戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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中国専門家:質疑応答その1

今日の横浜北部は快晴です。春らしくなってきましたな。

さて、すでにTwitter上では流しましたが、昨日の続きを。あと二回分の質疑応答があります。

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Q:中国国内のリベラルな言論について教えて欲しい。

●かなりマイノリティーではあるが存在します。最もリベラルなのは「大きな海にある島なんかこだわるな」というもの。

●別のものとして挙げられるのは、「とにかく現状維持で行けばいい」というもの。今のような状態を長期間続けるだけでいい、というもの。

●もう一つは「中国は大きな大国なんだから小さいことにこだわるな」という主張。中国の国益や生き残りには関係ない、ケチケチするな、ということでしょうか。

●もちろんこれらはかなりマイノリティーな視点です。中国の大半は「われわれは現状を甘んじて受ける。武力を使って南シナ海を取りに行こうとは思っていない」と考えているはずです。


Q: 中国は南シナ海の80%をコントロールしようと考えているはずだ、というフィリピン側の発表者の指摘についてはいかが?

●なぜこんな結論になるのか理解できません。おそらく南シナ海についての中国の立場を表明するのに最も適切な言葉は「あいまいさ」でしょう

●私は北京政府のあらゆる主要人物の南シナ海における発言を見ていますが、80%を獲得したいということは言ってませんね。公式にはまったくそのようなことを言っておりません。

●だから「あいまい」なのです。シンガポール政府が去年、中国政府にたいして「南シナ海における立場を明確にして下さい」と言われたのはまさにその理由からなのです。

●中国政府自身はこの海域についてのどのような権利も明確に言っていません。対外政策の人々が言っているのは、「中国はこの海域に権限を持っている」ということだけであり、どの権限を持っているのかについては何も言っていないのです。

●だから私は「80%の主張という証拠を見せてくれ」と言うしかないのです。


Q:中国は国内問題を解決するために対外政策で何か紛争を行おうとするという意見に対してはどう思う?

●うーん、それについてはなんとも言えませんね。おそらくこのような国内政治と対外的な紛争との関わりについて書かれたものとして最も良いものは、MITの教授であるテイラー・フラヴェル( M. Taylor Fravel)の以下のものなどでしょうね。

"The Limits of Diversion: Rethinking Internal and External Conflict," Security Studies, Vol. 19, No. 2 (May 2010)

"China's Search for Assured Retaliation: Explaining the Evolution of China's Nuclear Strategy," International Security, Vol. 35, No. 2 (Fall 2010)(with Evan S. Medeiros)

●この研究によれば、結論は反対です。彼によれば、中国政府は国内で難問に直面している時には対外問題でも妥協することが多いということです。

●個人的にはこの分析には納得できないところがありますね。中国はやはり外国との紛争を国内問題の解消のために使っている部分はあると思いますし、その実例もあると考えています

●ところがいまは状況が完全に変わっているのではないでしょうか。

●つまり北京政府のリーダーたちが「国内を安定させられている」と感じつづけている限り、対外政策面でわざわざ問題を起こす必要はないということです。

●そして今はそのリーダーたちが「安定させている」とまだ自信を持っている時なのでしょう。

●もちろん現在でも暴動は起きておりますが、これは「人民元」(マネー)をめぐる不満なのであり、政府はマネーを大量に持っているためにまだ余裕はあるのです。

●もちろん将来これがどう変化するかは私にもわかりませんが、ひとつだけ言えるのは、中国が民主化に向かうことだけは非常に危険だ、ということです。

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あと二つ質疑応答がありますので、これは後ほどアップします。
by masa_the_man | 2012-03-29 14:09 | 日記 | Comments(0)