戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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ケーガンの講演会のレポート

今日の甲州はけっこう日が射しましたがまだまだ寒く、気温があがりませんでした。

さて、昨日お約束したケーガンの講演会の様子がまたあるサイトにうまく掲載されておりましたのでちゃっかり転載させていただきました(笑

以下ですが、ちょっと私が手を入れている部分がありますのでご容赦ください。

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「The Return of History」というタイトルのロバート・ケーガンの講演会を聞いてきた。   

Fより

この英語表題と日本語表題の違いを解く鍵が、フランシス福山の「歴史の終焉」であり、その福山が言った歴史が終焉していないという意味で、「歴史の復活」という英語表題になったようだ。

大国間での競争とイデオロギー論争が、歴史上ではいつの時代も起こっている。世界観が違う大国同士は違う政治をすることになり、世界の動向は、この大国の政治によりどうなるかが決まり、どのように秩序が保たれるのかが決まる。

この大国間の競争が今なくなっていると認識されているが、これと同じような時代が歴史的にあった。20世紀始めで1910年から第一次大戦前までである。

大国間の紛争が去ったとチャーチルまで言っていた。仏独を中心とした欧州での大戦が30年間も無くなり、通信が発展して世界の距離が短縮された。知識人の間では国際紛争は無くなり、グローバル経済になったと評論されていた。

しかし、この後に人類史上、最悪な第一次大戦になるのである。グローバル経済は、戦争を無くすというのは知識人の錯覚であった。

フランシス福山の「歴史の終焉」も同じで冷戦の終焉を受けて、大国間競争は無くなったとした。

冷戦後のコンセンサスとして、1.大国間の競争がなくなり、2.地政学から地経学へというように、国の力は経済にシフトしたとした。そして、グローバル経済になったと。

この当時、大国は米国一国になり、ソ連も潰れ、中国は天安門事件で孤立化していた。まだ、この時代は中国も軍事大国ではなかったし、経済もテイクオフしていなかった。日本もバブル崩壊後であり経済的なスランプ状態であった。

ということで、米国としては楽観的になり、大国間競争は無くなったと福山は書いたのである。世界はそれぞれ関係を持ち、大国間の経済も関係が深くなるので紛争がそれで抑えられるとした。世界での心配は、テロ活動など非国家組織での活動になった。

ロシアは民主化されたが混乱に陥り、中国もいづれ民主化されるという認識ができた。経済面が成長し近代化されると民主化するとした。これは、中間層が豊かになると民主化の要求がでてくるということである。このため、大国間の競争はなくなるとなった。

しかし、18世紀を見ると、大国間の競争は各所にあった。ロシア、中国、インド、日本、米国、欧州などである。

しかし、現在はどうなったかというと、ロシアは経済的な見方だけではない政治をしている。パンのみの政治ではない。

プライドや怒り、野心など人間が持っている感情を持って大国の政治をしている。特に新興国家はこの感情的な政治が多い。

ロシアの政治は1990年の世界からの屈辱を晴らし、ロシアのプライドを取り戻すことであり、それがプーチンがロシアを大国にする動機である。このため、ナショナリズム的な政治になる。

中国も19世紀後半から今まで屈辱を受けたと思っている。この屈辱を晴らし、19世紀以前の世界の大国に復帰するという。

インドも数世紀の間、屈辱を受けてきた。この地域での大国を目指すとしている。そして、この中国とインドは勢力圏がぶつかっている。このため、大国が競争することになる。

それがグルシアでの地域紛争になったし、台中海峡での紛争になる。

大国間の戦い・競争は起きている。共通の利益、貿易関係はある。しかし、これだけでは安全とは言えない。

気候変動問題でも、先進諸国はインド・中国に対して経済的な成長の制限を設ける圧力と捕らえて、抵抗している。イランの核不拡散問題でもロシアと中国は抵抗している。

専制国家が民主国家群から圧力を受けていると捉えている。ロシアと中国は専制国家の方が力があり、良いと考えている。ロシアは1990年の民主化は悲惨であったと思っている。

経済成長で成功したとロシアと中国は認識し、また国民は生活水準が上昇した。経済的な自由で、政治的には不自由という体制を多くの国民が受け入れている。プーチンは明確にロシアの民主化は国を弱くし、専制は国を強くすると言っている。

このような中で中ロも民主化にいつかなるという希望はダメである。専制主義が相当長期につづき、強く生き残ることになる。

このような中ロの大国が中小国に影響することになる。ファシズムが戦前、力があり、戦後共産主義のモデルがよいとなり、多くの国が共産主義になった様にである。

このため、中国の専制主義モデルが良いとなると、真似して増加することになる。

そして、2つの専制主義国家(中国、ロシア)はオレンジ民主革命を問題視する。ロシアの封じ込めとみなし、CIAや西側の資金が入ったと騒ぐことになる。

ベネズエラはイラン、ロシア、中国と結び、専制国家は集まって、自国の安全を保持しようとする。専制主義大国は専制国家を民主国家から守ることになる。

このように専制国家と民主国家の対立が起きている。しかし、見逃されている。このため、民主国家はこのままでよいという安心感を持ってはいけない。民主国家は連帯を強めることが必要である。それが弱い民主国家を支えることになる。

冷戦以後弱まっている同盟関係を強めることが重要であり、地政学を復活させること、これは取りも直さず「歴史の復活」である。

米国を中心としてはバランスオブパワーを復活させて、専制国との間で力の均衡を再度構築することである。

Q(中山先生):ケーガンさんの最近のコラムを読んだが、オバマ政権の評価が揺れているように感じるがど
 うでしょうか?

A:オバマ政権に外交観がないと思っている。アメリカの「国益」は選挙の前と後でも同じである。現実は変化していない。

Q(中山先生):米国の米中関係が日本との同盟関係を弱めているように感じるがどうですか?

A:世界の対するアプローチが冷戦的な物から脱却る方向であり、大国間の関係を重要視している。このため、中国との関係を強化した。新政権間の基地関係は同盟関係をリセットした。

Q:ケーガン先生はネオコンと呼ばれているが、それについてどう思うか?

A:そのラベルを拒否している。自分の外交政策は伝統的な物である。よって私の考え方は新しいという意味の「ネオ」でもないし、「コンサヴァティヴ」という保守ではなく「リベラル」なのだ。民主主義が根幹であり、パワーが必要であると見る。

Q:ケーガン先生の家庭は父上が知識人で弟も安全保障の知識人、その奥さんも有名な評論家などで知的なあるが、家庭内ではどんな話をしているのですか?

A:ベースボールの話だけ

Q:中国の専制主義は過去30年で徐々に努力して弱まっていると見るがどうか?

A:40年前と今では、中国は前進している。しかし、野党を認めないとか、言論の自由を押さえているなど、第4世代のリーダになったら、民主化すると言っていたが、現在民主化を押さえ込んでいる。反乱分子に対しても厳しく、前の政権より後戻りしている。

Q(インド人):民主国家でも政治家を信用しないことがあるが?

A:国民が政治家を信用しないのは昔から。では他の政治的な制度にするかというと、民主政治以外にはできない。

Q:専制国家の拡大で、米国は影響力をなくすのか?

A:レトリックが勝っている。中国の経済の影響力は大きくなる。民主党は韓国などとのFTAを進めない。軍事力+軍事同盟を推進することが重要である。周辺国家は中国のコントロールを受けたいと思っていない。このため、米国の軍事プレゼンスを望んでいる。

Q:インドの役割はどうですか?

A:インドは民主国家であるが、ミャンマーを支持している。インドのアイデンティティが非同盟にするこか民主大国にするのか揺れている。インドやブラジルの経済発展は有利になり、中国の経済発展は不利になると見る。

Q(高畑):米国は内向きになっていると見るがどうか?

A:孤立主義ではなく国際主義になっている。内向きではない。911は政治的に影響している。脅威があると米国民は感じている。このため、ロン・ポールなど孤立主義者は1%しか得ることができない。

Q(中国大使館員):学者としての立場から意見したい。ケーガン先生の民主国家対専制国家という考えは世界を見る時に白黒というブッシュ政権の外交と同じように感じる。世界はもう少し、複雑である。

A:世界は複雑であるが、単純化して言っているだけ。この考えはリアリズムの考えである。専制と民主ではリーダの考えが違う。経済論理だけで政治を見るのは間違えであり、いろいろな側面から決まるのである。

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ロバート・ケーガン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ロバート・ケーガン(Robert Kagan、1958年9月26日-)は、アメリカ合衆国の政治評論家。ネオコンの代表的論者。

略歴・人物
アテネ生まれ。イェール大学卒業後、ハーヴァード大学ケネディスクールで修士号、アメリカン大学で博士号取得。アメリカ国務省米州局勤務を経て、カーネギー国際平和財団研究員を務める。また保守系シンクタンクのアメリカ新世紀プロジェクトの共同発起人。

2002年に『ポリシー・レビュー』誌に発表した論文「力と弱さ」の中で、冷戦後の世界において軍事力を重視するアメリカ人と、それをほとんど考慮しようとしないヨーロッパ人の世界観が「火星人と金星人」ほど異なってしまっていると論じ、もはやアメリカはヨーロッパに何事も期待していないと米欧関係の変化を結論したことで、政治的にも大きな議論を巻き起こし、ネオコンの論客として一躍脚光を浴びることとなった。2008年のアメリカ大統領選挙では共和党大統領候補であるジョン・マケインの外交政策顧問を務めた。

父はイェール大学名誉教授、古代ギリシア史研究者のドナルド・ケーガン。

=====

ということです。よくまとまっておりますなぁ。Fさんありがとうございます(笑

ちなみに司会者の中山さんは郵貯銀行の広告に出ている日本代表のサッカー選手である中沢選手に似ていると思ったのは私だけでしょうか?
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Commented by at 2010-04-01 00:31 x
本人は否定してるけど、典型的なネオコンって感じはしますね。

A:世界の対するアプローチが冷戦的な物から脱却る方向であり、大国間の関係を重要視している。このため、中国との関係を強化した。新政権間の基地関係は同盟関係をリセットした。

日米同盟は終わりましたと(苦笑
これで終わるなら日米同盟は実質的に機能しない神話ですね。

関係ないけど、日本の講演会場ってなんでこんなにしょぼいんだろう。
海外の会場って豪華に見えるんですよね・・ 建物のつくりの違いなんだろうか?
Commented by masa_the_man at 2010-04-01 01:13
派さんへ

>本人は否定してるけど、典型的なネオコン

まあその「ラベル」は否定しておりますが、中心的なところはバーネットとけっこう似ているかと。

>日米同盟は終わりましたと(苦笑

うーん、ちょっとこういうニュアンスではなかったですね。再考すべきだ、的な感じでした。

>日本の講演会場ってなんでこんなにしょぼいんだろう。

たしかにそれは・・・・(苦笑

>建物のつくりの違いなんだろうか?

ありますね。向こうは石造りが多いですし。コメントありがとうございました
Commented by nanashi at 2010-04-01 06:34 x
私は、鳩山傀儡政権仮説なので、鳩山は米国の敵役を演じる人形だと考え、いずれノムヒョン政権同様に怒りに震える米国主導で日米同盟の強化に至ると予想してます。
分断統治・間接戦略の一種だと思います。
私の希望は、鳩山政権を追いやって米国の戦略を挫き、日本外交の自由度を確保することです
Commented by elmoiy at 2010-04-01 11:44 x
>プライドや怒り、野心など人間が持っている感情を持って大国の政治をしている。特に新興国家はこの感情的な政治が多い。

個人のレベルで、業績をあげて他者から称賛される、あるいは自分が所属している分野のトップに立って、他の人間を見下す快感やプライドがアイデンティティになってしまっている人がいますが、国家や民族のレベルでもこういう要素は多分にありますね。

まだ日米経済摩擦問題がメディアを賑わせていたころ、ハーバード大学のロバート・ライシュ教授がアメリカ人に、

(1)アメリカ経済が25%、日本経済が75%、それぞれ成長する
(2)アメリカ経済が10%、日本経済は10.3%成長する

という二つのシナリオを示したところ、各層のアメリカ人の圧倒的多数が(2)を好むと答えたそうです。

純粋にアメリカ経済の将来のみを考えるなら(1)のほうが好ましいのですが、「自国の経済成長がたとえ低くなっても、日本に大きくリードされるよりはまし」というのが本音なのです。

とすれば冷戦時代に一方の超大国だったロシア、かつては「文明の中心」だった中国、インドなどが屈辱の歴史を晴らしたいと思うのも当然でしょう。
Commented by えんき at 2010-04-01 18:08 x
我が日本文明にも少なからずそれはあるのだが、特に中国人にとって自らの歴史を自らが描くことを許されなかったこの200年間とは、暗黒時代であったのだろう。

欧米列強の経済力軍事力政治力、あらゆる力の前に屈服せざるを得なかった中華文明の屈辱を今こそ払うのだとの意識が新中華主義として台頭してきたのは当然で、それが地球環境が人類文明全般の存続を不可とする時点と重なってしまった事とは、なんと運命的なのだろうか。

中華文明社会は欧米諸国に匹敵する力を得た今、本来的な己を世界の華と成す世界秩序を目指しだすのは当然だろうし、そのことが旧来の覇権を握る欧米近代文明諸国との衝突を意味することであることも当然であると、中国自身認識しているのである。

我々日本文明即ち稲作漁労文明としては、かかる文明の衝突・欧米近代文明と中華文明との衝突が、その本質において狩猟牧畜民族の持つ自己中心性同士のぶつかり合いであると観察するし、その結末が破壊の為の破壊でしかない事は当然の如く理解しているのである。
Commented by WIZARD03 at 2010-04-01 20:28 x
端的に言えば独裁とはランドパワーであり、民主とはシーパワーです。
ランドパワーは独裁でなければ安定しないと言うことを、中露は熟知しています。
したがって、自主的に民主化することはありえません。
人類の歴史はランドパワーとシーパワーの闘争の歴史であるというマッキンダーの言葉そのままですね。
政治体制というのは地形に応じて選ぶべきものであり、民主=善 独裁=悪 という図式は必ずしも正しくないと思います。
この人の言い分は宗教闘争と大差ないように私には聞こえます。
Commented by masa_the_man at 2010-04-02 00:26
nanashi さんへ

>私は、鳩山傀儡政権仮説なので

「仮説」と言っている点ではえらいですなぁ。

>いずれノムヒョン政権同様に怒りに震える米国主導で日米同盟の強化に至ると予想

「結果的には」そうなるかも知れませんが、アメリカがそこまで計算しているかは不明かと。

>私の希望は、鳩山政権を追いやって米国の戦略を挫き、日本外交の自由度を確保することです

ある意味でいまのほうが「自由度」があるのかもしれませんが・・・コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-04-02 00:28
elmoiyさんへ

>見下す快感やプライドがアイデンティティになってしまっている人がいます

いますねぇ(苦笑

>国家や民族のレベルでもこういう要素は多分にありますね。

あります。これはしっかり認めないと(笑

>各層のアメリカ人の圧倒的多数が(2)を好むと答えた

「パワーの相対」ですな。

>というのが本音なのです。

いい調査ですね(笑

>などが屈辱の歴史を晴らしたいと思うのも当然

そういうことですよね。国際政治はつくづく「危険なビジネス」ですな・・・・コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-04-02 00:30
えんきさんへ

>中華文明の屈辱を今こそ払うのだとの意識が新中華主義として台頭してきたのは当然

ナショナリズムですなぁ。

>地球環境が人類文明全般の存続を不可とする時点と重なってしまった事とは、なんと運命的

たしかに(苦笑

>その本質において狩猟牧畜民族の持つ自己中心性同士のぶつかり合いであると観察するし、その結末が破壊の為の破壊でしかない

そこでうまく立ち回る政治力が必要になってくるわけですが・・・コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-04-02 00:32
WIZARD03さんへ

>端的に言えば独裁とはランドパワーであり、民主とはシーパワー

単純化しすぎるのも危険ですが、まあそういうことです。

>自主的に民主化することはありえません。

ないでしょうね。

>民主=善 独裁=悪 という図式は必ずしも正しくない

ただしこれを「信じたい」という彼らの欲望も私は否定したくないんですよね(笑

>この人の言い分は宗教闘争と大差ない

あるでしょうね。それを冷静なロジックによって説明するので非常に説得力があるわけですが。コメントありがとうございました
Commented by at 2010-04-02 00:46 x
中国は小浜のイラン制裁案に賛成し、草案に加わるそうで、
元々安全保障理事国+ドイツは制裁免除ですから痛くも痒くもない、
その上アメリカに恩も売れる。
加えてもし5月の米中戦略対話で、人民元を少しでも上げれば、
米中の問題はかなり解消されるわけで、最小限の譲歩で、
アメリカの中国に対する印象を良い方にガラッと変える可能性も出来てきましたね。
米中関係が好転、対照的にトヨタ、反捕鯨、イルカ、ハーグ条約、普天間と日米関係が最悪だと、イメージ、外交で日本は圧倒的に不利な立場に立たされるかもしれません。
Commented by nanashi at 2010-04-02 07:58 x
オバマとクリントンの戦いは、中国叩きを優先するか日本叩きを優先するかの違いではないかと以前に言いましたが、
鳩山のせいで、アジア軍は総崩れですね。中国だけでは戦線を維持できない。
韓国は、戦前の蒋介石の役回りを演じているし。
白人の勝ちですね。
Commented by elmoiy at 2010-04-02 20:31 x
>ただしこれを「信じたい」という彼らの欲望も私は否定したくないんですよね(笑

人間は所詮、利益によって動くという説明は――国際政治を学んでいると、しばしばこのようなシニカルな考えに陥りますが――
人間の行動を十分に説明するものではないですね。

スペイン人によるキリスト教の布教、イギリス人による“文明化の使命”、日本人の“大東亜共栄圏”“白人からのアジア解放”、これらは富への欲望と理想主義という、相反する動機が結びついていたわけですから。
Commented by nanashi at 2010-04-03 06:51 x
人権だの民主だの自由だの平等だのは、植民地主義者の新しい言葉ですよ。
基本は、介入の口実です
by masa_the_man | 2010-03-31 23:52 | 日記 | Comments(14)