2010年 04月 22日
ロシアの北極へのアプローチについて |
今日の甲州は朝からどしゃぶり状態でして、夕方になってようやくやみました。けっこう冷え込みまして、私の周囲にも体調の悪い人がちらほら。
さて、ひさしぶりに北極海ネタです。ロシアの動きについてFTに記事が上がっておりましたので、いつものようにポイントフォームで。
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What Moscow wants in the Arctic
By Charles Emmerson
Published: April 15 2010 22:03 | Last updated: April 15 2010 22:03
●2007年にロシアが北極海の底にロシアの旗を立てたが、先週にも1949年のソ連時代の業績をたたえてパラシュートを降下させると発表して周辺関係国を不安に陥れている。
●これについてカナダの外相は「ロシアのプロパガンダは意味がない」と強気の発言をしており、最近の北極周辺の「主権主張ツアー」でカナダのほうがロシアのようなスタントではなくしっかりと実のある行動をしていると述べている。
●ロシアの行動がどう映ったかわからないが、とにかくこの地域に決定的な影響を与えるのはロシアであり、彼らの権益は歴史や地政学、そして気候変動や資源への欲望によって形作られているのだ。
●第一に、シベリアと北極海は「戦略的深さ」を持つ砦(1812年と1941年で証明された)か発射台(とくに冷戦時代のソ連の原潜のもの)という役割をもっている。
●ロシアの北極海周辺の人口の多さは、ソ連時代に軍事産業を北に配置したからであり、ムルマンスクなどはカナダの北極圏全体に住む人の三倍の人口をもつのだ。
●最近のロシアのアイスランドとの親密な関係づくりは地政学的な考えによるところが大きい。
●第二に、北極を通ってヨーロッパからアジアへと抜ける道を開拓することは長年の目標である。ここが開通すれば、北部が開発されてロシアの地政学的な弱さ(西と東の分離)を克服することができるのだ。1905年の日本海海戦での敗北はロシアに苦い教訓を与えている。
●ロシアの「北東航路」はカナダの「北西航路」よりもかなり先に開通する見通しであるし、ロシアの国営海運会社であるソフコムフロート(Sovcomflot)はこの夏に白海から日本へ石油を運搬する計画を立てているのだ。
●第三に、ロシアの石油やガスなどの炭化水素エネルギーの生産(対外的な影響力と国内の安定性に極めて重要)は、すでにある油田などでの生産が落ち始めるために北極周辺へとフォーカスがシフトするのだ。
●イギリスを含むヨーロッパ自身もいずれは北極海のガスに頼ることになるのであり、メドベージェフ大統領も北極海は2020年までに資源面で最も重要な戦略的地域になると発言していて、現在その地域を調査してデータを集めているのは領土と資源の確保のためである。
●ところがロシアの北極海へのアプローチの仕方は「文化」という面からも理解できる。
●たとえばロシアは記念などについてのお祭り騒ぎが好きであり、たしかに北極に最初に空挺部隊を降下させ、そこに飛行機を最初に着陸させたのもソ連である。
●また、ロシアは世界のどの国よりも調査船を持っているし、老朽化したとはいえ、砕氷船の数は世界一だ。
●このような事実は意外と重要だ。ロシア以外にはほとんど知られていないが、北極探検の歴史というのはロシア国民の考えかたにかなり浸透しているからだ。
●たとえばアメリカの北極圏の冒険について書いたアメリカの作家ジャック・ロンドンはソ連時代の最も有名な作家の一人だった。
●たしかにロシアの北極海へのアプローチは警戒すべきだ。しかし彼らもNATOのような組織や北極圏にある他の国に対して外交を展開していかなければならないのだ。
●もちろん国連の海洋法(アメリカは参加してない)は北極海の各国の領土の主張を解決はしてくれないが、それでもどの国が領土を持っているのかについてのひとつの目安とはなる。
●先月メドベージェフ大統領は「ロシアの資源探査のアクセスや北極海の開発を制限しようとする行動」に大して警告を発している。しかしこれはロシアがいままでの条約をすべて拒否するというわけではないのだ。
●もちろん状況はかわるかも知れない。たとえばノルウェイの外相は数週間前にカナダで開催された北極周辺国の会議(アメリカの国務省長官が初参加したが)において、「ロシアはまだ信頼に足るような、予測可能な動きをする安定的な国家ではない」と発言している。
●つまりロシアが他国がすでに主張している領土に文句をつけてきたりする可能性はある。それでもロシアは来週モスクワで北極圏についての会議を開催するのだ。
●石油の豊富なバレンツ海において、ロシアとノルウェイはかなり激しい意見の対立をかかえている。
●つまりここで確実なのは、ロシアの北極海での活動は当分ニュースとして報道され続けるということだ。大切なのは、われわれはそれを正しく解釈するようにしなければならないということだ。
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この「日本に石油を運ぶ」という部分がとても気になります。日本側の受け皿はどの会社???
さて、ひさしぶりに北極海ネタです。ロシアの動きについてFTに記事が上がっておりましたので、いつものようにポイントフォームで。
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What Moscow wants in the Arctic
By Charles Emmerson
Published: April 15 2010 22:03 | Last updated: April 15 2010 22:03
●2007年にロシアが北極海の底にロシアの旗を立てたが、先週にも1949年のソ連時代の業績をたたえてパラシュートを降下させると発表して周辺関係国を不安に陥れている。
●これについてカナダの外相は「ロシアのプロパガンダは意味がない」と強気の発言をしており、最近の北極周辺の「主権主張ツアー」でカナダのほうがロシアのようなスタントではなくしっかりと実のある行動をしていると述べている。
●ロシアの行動がどう映ったかわからないが、とにかくこの地域に決定的な影響を与えるのはロシアであり、彼らの権益は歴史や地政学、そして気候変動や資源への欲望によって形作られているのだ。
●第一に、シベリアと北極海は「戦略的深さ」を持つ砦(1812年と1941年で証明された)か発射台(とくに冷戦時代のソ連の原潜のもの)という役割をもっている。
●ロシアの北極海周辺の人口の多さは、ソ連時代に軍事産業を北に配置したからであり、ムルマンスクなどはカナダの北極圏全体に住む人の三倍の人口をもつのだ。
●最近のロシアのアイスランドとの親密な関係づくりは地政学的な考えによるところが大きい。
●第二に、北極を通ってヨーロッパからアジアへと抜ける道を開拓することは長年の目標である。ここが開通すれば、北部が開発されてロシアの地政学的な弱さ(西と東の分離)を克服することができるのだ。1905年の日本海海戦での敗北はロシアに苦い教訓を与えている。
●ロシアの「北東航路」はカナダの「北西航路」よりもかなり先に開通する見通しであるし、ロシアの国営海運会社であるソフコムフロート(Sovcomflot)はこの夏に白海から日本へ石油を運搬する計画を立てているのだ。
●第三に、ロシアの石油やガスなどの炭化水素エネルギーの生産(対外的な影響力と国内の安定性に極めて重要)は、すでにある油田などでの生産が落ち始めるために北極周辺へとフォーカスがシフトするのだ。
●イギリスを含むヨーロッパ自身もいずれは北極海のガスに頼ることになるのであり、メドベージェフ大統領も北極海は2020年までに資源面で最も重要な戦略的地域になると発言していて、現在その地域を調査してデータを集めているのは領土と資源の確保のためである。
●ところがロシアの北極海へのアプローチの仕方は「文化」という面からも理解できる。
●たとえばロシアは記念などについてのお祭り騒ぎが好きであり、たしかに北極に最初に空挺部隊を降下させ、そこに飛行機を最初に着陸させたのもソ連である。
●また、ロシアは世界のどの国よりも調査船を持っているし、老朽化したとはいえ、砕氷船の数は世界一だ。
●このような事実は意外と重要だ。ロシア以外にはほとんど知られていないが、北極探検の歴史というのはロシア国民の考えかたにかなり浸透しているからだ。
●たとえばアメリカの北極圏の冒険について書いたアメリカの作家ジャック・ロンドンはソ連時代の最も有名な作家の一人だった。
●たしかにロシアの北極海へのアプローチは警戒すべきだ。しかし彼らもNATOのような組織や北極圏にある他の国に対して外交を展開していかなければならないのだ。
●もちろん国連の海洋法(アメリカは参加してない)は北極海の各国の領土の主張を解決はしてくれないが、それでもどの国が領土を持っているのかについてのひとつの目安とはなる。
●先月メドベージェフ大統領は「ロシアの資源探査のアクセスや北極海の開発を制限しようとする行動」に大して警告を発している。しかしこれはロシアがいままでの条約をすべて拒否するというわけではないのだ。
●もちろん状況はかわるかも知れない。たとえばノルウェイの外相は数週間前にカナダで開催された北極周辺国の会議(アメリカの国務省長官が初参加したが)において、「ロシアはまだ信頼に足るような、予測可能な動きをする安定的な国家ではない」と発言している。
●つまりロシアが他国がすでに主張している領土に文句をつけてきたりする可能性はある。それでもロシアは来週モスクワで北極圏についての会議を開催するのだ。
●石油の豊富なバレンツ海において、ロシアとノルウェイはかなり激しい意見の対立をかかえている。
●つまりここで確実なのは、ロシアの北極海での活動は当分ニュースとして報道され続けるということだ。大切なのは、われわれはそれを正しく解釈するようにしなければならないということだ。
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この「日本に石油を運ぶ」という部分がとても気になります。日本側の受け皿はどの会社???

by masa_the_man
| 2010-04-22 22:58
| 北極海の地政学