戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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戦略にまつわるトラブル:その3

●このような考え方にたいする抵抗は頻繁に再発しており、とくに政策と作戦を別の区画にわけておこうと考える軍のリーダーたちの間で顕著に見られるものだ。

●たとえばそれにたいする異議は、ヘルムート・フォン・モルトケ(大モルトケ)のものが有名である。

●彼は「戦略はその狙いのために活用されることによって政治に貢献するものだが、この狙いの達成には、政治からの最大限の独立性を保つことが必要なのだ。よって、政治は作戦に介入すべきではない」と書いている。

●このような考え方は制服を着ている人々の間では一般的なものであるが、これでは戦略の土台が崩れやすくなってしまい、政策を作戦に従属させてしまうことになりかねない。

●もしこれが正しいことになれば、たとえばモルトケの後継者たちが二つの世界大戦で「戦略的な大損害」の代わりに、いくつもの「戦術的な大成功」を収め、自分たちの国だけでなくヨーロッパの大半を破壊してしまうようなことにもつながりかねない。

●もし政策と作戦の融合が原則的に許されているとしても、それは実践の際に抵抗されることが多く、「橋」の両端にいる政策家と軍の指揮官たちは、「戦略の融合」とは単に「自分たちのやりたいようにやることだ」と考えてしまいがちなのだ。


●文官のリーダーというのは、政治目的と軍事作戦の二つをそもそも融合させるべきか、それとも区別すべきものなのか、という点まであえて意識して考えるようなことはない。

●もちろん中には、「政治的決断と軍事的実行は慎重に行うべきであり、互いに順次的かつ独立的で、リーダーたちは自分たちの願いを大々的に宣言して、兵士たちにそれに合うようなことを自由にやらせるべきだ」という、軍の中で優勢な見方を喜んで認める人もいる。

●そして、これはモルトケの考え方に沿ったものだ。

●もちろんこのようなアプローチでは政軍関係の緊張はやわらぐし、時としては効果的かもしれないが、予期しない事件が起こるリスクがあるのだ。

●他には、「互いがどのような責任を負うのか知らずに、政治と軍事の決断をあえて融合させる」というアプローチを信じる人もいる。

●ところが戦略を融合したものとして捉える見方を正当化する政治のリーダーたちが無理のない判断をしたいと思ったら、あらかじめ軍事作戦のことについてかなり熟知しておかなければならないのである。

●そしてそのような知識を持っていたり、もしくはそれを習得することができるような時間をあえて持とうとする政治家は、実際にはほとんど存在しないのだ。
by masa_the_man | 2011-10-04 21:28 | 日記 | Comments(0)