戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28

リアリズムの共通項

今日の甲州は一日中雨でして、気温もかなり低めでした。これほど寒いと今週末までに花見はできるようになるんでしょうか?

さて、猛烈な忙しさでてんてこ舞いの毎日ですが、ある場所でリアリズムについて簡単に講義することになりまして、そのために久々に昔読んだ教科書なんかを引っ張り出して読んでおりました。

するとこの分野では古典的なロバート・ギルピンのリアリズム擁護論をNeo Realism and Its Critics で「再発見」。

この中に「リアリズムの共通項」として彼は三つの想定をあげているのですが、これがなかなか参考になったので、ここにメモ代わりに記しておきます。

1、国際関係は本質的に紛争が起こりやすい
2、人間は集団をつくって行動する
3、あらゆる政治活動にはパワーと安全保障をもとめる人間の動機がある

ということです。ちなみにジョセフ・“ソフトパワー/日本大使になりそこねた”・ナイの場合は、

1、国家
2、軍事力
3、安全保障

と言っておりますが、他の本でも、

1、国家中心
2、サヴァイヴァル
3、自助

ということになっております。いろんな人がいろんなことを言っているわけですが、究極的なところで共通しているのは「人間(社会)には欠陥がある」と認めているところでしょうか(苦笑
Commented by nanashi at 2010-03-26 08:04 x
人間個人は本性的に欲を制することが難しいということですね
ただ、世代とか長期を考えてみると、生物学的に抑制機構を持っていたり、集団内では社会的に抑制が働いて文化的にその機構が蓄積されていく可能性もある。日本文化みたいに。
短期をリアリズムで考えて、暴発を抑制して行き、中長期で生物的社会的な自律性を期待するというのもアリかもしれない。
それが一番必要なのはアメリカなのは言うまでも無い
Commented by 柴崎力栄 at 2010-03-26 08:14 x
1、人間は集団をつくって行動する
2、あらゆる政治活動にはパワーと安全保障をもとめる人間の動機がある
3、国際関係は本質的に紛争が起こりやすい
---
論理的な展開だと上記の順番になります。さらにつぎの前提が無言のうちに存在しているのでしょう。
---
0、人間は地球表面を生存圏とする生物種である。
Commented at 2010-03-26 08:42 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by elmoiy at 2010-03-26 16:19 x
>究極的なところで共通しているのは「人間(社会)には欠陥がある」と認めているところでしょうか(苦笑

リベラリストたちは、その欠陥を進歩によって埋められると考えているのでしょうね。

ところでE・H・カーは国際政治学では「リアリスト」に分類されますが、その一方で彼は「進歩」への希望を捨てたくないという思いがあり、それがソ連の社会主義・計画経済に対する過大評価につながったようです。(もっともカーはソ連のことを無条件に賛美しているわけではなく、その暗部にも触れており、多くの犠牲を伴いながらもそれは進歩だったという立場をとっているのですが)

>1、国家中心

この説には、主権国家自体が近代ヨーロッパで誕生したものなので、時代や文明圏を超えて適用することができないという欠点が。
Commented by WIZARD03 at 2010-03-26 19:38 x
私が思うにリアリズムの原点は、人間とはアウストラロピテクスの時代から、敵を殺して勝利することで生き残った者たちの子孫であることを認めることから始まると思うのです。
手段を選ばず敵を倒した者だけが生き残れる、というのが人間社会の不変の真理です。
そして勝利した者だけが自らの「殺害行為」を正当化する特権を得るという歴史の真実を大多数の日本人は自覚していません。
教育を他国に握られる損失の大きさが今になって日本列島を襲っていると私は思います。
Commented by Oink at 2010-03-26 20:46 x
>ちなみにジョセフ・“ソフトパワー/日本大使になりそこねた”・ナイの場合は

どうでもいいのですが、ナイ氏は心の底から駐日大使にならなくてよかったと思っているはずですよ。

1、国家
2、軍事力
3、安全保障

1、国家中心
2、サヴァイヴァル
3、自助

見事に現在の日本政府とメディア、国民の関心を呼ばなそうなものばかりですね。

韓国政府、メディアが取り上げている「安重根の遺骨」がというニュースは何なんですかね?
21世紀の安重根が再び出てきたら、困るのは韓国政府だと思うのですけど。
Commented by その筋の人 at 2010-03-26 23:43 x
>1、国際関係は本質的に紛争が起こりやすい

おおっ!個人的には名言ですね。亡国もとい某国の首相に聞かせてやりたい台詞です。

>ジョセフ・“ソフトパワー/日本大使になりそこねた”・ナイ

ナイ氏は、確か日本大使を「断った」と聞いていたのですが、「なりそこねた」が正しかったのですか!?
Commented by 柴崎力栄 at 2010-03-27 01:00 x
elmoiyさんの「この説には、主権国家自体が近代ヨーロッパで誕生したものなので、時代や文明圏を超えて適用することができないという欠点が」は、そうでしょうか。「国家中心」の国家に、歴史的国家の諸類型を代入した場合、それぞれに命題として成立するはずです。

権力関係は、資源の希少性があるところに希少性をめぐるコントロールの必要から生起し、国家としての性格を示すところまでゆくことがある。歴史的にはそんなところのはずです。
Commented by Oink at 2010-03-27 01:14 x
「隊員頑張ってる」「賛美、最も危険」新旧防衛相が応酬
ttp://www.asahi.com/politics/update/0311/TKY201003110247.html
 北沢氏は「自衛隊を賛美して甘えの構造をつくることが最も危険だ。
自衛隊が頑張っているからすべてがいいとなれば政治の存在がなくなる。
昭和の陸海軍の歴史でも明らかだ」と反論。

防衛省:前連隊長発言を擁護 陸自3佐を処分 1尉も指導
ttp://mainichi.jp/select/jiken/news/m20100325k0000e040046000c.html

防大卒業式で「防衛費削減演説」? 最高司令官・鳩山首相が力説
ttp://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100322/plc1003222025003-n1.htm
「私が言いたいことは自らが活躍することになる、この世界のことを正しく知れということだ」

国家公務員:早期退職98人 「定年まで」は遠く
ttp://mainichi.jp/select/seiji/news/20100324ddm005010115000c.html
▽防衛省36人
Commented by Oink at 2010-03-27 01:23 x
韓国海軍の哨戒艦が沈没したとか。

首相「東アジア共同体構想を現実に仕立てる」
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100326-00000590-san-pol

北方四島を領土とせぬ地図制作者罰せよ ロシア上院議長
 この会議にはボロダフキン外務次官も参加し、「日本による北方四島の領土要求はロシアにとっての脅威だ」と発言。政権が交代しても領土交渉のスタンスが変わらない日本側へのいらだちを見せた。
ttp://www.asahi.com/international/update/0320/TKY201003200305.html

★対日戦勝記念日を法制化へ ロシア、北方領土要求けん制か
ttp://sankei.jp.msn.com/world/europe/100326/erp1003262039004-n1.htm
Commented by nanashi at 2010-03-27 04:16 x
現在アジアでまともなのは中国だけ
今年に入り 中国はすでに2度も日本を助けた
Commented by としより at 2010-03-27 10:49 x
>権力関係は、資源の希少性があるところに希少性をめぐるコントロールの必要から生起し

日本のエライ人はこのことが十分に理解できて無い気がします。
市場モデルのような人々の自発的な関係だけでどうにかなると
思っているような。
一方で若いもんには本人の適性と希望ってのは食い違うんだと
説教するんですが。
Commented by nanashi at 2010-03-27 12:22 x
毎日が苦痛
新聞も読みたくない
テレビも見ない
ネットも時事関係は見ないようにしている
左翼とアメリカの影がない趣味の世界に浸るだけだ
苦痛
Commented by masa_the_man at 2010-03-27 15:30
nanashiさんへ

>人間個人は本性的に欲を制することが難しいということですね

そういうことになりますな。それが苦しみの元、といったら仏教的かもしれませんが。

>集団内では社会的に抑制が働いて文化的にその機構が蓄積されていく可能性もある

ありますね。

>一番必要なのはアメリカなのは言うまでも無い

しかも日本はある程度その欲に依存しているところがあるから困ったもんですよね(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-03-27 15:32
柴崎さんへ

>論理的な展開だと上記の順番になります

たしかに。

>人間は地球表面を生存圏とする生物種である。

これはまさに地理ですね(笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-03-27 15:33
waterlooさんへ

>私の中でリアリズムといえば、この本

なるほどー、たしかにこれはそうかも(笑)

>言葉より前に政治が有った

アリストテレスはこれですね。「政治的動物」ですから。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-03-27 15:36
elmoiyさんへ

>リベラリストたちは、その欠陥を進歩によって埋められると考えている

ありますね。

>その一方で彼は「進歩」への希望を捨てたくないという思いがあり、それがソ連の社会主義・計画経済に対する過大評価につながった

実は彼はリアリストもちゃんと批判しているんですよね。そういう意味では「パワーを理解していた批評家」ということにはなるかもしれません。

>この説には、主権国家自体が近代ヨーロッパで誕生したものなので、時代や文明圏を超えて適用することができないという欠点

それがあるので、ギルピンも「これが都市国家からネーションステートまで適用できる」と言わざるをえなかったのかも知れません。そうすればアルカイダやタリバンにも適用できるということで。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-03-27 15:38
WIZARD03さんへ

>人間とはアウストラロピテクスの時代から、敵を殺して勝利することで生き残った者たちの子孫であることを認めることから始まる

おおっ、たしかにそうですなぁ。

>そして勝利した者だけが自らの「殺害行為」を正当化する特権を得るという歴史の真実を大多数の日本人は自覚していません。

なんとなく争いなく生き残れてしまいましたからねぇ

>教育を他国に握られる損失の大きさが今になって日本列島を襲っていると私は思います。

ありますね。まあこれからそれを知ることになるでしょう、というのが私の近著の結論でもあります。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-03-27 15:40
Oinkさんへ

>ナイ氏は心の底から駐日大使にならなくてよかったと思っているはずですよ。

なるほど(笑

>見事に現在の日本政府とメディア、国民の関心を呼ばなそうなものばかりですね。

そうなんですよね。私もあらためてここに書いて妙に納得してしまいました(苦笑)私はかなり不人気な学問やってます。

>「安重根の遺骨」がというニュースは何なんですかね?

「神話」です。これについては3日の講演会の大きなテーマですのでそのときに語ろうかと。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-03-27 15:42
その筋の人さんへ

>亡国もとい某国の首相に聞かせてやりたい台詞です。

まあ聞く耳もたないでしょうなぁ(苦笑

>ナイ氏は、確か日本大使を「断った」と聞いていたのですが、「なりそこねた」が正しかったのですか!?

これがどうもはっきりしないのです。このポストは論考賞的な面がかなり大きいので。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-03-27 15:44
柴崎さんへ

>権力関係は、資源の希少性があるところに希少性をめぐるコントロールの必要から生起し、国家としての性格を示すところまでゆくことがある。歴史的にはそんなところのはずです。

そうですね。地政学ではないですが、とにかくこの世の中には不平等が自然的に発生しますので、それが紛争につながるということになります。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-03-27 15:48
Oinkさんへ

>自衛隊が頑張っているからすべてがいいとなれば政治の存在がなくなる。

ちょっと見ているところが(苦笑

>防大卒業式で「防衛費削減演説」? 最高司令官・鳩山首相が力説

ほかの国じゃなかなかありえない問題ですな(苦笑)

>韓国海軍の哨戒艦が沈没したとか。

これは事件ですよねぇ。私もびっくりしました

>「日本による北方四島の領土要求はロシアにとっての脅威だ」と発言。政権が交代しても領土交渉のスタンスが変わらない日本側へのいらだちを見せた。

そういう意味では一貫しているところもあるわけで(笑

>対日戦勝記念日を法制化へ ロシア、北方領土要求けん制か

おおっ、ここでも「神話」づくりが(笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-03-27 15:49
nanashi さんへ

>今年に入り 中国はすでに2度も日本を助けた

これをもう少し説明していただけないでしょうか?コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-03-27 15:51
としよりさんへ

>日本のエライ人はこのことが十分に理解できて無い気がします。

たしかに(苦笑

>一方で若いもんには本人の適性と希望ってのは食い違うんだと説教するんですが。

この矛盾を若い人たちはなんとなく感じているんじゃないでしょうか。コメントありがとうございました
Commented at 2010-03-27 15:56 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by masa_the_man at 2010-03-27 15:58
waterlooさんへ

>時間が出来たらやり直した方が良さそうです。

いや、かくいう私もわけのわからん授業のあとの独学ですから、あんまりたいしたもんじゃありません(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by at 2010-03-28 16:16 x
Special relationship between UK and US is over, MPs say
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/8590767.stm

国同士の関係で特別は無いしなぁ・・・
日本もアメリカが守ってくれるなんて神話をいつまで喧伝し続けるんだろうか。
Commented by elmoiy at 2010-03-28 16:17 x
>「国家中心」の国家に、歴史的国家の諸類型を代入した場合、それぞれに命題として成立するはずです。

そうですね。ただ、倭寇のように、中世東アジアの基準でも“国家”とはいえない集団が、国際政治に大きな影響を与えた例もありますので。
Commented by ぱんだ at 2010-03-28 19:21 x
リベラリスト(コヘイン、ナイ、ファン・クレフェルト)なんかは、リアリズムが国家中心主義であるとよく批判しますが、リアリスト(ミアシャイマー、シュウェーラー、グレイ)。は、そうではないと反論しますね。真相は、どうなんでしょうか。リアリストによる(アクターが国家ではない)内戦の研究なんかもありますが。
Commented by masa_the_man at 2010-03-29 00:06
派さんへ

>国同士の関係で特別は無いしなぁ・・・

まあないですね(苦笑

>日本もアメリカが守ってくれるなんて神話をいつまで喧伝し続けるんだろうか。

これは「神話」であるからむしろいい、という点があるわけで(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by 柴崎力栄 at 2010-03-29 00:06 x
Makers of Ancient Strategy: From the Persian Wars to the Fall of Rome という題名の本のお薦めがメールで来たので、思わず注文してしまいました。古典古代世界と現在とを比較するという世界観がそれなりに西洋では現実性をもって受け取られているのでしょうか。
Commented by masa_the_man at 2010-03-29 00:08
elmoiyさんへ

>倭寇のように、中世東アジアの基準でも“国家”とはいえない集団が、国際政治に大きな影響を与えた例も

かれらは「非国家主体」の先駆けだったわけで(笑)ただしそうなるとギルピンのいう「集団的という単位で行動する人間」という命題はくずれませんね。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-03-29 00:10
ぱんださんへ

>真相は、どうなんでしょうか。

これは「どっちも正しい」ということになるのかも知れません(苦笑

>リアリストによる(アクターが国家ではない)内戦の研究なんかもありますが。

これはパップとかポーゼンのことですよね。彼らはミクロなレベルにアナーキーなどのリアリストのロジックを見ているところで時代の変化に対応しているような。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-03-29 00:12
柴崎さんへ

>Makers of Ancient Strategy: From the Persian Wars to the Fall of Rome という題名の本のお薦めがメールで

これはたしかによさげですなぁ。

>古典古代世界と現在とを比較するという世界観がそれなりに西洋では現実性をもって受け取られているのでしょうか。

それはどうなのかわかりませんが、私の先生などは昔のほうが現在の問題に対するバイアスがかかっていないから良い、という立場ですね。そこをうまく利用したのがルトワックなのかも知れませんが。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2010-03-26 03:06 | 日記 | Comments(34)