戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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宇宙地政学の本

今日の甲州は朝から蒸し暑かったです。いきなり夏至ですが、これからまた日が短くなるとは思えないほど。

さて、随分昔に書いたと思ったら、まったく書評に書いていなかったので、あらためて紹介。

Astropolitik: Classical Geopolitics in the Space Age
by Everett C. Dolman

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宇宙地政学の第一人者、エヴェレット・ドールマンの「アストロポリティーク:宇宙時代の古典地政学」です。

その内容なんですが、すでにご存知の方もいらっしゃるように、拙訳『進化する地政学』の中の「宇宙時代の地政戦略」の著者が、この論文を博士号論文レベルまで拡大して書いたもの。

はっきり言えば『進化する地政学』のほうの論文にエッセンスが全て入っているので、あえて本まで読まなくても良いかも知れませんが(苦笑)、私がこの本で注目するのは、原著者が古典地政学の論理づけや文献紹介などを徹底的に行っている、とくに最初の2つの章。

後半は宇宙関連の専門用語や地図が出てきて、正直のところそっち方面の知識がないと読んでいてもツライ部分があるかも知れません。

ちなみにドールマンは本ブログでもおなじみの米空軍大佐と非常に仲が良いみたいで、この本をあえて挑戦的に(つまりバリバリのハードなリアリストな視点で)書いたということみたいで、本人はあくまでもこれを「試論である」というとらえかたをしているとのこと。

いいかえれば、彼自身はこれを書いたにもかかわらず、この理論を心の底から信じているわけではない、ということです。

ではなぜ書いたかというと、このような「極端なこと」を書くことによって、逆にスペースパワーの議論が広がっていくのが良いと考えているからだとか。

読んでいてもわかるように、この人は単なる宇宙オタクではなく、相当なインテリなようで、哲学書や国際関係論の本なども相当読み込んでいることがなんとなくうかがえますし、実際に大佐に聞いてみたらやはりその通りでした(メチャメチャ背が高くてデカイらしい)。

ということで、出版されてから9年ほど経った本ですが、これほど知的興奮にあふれる斬新な地政学の本は当分出てこないかも知れません。もちろん私の論文でも大いに参考にさせていただきました。

古典地政学の理論のエッセンスを逆に見つめ直すきっかけにもなるという意味で、とても貴重な本です。超オススメ。
Commented by エキゼエル at 2011-06-30 00:17 x
ドールマンの他の論文でも社会学やウォーラーステインの世界システムに関する知識を用いていたのがあったので、かなり博識だと私も思いました。
読んでいて思ったのは奥山さんがブログでも取り上げているように、ドールマンもコントロールの思想に関心が向いているがよくわかります(笑)
他にも読んでみて面白いと思ったスペースパワーの本では「SPACE WARFARE」John J.Kleinもお勧めです。この人はマハンではなく、コーベットの理論を使って分析と理論化をしているので、一味違う内容になっています。
Commented by masa_the_man at 2011-06-30 01:15
エキゼエルさんへ

>スペースパワーの本では「SPACE WARFARE」John J.Klein

実は私のコースメイトです。年に一回の夏の発表の際に三回しか会ったことはないですが、前回一緒にパブに飲みに行きまして、その辺のことについて聞いたことがあります。コーベット派なので自分は海軍士官のくせにこういう議論をするんだなぁと感慨深かった記憶があります。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2011-06-22 23:48 | おススメの本 | Comments(2)