戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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思考停止と判断力

今日のイギリス南部はまた曇り時々雨でしたが、とりあえずここ数日に比べてやや気温は上がりました。

さて、「思考停止」についてあえて挑戦的な話をしておりますが、またここから一歩先の話を。

コメント欄のご意見をうかがっていると、「思考停止というネガティブな言葉は使うな」というものや「イチローだって完全に思考停止はしていない」、「彼の目指している価値観がよいから尊敬される」、「成功しているから尊敬される」というようなものがあり、どれも参考になるものばかりです。

たしかに「思考停止」という言葉はネガティブですが、私はあえて「芯のブレていない人間は尊敬される」といいたいわけであり、これはネガティブにもポジティブにもとらえることができるということを言いたかったのです。

これを極端にいえば、「ガンコ」と「覚悟」は表裏一体、という感覚なんですが、どちらもある程度のところで「思考停止」している、つまり「迷いを断ち切っている」ことは事実なんですよね。

私がコメントを見ていて興味深かったのは、この「思考停止」の場所をどこにもっていくかというところが勝負だ、というニュアンスのものだったのですが、たしかに人生の場合にはどこで迷いを断ち切って覚悟を決める(=思考停止をする)のかという判断が重要になってきます。

よって、いわゆる「成功」というものを収めるために必要になってくるのは、私が数日前から論じている「思考停止」の他にも、「どこで思考停止をするか」と言う判断が重要になってくるわけです。

ご存知のように、私は偶然にも戦略色の強い英語の本を翻訳する機会に恵まれてきたわけですが、これらを何冊か訳したものの身として常に気になるのは、この戦略の「判断」の部分であり、いわば「思考停止をどこで行うのか」という問題です。

たとえばメジャーリーガーのイチローは、人生のどこかで「野球で生きて行く」という判断をしたおかげであのように大成功したわけでですが、そのような判断をするということは、その時点で「思考停止」を行うという決断をしたということに他なりません。

ところが問題なのは、その「思考停止をしよう」という判断が本当に正確なのかどうかというのは、本人にも周りにも、絶対に確信をもって判断できないという点です。

さらにやっかいなのは、その時は正しくても、結果的に間違っているか、もしくはその時は誤ったようにみえても10年後には正しくなったり、もしくは10年後に正しくても20年後には間違っていると判明するように、「正しい答え」かどうかは、とりあえずその判断を行う時点では究極的にはわからない、という点です。

これは戦略論でもまったく一緒です。その時は「良い判断だ」と思っていても、とくに戦争や政治の世界では、それが絶対によい結果を残すことになるのかどうかというのは「歴史家の判断」になりますし、その歴史家による評価でも、年を経るごとにどんどん変化していきます。

このような混沌とした状況を考えてくると、やはり一番重要なのはやはりどこで「思考停止」すればいいのかという「判断力」であることになります。

論文を書く時間がなくなってしまうので、この続きはまた明日。
Commented by もこたん at 2010-02-17 11:38 x
>その「思考停止をしよう」という判断が本当に正確なのかどうかというのは、本人にも周りにも、絶対に確信をもって判断できない

これを利用して、相手の思考停止しているポイントを突いて揺さぶる、といういじわるができますね。
Commented by nanashi at 2010-02-17 11:58 x
信念とか信条の体系というのは、理屈でゆさぶりを掛けても意味がない効果が無いというのが本質なんですよ。
俺は、こうやってここまでやってきた
アメリカはこうやってここまでやってきた
というところで、生物としての自己肯定性に根ざしているんだから
信念や信条に訴えかけるには、
それで、子供の未来が守れるの?
それで、アメリカの未来が守れるの?
という揺さぶりだけなんですよ。
労働なき富で唯生きてきた鳩山に子供の未来を預けていいの?
戦前の日本の匂いがしない小沢に日本を任せていいの?
嫌な感じというのは生物として生理的に感じるんですよ
Commented by elmoiy at 2010-02-17 12:12 x
>その時は「良い判断だ」と思っていても、とくに戦争や政治の世界では、それが絶対によい結果を残すことになるのかどうかというのは「歴史家の判断」になりますし、その歴史家による評価でも、年を経るごとにどんどん変化していきます。

この典型がマルクス主義ですね。

もっとも、最近のサブプライム・ローン問題やリーマン・ショックによって、ミルトン・フリードマンの新自由主義も旗色が悪くなっていますけれど。
Commented by もこたん at 2010-02-17 12:12 x
>nanashiさん
あとは、信じていたのに痛い目を見た、という現実だったり。
中には結婚詐欺師を信じ続ける人もいますが。
Commented by ガチンコファイトクラブ at 2010-02-17 23:35 x
いよいよ話が佳境に入ってきましたね、大変勉強になります。

結局、人間の行為に関する「絶対に正しい判断(思考停止)」などあり得ないわけですし、「誤った判断」や「失敗」であっても、そのことが後々には本人にとってプラスの効果を生むこと(当然、逆パターンも有り)も有り得るわけですから、何事かを「決断する」ということは本当に難しいです。

私の場合は、一通り複数の選択肢を自分なりに比較検討して考えた後、過去の自分や他人の経験に照らして妥当だと思われるものを選ぶことにしています。大きく言えば、歴史と伝統に基づいて判断するということになるのでしょうか。

自分も若いころはそうでもなかったのですが、最近は理屈では解決不可能な問題は経験則に基づいて「アバウトに」判断するしかないのかなと一種あきらめの境地に達しております(笑)。「ま、失敗しても別にいいじゃん、必勝法があるわけでもないし」という感じで・・・。ひとつ付け加えるならば、嫌だなと思うことでも、とりあえずポジティブに考えるということですかね。
Commented by masa_the_man at 2010-02-18 02:19
もこたん さんへ

>相手の思考停止しているポイントを突いて揺さぶる、といういじわるができますね。

議論に強い人というのは、だいだいこれをやってますね。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-02-18 02:30
nanashiさんへ

>信念とか信条の体系というのは、理屈でゆさぶりを掛けても意味がない効果が無いというのが本質

だから「思考停止」なんですよね。

>生物としての自己肯定性

というか、アイデンティティーそのものですね。

>という揺さぶりだけなんですよ。

感情に訴えかけるという点ですが。

>嫌な感じというのは生物として生理的に感じるんですよ

しかし小沢を好きな人も実際にいるわけですから困りますよね(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-02-18 02:32
elmoiyさんへ

>この典型がマルクス主義ですね。

まさにその通りですなぁ。つい数十年前まですごかったのに。

>ミルトン・フリードマンの新自由主義も旗色が悪くなっていますけれど。

しかしアメリカのティーパーティー系の奴らではオーストリア学派の復活も見られるんですよね。右と左の正反対に動きが出ているというか。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-02-18 02:33
もこたん さんへ

>信じていたのに痛い目を見た、という現実だったり。

これは「思考停止」からの目覚めになりますな。

>中には結婚詐欺師を信じ続ける人もいますが。

それは停止から逃れられたくないというわけで(笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-02-18 02:36
ガチンコさんへ

>佳境に入ってきましたね

これからちょっと横綱論に絡めていくつもりです(笑

>何事かを「決断する」ということは本当に難しいです。

結局私の先生が言っていることもこれなんです。なんだか救いがない感じですが(苦笑

>大きく言えば、歴史と伝統に基づいて判断するということになるのでしょうか。

そうなるんでしょうな。人間には過去しか参照にできるものはないですから。

>「アバウトに」判断するしかないのかなと一種あきらめの境地

これも「積極的な思考停止」ということで(笑

>嫌だなと思うことでも、とりあえずポジティブに考えるということですかね。

ここまでくると、もう直感しかなくなってくるんですよね。コメントありがとうございました
Commented by Mitaka at 2010-02-26 19:11 x
遅レスですが、
 第44回スーパーボウル、コルツ対セインツでのひとこま
http://www.youtube.com/watch?v=ixAEZfzlYhw
3:55のところでのコルツのヘッドコーチの表情が、「思考停止」状態だと思いました。まさにフリーズ状態。
 セインツ側の捨て身の相手の意表を衝いたオンサイドキックで、コルツのヘッドコーチの顔をTVがこれでもかと言う位、ドアップで描写してましたね。
 ちなみにこのヘッドコーチの表情がアメリカ下院公聴会での豊田章男社長の表情とも似ているかなと・・・。
Commented by 園太暦 at 2010-02-27 00:04 x
日本人は、古事記と日本書紀とその系譜を引く文献、派生した文学や随筆が、西洋人にとってのBibleだと思います。しかし、聖書やその関連としてのギリシャ哲学、西洋神学、西洋政治思想、、日本人はこれらを読みますが、日本書記や古事記を日常的に繰り返し、血肉とすべく読んでいる日本人は、ほとんどいない。日本人の日本人たる由縁、まずはそこを押さえてから、余裕があれば、他の勉強をする、という順序ではないか。まず大和魂を鍛えろ,すべてはそれからだ、という趣旨のことを言ったのは、本居宣長です。
Commented by masa_the_man at 2010-02-27 01:24
Mitakaさんへ

>3:55のところでのコルツのヘッドコーチの表情が、「思考停止」

本当ですね。まさかやられると思わなかった表情ですな。しかしこれはよくまとまっているハイライトですなぁ。

>ちなみにこのヘッドコーチの表情がアメリカ下院公聴会での豊田章男社長の表情とも似ているかなと・・・。

しかしこのコーチのほうが明らかに運の良い顔はしてますが(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2010-02-27 01:25
園太暦さんへ

>日本書記や古事記を日常的に繰り返し、血肉とすべく読んでいる日本人は、ほとんどいない

いませんね(苦笑

>まず大和魂を鍛えろ,すべてはそれからだ、という趣旨のことを言ったのは、本居宣長です。

「精神」ですよね。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2010-02-17 09:47 | 日記 | Comments(14)