戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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世界(西洋)の終わり?:後半

遅くなりましたが、ウォルトのブログのエントリーの後半部分です。

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●先週ロバート・ゲイツ国防長官が演説で述べたように、米国防省はこの現実と無関係でいられるはずがなく、数年以内に深刻な予算削減をしなければならなくなる。

●そしてこの騒ぎれがひとまず終わると、イラクやアフガニスタンにおける経験によって、アメリカの「国家建設」や「地域変換」などのような、われわれの理解できない、しかもそれほど得意ではない分野での取り組みについての熱意が冷めると私は思っている。

●これらをまとめて考えてみると、過去数百年の間に世界政治を管理しようとしてきた国々は、次の数十年以内にそのような活動を減らして行くことが見えるのだ。

●もちろんこれはある見解からすれば「良いこと」なのかもしれない。なぜならいくつかの西洋諸国の介入は間違ったものであり、その国が自分で問題にあたったほうが害が出なかったようなものもあるからだ。しかしそれは同時に、世界のどこかが大変なことになり、それがわれわれに何からの形で直接影響を及ぶしてくるということなのだ。

●そしてこれはまた新たなプレイヤーたちがグローバルなアジェンダの形成にたいして、今までにないような形でからんでくるということを意味しているのだ。

●もちろん私がここで説明しているような変化は、すでに世界各地の途上国の間で起こっていることを反映したものであり、彼らはグローバルなバランス・オブ・パワーを自らの努力でシフトさせようとしているのだ。

●この代表的な存在が中国であり、この急激な勃興は北京政府が過去百年間の失政をようやく克服した点が大きい。同じようなトレンドは(緩やかだが)インドでも起こっており、他のアジア諸国も同様だ。

●しかし差し迫った大西洋時代の終焉は、欧米諸国が過去十年間で自ら加速させたということも言えよう。

●とくにヨーロッパの場合は、未熟な制度や無責任な財政を行っている国々(イギリスの労働党政権)や、財政のごまかし(ギリシャ)やバブル(スペインとアイルランド)の上に共通通貨を流通させようと、誤ったことを行っていたのだ

●アメリカの場合は、単なる自信過剰が原因だ。われわれはマーケットはつねに上がるものと勘違いしていたのであり、借金返済の必要はなく、銃を突きつければリベラル民主制度は地域を変革し、増税なしに世界を動かせると思っていたのだ。

●単純にいえば、われわれはアメリカとヨーロッパのほどんどの国が、はしご酒をしていた楽しい酔っぱらいであるように見えてきたのだ。しかしこのようなお祭り騒ぎはいつかは終わらなければならないし、シラフに戻って二日酔いに直面しなければならないのだ。2010年へようこそ!

●もしこの分析がたったその一部でも正しいなら、アメリカとヨーロッパは大戦略について真剣に考え直す必要が出てくる。ここでは痛みをともなう決断が必要になるかも知れないし、いままでの「世界観」や聞き慣れたありきたりの発言では何の助けにもならないのだ。

●平時においては「経験」というのは政策家にとって大切なものであるが、新しい状況が出て来て伝統的な智慧が当てはまらないような時は、そのような経験は逆に物事を見せなくしてしまうのだ。

●最近では大西洋の両側で大胆な対外政策はあまり見えてこないし、ワシントンの中だけ(もっとひどいのはNATOの本部だが)につとめていると想像力を失ってしまうのだ。

●私の夢見がちな人間だと思っていただいてもかまわないが、それでも私はオバマ(もしくはキャメロンやメルケル)が「チームB」をつくって、政策プロセスに新しい考え方を採用してくれることを願っているのだ。

●もちろんそのようなチームがあってもかまわないし、NATOの未来について考えるチームや、中東和平のプロセス、それにイランへの対処の仕方、グローバル制度機関の再構築、そして中国との関係を考えるチームがあってもいい。

●もちろんこのようなチームに公式的な権威は与えなくてもよく、それでも彼らには現在の戦略をゼロから見直すことを求め、上院の認証を得られないような人間を数人加え、その道の専門家を入れないようにするのだ。それからはじめて彼らの言うことを聞くのだ。もしかしたら彼はとても有意義なアイディアを出してくるかもしれない。

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最後は「新しいアイディアを!」ということで締めましたね。
Commented by masaya at 2010-05-19 16:03 x
彼が主張しているオフショア・バランシングで十分じゃないのでしょうか。ただアメリカの一般人が認識するにはもう少し時間がかかるのでしょうが。
Commented at 2010-05-19 17:06 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by at 2010-05-19 17:28 x
直接エントリーと関係ないんですが、シンクタンクCSBAの中国にどう対処するかというレポートです。

ttp://www.csbaonline.org/4Publications/PubLibrary/R.20100518.Air_Sea_Battle__A_/R.20100518.Air_Sea_Battle__A_.pdf
ttp://www.csbaonline.org/4Publications/PubLibrary/R.20100518.Slides_AirSea_Batt/R.20100518.Slides_AirSea_Batt.pdf
Commented by masa_the_man at 2010-05-19 18:25
masaya さんへ

>オフショア・バランシングで十分じゃないのでしょうか。ただアメリカの一般人が認識するにはもう少し時間がかかるのでしょうが。

大きなショックがないとダメかも知れませんね。そういう意味ではベトナム以上のショックが。たとえばアフガニスタンとか。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-05-19 18:26
Risako さんへ

>を登用せよ、ということですか?

かも知れません。とりあえず既存の考え方にとらわれるのはやめて、新しい考え方を!みたいな感じでしょうね。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-05-19 18:27
waterloo さんへ

>中国接近中?

ありえますね。これが「カオス化」です。多極化とは違います(笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-05-19 18:32
派 さんへ

>CSBAの中国にどう対処するかというレポートです。

こういうレポートをご紹介いただけるとはありがたい。

>ASB IS part of a larger “offsetting strategy”

うーむ、うまいこと言いますなぁ。このスライドのほうが面白いです。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2010-05-19 14:35 | ニュース | Comments(7)