戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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「戦略の発展」:古代から現在までの戦争の考え方

今日の横浜北部は本当によく晴れましたが、夕方になってから恐ろしく冷えました。真冬度が最高潮に達しております。

さて、久しぶりに本の紹介を。去年出たばかりの戦略学ど真ん中のものです。

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The Evolution of Strategy: Thinking War From Antiquity to the Present
by Beatrice Heuser

ハッキリいいまして大著です。ソフトカバーのものでも本文だけで505ページあります。

基本的には教科書として書かれたものであり、具体的には戦略についての思想やアイディアを、項目や時代ごとにわけて紹介するというもの。

目次は大きく七部構成になっており、

1、イントロダクション:戦略とは何か
2、長期的に変わらないもの:テクノロジーから中世のマインドセットまで
3、「ナポレオン・パラダイム」の総力戦
4、海軍・海洋戦略
5、エアパワーと核戦略
6、非対称線/小規模戦争
7、大戦後の新しいパラダイムの追求

という感じになっております。

この本の特徴は、その教科書的な作りにあることはもちろんなのですが、やはり一番はなんといっても戦略思想におけるたった数人のビッグネームに焦点を当てる今までの教科書よりも、むしろアイディアそのものを中心に見て行くという、まさに前代未聞の構成でしょうか。そのために、あまり知られていない思想家たちの名前がバンバン出てくるのがけっこう驚きです。

著者はドイツ人の女性でありまして(ベアトリス・ホイザーと読む)、しかもタイで生まれてイギリスで学位をとり、旦那はフランス人というマルチリンガル多国籍人。自分も数カ国後を操れるという利点を活かして、参考文献も英語だけでなく多国籍な品揃え(ただし一次資料はナシ)。

イギリスの戦略界のドンであるマイケル・ハワードに師事し、数年前まではあのローレンス・フリードマンが君臨するロンドン大学のキングスカレッジで教授として教えておりましたが、数年前に縁あって私の大学に移動してきました(ちなみに私は個人的に論文提出の時に並々ならぬお世話になっております)。

本人いわく、「いやー、この本を書くのは本当に苦労したわ」というだけあって、なかなかの力作です。すでにいくつかの戦略系の大学では副読書もしくは教科書として扱われているだけあった、品質は保証済み。

難点といえば、やや英語がスムーズではなく読みづらいという点でしょうか。しかしそれをもっても余りある、資料的価値も高い完成度の高い本かと。

アマゾンじゃないですが、★四つでおススメ。
Commented by 待兼右大臣 at 2012-01-28 23:11 x
>>ドイツ人の女性でありまして(ベアトリス・ホイザーと読む)

あの綴りで「ベアトリス」と読むドイツ人は珍しいと思います。
(「ベアトリーツェ」と読むほうが多いと思います。某自動車評論家が
 メルセデスを「メルツェーデス」と読むように)
Commented by masa_the_man at 2012-01-31 13:23
待兼さんへ

>あの綴りで「ベアトリス」と読むドイツ人は珍しいと思います

その通りで、私も聞いたのですが、イギリスに住んでいるから「ベアトリーチェ」ではなく「ベアトリス」でいいわよということでした。下の名前はなぜかドイツ語読みなんですが(苦笑)コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2012-01-26 22:02 | おススメの本 | Comments(2)