戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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戦略にまつわるトラブル:その4

組織の優劣関係

●武官と文官のリーダーたちは、異なる専門分野と義務をもっている。プロの軍人は、政策家が作戦プランに干渉してくるような戦略を出してくる時に、政治家のことを「無責任な奴だ」と見ることが多い。

●現代の軍事作戦の複雑性は、軍人たちにエンジニアのようなメンタリティー――つまり戦略を(ある意味で)数字によって再現できる「計算式」や「原則」を探したいという衝動――を発生させるのだ。

●そしてこれは、一歩間違えば人が死ぬビジネスであるという性質から考えれば、ごく当然の衝動なのである。

●ところが計算式のような戦略というのは、実際のところは反・政治的なものである。

●このような戦略というのは、何かを決定して他の選択肢を消滅させるものであるが、政治というのは――しかもそれが民主制度のものである場合は――あらゆる選択肢をなるべく残しておき、制約を避けようとするものなのだ。

●政治家というのはさまざまな方面の利益を満足させようとするものであるために、これは「難しいコミットメントが絶対的に必要となり、しかも方向を素早く変えられるように準備できるようになるまではなるべくそれを避ける」ということを意味するのだ。

●したがって、その核心のところでは「計算式による戦略」という考え方――つまりあらかじめ設定されて状況の変化による要求にも対応できるような戦略――というのは、知識のない政治家が机上の将軍(アームチェア・ジェネラル)のように行動しているのと同じくらい世間知らずで恥ずべきことなのだ。


●また、「国家戦略」と「軍事戦略」を慎重に区分けしておこうとするのは、本物の戦略の作成を避けるための言い訳にもなりうる。

●そのような区分けは、一方を政策、そしてもう一方をドクトリンや作戦などとほとんど見分けがつかないようにしてしまうのだ。

●これは「政策目標」と「軍事計画」の間のギャップ――これは、軍隊をどのように使って(単なる軍事的な結果ではなく)政治的な結果を生むのかを正確に考える、戦略的な計算によって橋渡しをされるべきものだ――をさらに広げてしまう。
by masa_the_man | 2011-10-05 03:35 | 日記 | Comments(0)