戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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ミアシャイマーのオフショアバランシング:まとめ

今日の甲州はよく晴れましたが、まだ夏みたいですね。朝晩も思ったほど気温が下がっていないような。

さて、来週というか今週末の日曜日(25日)に開催される私の講演会に向けて準備を進めておりまして、そのメモ代わりにここに少し書き込んでおきます。

まずはミアシャイマーの「オフショア・バランシング」について。

実はミアシャイマーは、「オフショア・バランシング」という大戦略の名前を主著『大国政治の悲劇』では使用しておりません。ではなんといっているかというと、「オフショア・バランサー」という国がある、と言っているわけです。それはもちろん(冷戦時代の)アメリカと(19世紀の)イギリスのこと。

そしてこの両国がとっていた対ユーラシア(イギリスの場合は対ヨーロッパ大陸)戦略をミアシャイマー自身は後に「オフショア・バランシング」であるとして、先日ここで紹介した論文の中でまとめたわけです(ただし最初にリアリストの中で使いはじめたのはおそらくポーゼン)。

それでは簡単に、ミアシャイマーのオフショア・バランシングという概念の「前提」を以下に簡単にまとめておきます。

●国家は本来「利己的」な存在である。

●アメリカは現在まちがった戦略を追求している。

●アメリカのように地域覇権をすでに達成している国にとっては、他の地域の覇権を出さないようにすればいいだけ。

●基本的にシーパワー国家だけがオフショア・バランシングを実行可能。

●オフショア・バランシングとは、ようするに他の地域の国の友好国(バック・キャッチャー)にたいしてアメリカが(バック・パッサー)が「バックパッシング」(責任転嫁)をすることだ。

●バック・パッシングの狙いは、地元の友好国に侵略的な国家をぶつけて、自分たちだけはその侵略的な国家と直接対決を避ける、という点にある。

●ミアシャイマーをはじめと主なリアリストたちがオフショア・バランシングという大戦略の適用を想定しているのは、主に「中東」地域である。

●バックパッシングのやり方は四つある。

①バック・パッサーは、脅威を及ぼす国と良い関係を結んでおく
②バック・キャッチャーとの関係を多少疎遠にしておく
③バック・パッサー側が防衛費を拡大する
④バック・キャッチャーを支援する

●ミアシャイマーは東アジアで二つのシナリオを想定している(二〇〇一年)

1、中国が脅威にならず、アメリカは撤退しする→結果として、地域は不安定化
2,中国が脅威になり、アメリカは駐留を続ける

●地域国家が戦争すれば、中立国であるオフショア・バランサーは経済的に大儲けする(例:第一次大戦時のアメリカ)

●アメリカはユーラシア大陸内の大国間戦争に巻き込まれてはいけない

●戦争は始めに当事者なるのはアホ。最後になってから介入して漁夫の利を得るのが吉。

さらに詳しい話は講演会で。

そういえばこういう話もネットで発見しました。参考まで。

以上。
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Commented by 緑川だむ at 2011-09-19 09:31 x
こないだのリビア戦争みたいな「ヨゴレ仕事は下請けにさせる」ちゅうシナリオですか。
Commented by cab_fish at 2011-09-19 13:01 x
今、日本は急速に変わっている。さもないと滅亡するからでもある。 日本のこの先を見たいもの、日本を動かしたい者、志ある者は、2チャンネルを見よ。
Commented by umi at 2011-09-19 21:07 x
レイン式よりミアシャイマー式の方が、日本にとってはありがたいですよねぇ。

中国の膨張がこのまま続けば、居残ってくれそうですし・・・。

日本は現状維持が得意ですしねぇ。
Commented by sdi at 2011-09-23 00:50 x
この理論に見事に当てはまるのが、日露戦争時の日米露の関係ですね。
バック・パッサー:米
バック・キャッチャー:日
脅威を及ぼす国:露
ただ、露が米に対してそれほど脅威になっていたかどうか。
by masa_the_man | 2011-09-18 23:54 | 日記 | Comments(4)