世界(西洋)の終わり? |
さて、またまたウォルトのブログから。彼は最近連続して面白いエントリーを書いております。
まずは前半だけ。後半はまだ訳してないので今夜のせます
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The end of the world as we know it?
Posted By Stephen M. Walt Thursday, May 13, 2010 - 10:35 AM
●いままでの五百年間は、世界政治は大西洋周辺の列強(西洋諸国)の行動や優先順位によって主に動かされてきた。
●この時代はヨーロッパの植民地をもつ帝国の発展によって始まったのであり、これが世界中のほとんどの土地を切り刻み、キリスト教、ナショナリズム、そして民主主義のようなアイディアを広め、現存する国境の多くをつくったのだ(もちろんこのプロセスの進行中に色々な害も発生した)。
●もちろん(1945年以降の)日本のように例外はあるが、それでも大西洋周辺の国々が何百年間も主要プレイヤーであったのだ。
●第二次大戦後のヨーロッパの没落はアメリカのリベラル国際主義の時代にすぐとってかわられた。アメリカはNATOと日本をジュニア・パートナーとしながらさまざまなグローバル制度機関を(そのほとんどを自分たちで作ってから)承認し、多くの種類の軍事基地を維持し、冷戦を戦って勝利し、世界中の色々なところに熱心に「西洋」の価値観と制度を植え付けようとして、それを成功させたのだ。
●もちろん私は(『西洋の没落』を書いた)シュペングラーや(『大国の興亡』を書いたポール)ケネディー的な主張をしたいというわけではない。しかし最近の私は、いままでの西洋の時代は実質的に終わり、世界勢力の構造が大規模な転換期を迎えているのではないかと考えはじめている。
●世界のGDPにおけるアジアのシェアは、すでにアメリカやヨーロッパのそれを越えており、最近のIMFの報告では、その規模は2030年までにはアメリカとヨーロッパをあわせたものの合計よりも多くなると予測されている。
●すでにヨーロッパは軍事的には張り子の虎状態になっており、現在の経済危機はヨーロッパの国々(とくにイギリス)の軍事力をさらに削減するよう迫ることになるだろう。そうなると当然のように「ユーロがドルにとって変わる」などという希望は怪しいものになる。
●ヨーロッパ諸国の国内政治は財政が厳しくなるにつれて大変なことになってくるだろうし、ヨーロッパがアフリカや中央アジア、または中東などで行っているさまざまな慈善事業には必然的に資金が回らなくなるはずだ。もちろんこのような活動の全てが消滅してしまうわけではないが、それらが現在のようなレベルで続くとは考えにくい。
●アメリカの状況はそれに比べればまだマシだ。なぜなら潜在的な経済発展の余地があるし、人口も全体的にまだ若く伸び盛りだし、労働市場も柔軟だし、海外から資金を調達できる能力は高いなどの理由があるからだ。
●しかしそれでもアメリカはヨーロッパと似たような圧力に直面することになるはずだ。
●なぜならわれわれにはイラク戦争や2008年の金融危機による深刻な債務があり、失業率はまだ高いままであるし、健康保険法案も高齢化するベビーブーマーたち(の要求)の急増によってコストをカットすることはできず、州や市などの政府自身も大きな財務危機に直面しているし、増税に対しては幅広い反発があり、国家のインフラの維持についても延期されているものが多いのだ。