戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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戦略についてのある論文:その17

しかしだからと言って、これらのことは「イギリスは賭けに出るべきではなかった」という意味にはならない。なぜなら、誰も実際に起こった結末(イギリスの勝利)を非難できないからだ。

しかしこれは「この決断が戦略的な論理以外のものにしたがって決定されなければならない」ということを示していることにもなる。なぜならチャーチルが成功する確率はヒトラーのそれよりも明らかに高かったというわけではないからだ。

たとえばヒトラーはソ連侵攻のための論理的根拠をもっていたし、アメリカに対しても宣戦布告している。ソ連を攻撃したのはソ連のパワーが増加していたからであり、イギリスはそれを予防的に行ったのだ。

この時にロシアの応援を待っていたら、イギリスはいつまでたっても何もできなかったはずだ。ソ連の陸軍はフランス軍よりも弱かったし、アメリカの戦争は不可欠だったが、本格的に武力が使用されるまでは一年以上かかると見込まれており、それまでに戦争は終わっていて、大陸での決着はついていたはずなのだ。アメリカに対する宣戦布告は枢軸国の条約履行の義務を果たさせる役割を果たし、これによって日本は米ソの国力を削いでくれるチャンスを増加させることになるのだ。

ヒトラーはソ連軍の実力に関して正確な情報を把握していたわけではないし、同時に彼らはポーランド、ノルウェー、フランス、ギリシャ、そしてユーゴスラヴィアに対して連戦連勝をおさめていたので、自分たちの陸軍の強さを疑う理由はどこにもなかったのだ。

ヒトラーの決断の論理的根拠がチャーチルのそれよりも無謀に見えるのは、歴史を後から振り返った場合だけなのだ。
Commented at 2010-07-13 11:51 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by masa_the_man at 2010-07-14 23:11
上山さんへ

>部分があると考えていまして、ああ言ったことを書きました。

納得。

>「戦略学は多様な学問の集合体」という事実です。

その通りですね。

>勉強会を企画して、みんなで勉強

これはすばらしいですね。こういう地道な努力が将来身を結ぶかと。コメントありがとうございました
Commented by porepore at 2010-07-18 01:16 x
"風任せ"ってところですか。
終戦間際の戦艦大和の特攻レベルの論理とは…
チャーチルの側近もよく分かんないけど、「全体の空気」に逆らったら「抗空気罪」で処されることは認識してたのでしょう。
日本もそうですけど、潜在的な中規模な国家なんてそんなもんなんですね。
この前のワールドカップのドイツ戦で敗戦後した時も、いまだに先の戦争を引き合いに出すあたり、永久にアピールし続けないとバレちゃうし…大変だ。
俺たち(英国民)は勝ったぞ!「他力本願」でね!!…ん?
Commented by masa_the_man at 2010-07-18 12:06
porepore さんへ

>永久にアピールし続けないとバレちゃうし…大変だ。

そういうことです(苦笑

>俺たち(英国民)は勝ったぞ!「他力本願」でね!!…ん?

わははは(笑)コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2010-07-13 08:00 | 日記 | Comments(4)