世界観 vs 実際の地理 |
さて、久々に考えていることを一つ。
マッキンダーは『デモクラシーの理想と現実』という歴史的名著の中で色々と興味深いテーマを論じているわけですが、この彼のテーマの中の一つにあるのが、国家の「世界観」と「実際の地理」の間にギャップが出てきた場合のこと。
彼にとってはこれが第一次世界大戦という、ヨーロッパにとっては史上最大級の悲劇を生み出したことになったわけですが、実はこの「世界観」と「実際の地理」の間にあるギャップというのは、あらゆる国家がかかえる懸念事項の一つであります。
この辺についてマッキンダー自身はあまり堀り下げて考えているわけではなく、「地政学の三位一体」の時と同じように、ただ単に提案しているだけなのですが、そういえばモーゲンソーが国際政治の理論(リアリズム)を「科学的に理論化できる!」と言ったわりには自分で何もしなかったことのは、このパターンとそっくり(笑
いずれにせよ、これはこれから詳しく検証していく価値のある大きなテーマではないか、というのが私が最近思っていることです。
具体的にいえば、北朝鮮のミサイル問題であらわれてきた、日本という国家のエリートたちが持つ「世界観」と、(ミサイルによって距離の縮まった日本海という)「実際の地理」の間のギャップとかが一例として挙げられますよね。
できればそのうちにこの辺をうまいこと理論化してみたいところです。