戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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ウォルファーズの警告:単一要因による説明の危険性

今日の甲州は、完全な夏日でした。残暑ですね。

さて、またまたウォルファーズの警告を一つ。1960年代初期に書かれたものです。参考まで。

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●国家の対外政策を決定づける「最大の要因」についてのあらゆる議論については、すでに戦争や紛争の原因、侵略や帝国主義、そして比較的長期にわたる平和や国際協調の原因、というようなテーマで、長年にわたって書かれてきた。

●私はこのような議論についてここでまとめて振り返るようなことをするつもりはないが、国際関係における決定要因について、さらに大きな影響力をもっている学派の見解については少しここで論じてみたい。

●過去に激しい議論を巻き起こしたひとつの疑問をここで簡単に触れておこう。

●現代の一級のアナリストたちのなかで、国際政治の分野、もしくはそれ以外のあらゆる分野での人間の活動について、たった一つの決定因だけで何かを十分に説明できると論じている人は一人もいない

●議論の余地がないほど明らかなのは、「単一要因理論」というのは、プロパガンダのための優秀な道具であることを証明してきたという点だ。

●マルクス主義者、そしてそれに敵対するドイツ地政学の学者の人々は、国際政治におけるあらゆる主な動機を「経済システム」や「地理的な状況」のように、たった一つの要因からすべて説明することの有利さというものをよくわきまえているのである。

●ところがそのような一つの特定の強力な決定要素を浮き上がらせるような理論は「単純化した抽象概念」と評価されるのが関の山であり、現実の世界というのはこのような単純な枠組みには当てはまらないものである。

●ナポレオンは、地理が対外政策の流れに影響を与えると論じたのかもしれないが、それでも彼は、自分の特殊な性格やロシアの地理が自分をモスクワに向かわせたということをおそらく知っていたのだ。

●もしある人物が「ナポレオンやその後のヒトラーのロシア侵攻を促したのは地理である」と考えるならば、その人は「地理には野望を持った侵略者たちを騙して負かすという計画が込められていた」と考えていることになってしまうのだ!

●同様に、心理学者たちはヒトラーの性格が世界の出来事の流れに影響を与える大きな決定的な効果を持っていたことを説明できるのかもしれないが、それでも本物の歴史学者たちは、第二次大戦をヒトラーの病的な傾向にすべての原因を押し付けるようなことはできないのだ。

●よって、このような「単一要因」vs. 「多数の要因」というアプローチは今日では深刻な議題とはなっていないが、むしろ「環境の役割」と「性質的要因の役割」に関する議論は終わっていないし、おそらく永遠に終わることはないだろう。

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単一の要因による説明はプロパガンダには最適、という指摘が重要ですね。ものごとを単純に説明している理論ほどプロパガンダに利用されやすいと。

ちなみに一番最後は、簡単にいえば「氏か育ちか」ということですね。
by masa_the_man | 2011-09-15 23:35 | 日記 | Comments(0)