが必要なのかということが2時間にわたって議論されている。

●そして彼の授業の内容については、箝口令が敷かれている。これは彼が語る話の中に、イラクやアフガニスタンで行われている作戦の内容が含まれている場合があるからだ。

●彼の授業のスタイルはかなりリラックスしたものだ。生徒には「スタン」というファーストネームで呼ぶようにさせ、自分もネクタイなどせずにカジュアルな格好をしている。そしてあまり発言をしない生徒には発言するように質問することもあるのだ。

●また、クラスで南北戦争の激戦地であるゲティスバーグに一泊旅行をしたりもしている。

彼のリーダーシップのクラスのテーマは、「個人間の人間関係が最も重要である」ということであり、なんと彼が職を失ったローリングストーン誌の有名な記事がクラスの必読文献になっている。オバマ大統領はこの記事を読んで彼を退職させたことは記憶に新しい。

●「あの事件は正直驚きましたね。あんなことになるとはまったく予測しておりませんでした」とマクリスタルは答えた。

●彼はこの経験からリーダーシップについて二つのことを学んだという。一つは友達のネットワークをもっていたから救われた、というもの。

●そしてもう一つは、あの記事に抗議せずに辞めたことによって本当に国のためになった、ということだ。

●この記事のインタビューの中で、マクリスタル将軍はあの記事がどこまで正確なものだったかどうかということに関してはコメントしなかった。

●ちなみに国防省側の調査では、マクリスタルやその側近たちにはまったく落ち度がなかったとしているが、ローリングストーン誌側は国防省側の調査の仕方が信用ならないとしており、記事の正確さを確信していると言っている。

●クラスで彼自身の経験を語ることになるのはさすがに彼にとってもキツイらしいが、彼自身はこれが自分に科せられた義務であると感じているという。

●「私が博士号を持っているわけではないのにここで教えることができているのは、私の経験があるからです。そういう意味では自分の経験には感謝しないといけませんよね」と彼は言っている。

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本ブログでも話題としてとりあげたことのある「マクリスタル解任事件」ですが、イエール大学でリーダーシップのクラスを教えているとは知りませんでした。

ただし私が受けたクラスでは元軍人たちが定期的に講義に来ていたために、このクラス自体にはそれほど目新しさを感じません。

いくつか前のエントリーで紹介したウォルトの「ハーヴァードでは歴史や政治理論や哲学の代わりにリーダーシップのクラスが人気だ」という指摘と重なるという意味、この記事の内容は興味深いかと。

日本で元軍人(自衛官)がクラスを担当するというのは・・・防大以外でもけっこうあるんでしょうか?
Commented by 焔剣 at 2012-05-09 00:41 x
>防大以外でもけっこうあるんでしょうか?

帝京大学で 志方元陸将閣下が教鞭を取られてますね。
Commented by masaya at 2012-05-09 04:19 x
つい最近、産経新聞に載っていたのですが、東大の大学院に自衛隊出身者は入学できないそうです。こんな待遇を行っている大学で将軍が講義できるとは思えません。
Commented by 待兼右大臣 at 2012-05-09 21:02 x
自衛官経験者という意味なら、森本敏氏も該当します。
氏の場合は、元自衛官か、自衛官経験のある元外務官僚か、紛らわしいですが。

「自衛隊員」経験者なら、防衛研究所の所員経験者や防衛大学校教員経験者も該当します。

このほかにも、防衛省(庁)出向経験者も「元自衛隊員」となります。
(例’岡崎久彦、佐々淳行氏)
by masa_the_man | 2012-05-09 00:27 | 日記 | Comments(3)