ペンタゴンの財政削減はこうしろ! |
さて、私が一番気になっているのは日本のみならず、世界の安全保障にも関わってくるこの話題。アメリカの経済が米の(軍事)覇権にどのような影響を与えるのか、というテーマです。
ちょっと前の記事ですが、これも面白いので要点ポイントフォームで。
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ペンタゴンの財政削減
by ゴードン・イングランド
●新しい国防長官レオン・ペネッタ氏は、国防省の予算を大幅に削減するという難問にすぐに直面することになる。
●オバマ大統領の司令を受けて、彼は12年間で4千億ドル(31兆円)、もしくは毎年330億ドル(2.5兆円)を削減しなければならないのであり、これは現在の国防省の年間予算の5パーセントにあたる額だ。
●私の今までの経験からペネッタ長官に申し上げたいのは、武器調達計画やR&D関連の計画を、急激に削除しないように、という点だ。
●同時に、同じ割合で平等にすべての軍事予算を平均的にカットするというのも、歴史の例でみると大失敗につながっていることが証明されている。
●その代わりに彼がやるべきは以下の5つのことである。
●第一は、彼は制服組ではなく、省内の背広組をカットすべきだということだ。
●たとえば海軍ではすでに2003年から水兵が6万人も減らされているが、背広組は労働組合や規制などのおかげで全然数が減っていない。ペンタゴンの背広組の70万人のうち、まずは10万人カットが適切であろう。
●第二に、政府は同盟国にもっと防衛関連の装備を売り込むことを奨励すべきだ。LCSや耐地雷車両などがいい。
●これはアメリカの国内産業を助けることにもなるし、何よりもこれによって浮かせることができる予算の額は馬鹿にならない。
●第三は、国防省が新しい調達計画を始めるのをやめて、その代わりにすでに動き出している既存の調達計画を強化して生産数を上げ、そのスピードを速めることだ。
●アメリカの新しい武器調達計画はあまりにも多くのことに手を広げすぎで、完成まで資金が続かないことがある。これで少ない数の兵器を非常に高額な値段で買うことになって失敗するのだ。
●第四に、ペネッタ新長官は実働の戦闘部隊と事務方の人員の不釣合いなバランスを是正すべきだ。なにしろ背広組が異様に多くて、実際に活躍する諜報部員は兵員、それに輸送部隊などの数が少ない。
●第五に、国防省は四軍の制服組のトップに、装備調達の面でもっと発言権をもたせるべきである。
●彼らは調達計画の初期の段階では色々と計画策定に参加できるのだが、後半(の数年後)になるとほとんど何も言えなくなる。そうなると、すでに計画自体が古くなっている場合もあるのだが、軍のトップたちは修正案を提案できなくなり、コストだけが上がっていることになる。
●ペネッタ氏は政府内で様々な経験をしてきたから大丈夫だと思うが、それでもこれから難問に直面するわけで、そのために一つの歴史の教訓を思い出していただきたい。
●それは第二次大戦後から朝鮮戦争までの5年間で、われわれは米軍をかなり劣化させてしまったということだ。このおかげで、朝鮮戦争への準備がまったくできていなかったのだ。
●予算の決定は重大な結果をもたらすし、これはアメリカの安全保障に直接影響を与えるものであるので、ぜひ慎重にお願いしたい。