戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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歯止め効果

今日の横浜北部は朝からスッキリ晴れて気温も上昇。夏の気配も感じられるほど。

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さて、今日は私が翻訳した本の原著者であるウォルトのブログから興味深い一節があったのでご紹介。

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アメリカの核弾頭をヨーロッパから排除する秋

●合理的な政策決定をしようとする時に大きな障害となるものの内の一つとして挙げられるのが「歯止め効果」(ratchet effect)というものだ。

●これは、政府のような大きな組織にある政策が採用されると、その政策自身が生命を持つかのように拡大していって歯止めが効かなくなり、変化にたいする障害物になるという傾向を示したものだ。

●たとえばわれわれは、オサマ・ビンラディンが死んだ数十年たった後でも空港のセキュリティーチェックが厳しいまま行くであろうことが容易に予測できる。

●いま行われている空港のセキュリティーチェック は、シンプルなコスト計算だと全く「ワリ」に合わないことは、誰にでもわかる。

●でも今のセキュリティーチェックの体制を緩めようということが言える政治家はいるだろうか?

====

ウォルト自身は、これ以降にヨーロッパから必要のないアメリカの核弾頭を取り除けと提案しているのですが、それよりも私が興味深いと感じたのは、そういう政治学の概念を分類するのが得意なウォルトが「歯止め効果」という概念を最初に提示したという点。

この概念は、戦略学などのほうでは「ミッション・クリープ」(mission creep)や「スピルオーバー効果」(spillover effects)などと呼ばれるものですが、テクノロジーに関する哲学の分野では

「テクノロジーは人間の意思とは関係なく、まるで自律的にどんどん発展していってしまうのでは?」

という心配を引き起こす、いわゆる「テクノロジー自律論」という考え方にもつながってきます。

もちろん政府や組織というのは「テクノロジー」とは違う!という意見もあるかも知れませんが、実は向こうの文献だと「組織」というものをテクノロジーと結びつけて考え、それが独自のメカニズムを持ってきてしまい、人間の手を離れてコントロール不能になってしまう、という懸念が散見できます。

たとえばアメリカ政治だと「シカゴの民主党の強力な集票組織」という意味で「シカゴ民主党マシーン」(Chicago Democratic Machine)という名前で呼ばれていたり、イタリアのモンティ首相が「テクノクラートだ」と言われるのはそれですね。

日本の政府・官僚組織などはまさにこのような「歯止め効果」を持った、人間のコントロールの難しい「自律的なテクノロジー」なのかも知れない、という視点は重要かと。
Commented by (^o^)風顛老人爺 at 2012-04-26 11:39 x
拝啓、奥山様

歯止め効果を
ブロゴス
と云うサイトが掲載しています。

m(_ _)m乱文にて 敬具
Commented by masa_the_man at 2012-04-27 23:10
おおっ、ブロゴスが。ちょっと見てみますね。
Commented by (^o^)風顛老人爺 at 2012-04-29 19:20 x
拝復、奥山様ご覧下さい。m(_ _)m 敬具
by masa_the_man | 2012-04-24 21:00 | 日記 | Comments(3)