中東のシーレーンの危機? |
さて、昨日は火曜日だったので毎週恒例の火曜のランチミーティングだったわけですが、一つ衝撃的なことを耳にしたのでそれについて一言。
昨日のランチミーティングのテーマはパキスタン人のコースメイトによる「パキスタンのテロについて」という内容だったのですが、私が気になったのは彼女の発表よりも(失礼)、その前に例の米空軍大佐がちょっとだけ語った内容でした。
彼が言っていたのは、最近ロンドンやヨーロッパ内で参加している米軍高官の間で、「中東のシーレーンの保護をやめよう」という議論が高まっている、ということでした。
もちろん最近ミアシャイマーやウォルトなどのように、政治学者などは以前からこういうこと(オフショア・バランシングという大戦略など)を議論していたわけで、この分野に詳しい人にとってはまったく衝撃でもなんでもないわけですが、具体的に米軍の高官たちがこういう議論をしているということを聞いたのは初めてだったのでちょっとビックリ。
彼によると、こういう話が盛り上がってきたのは(彼が知る限りでは)ここ二年くらいのことでことであり、その議論の根拠としては「中東の石油はアメリカ全体の消費における割合はもう数%くらいまで下がってきた」という点。
もちろんイスラエルなどの問題があるわけですからそう簡単に「中東から撤退!」というわけにいかないでしょうが、とりあえず中東のシーレーンをパトロールするのはやめようという議論がかなり活発になってきていることは事実らしいです。
それで困るのは日本ですな。
たとえば日本のメディアでは去年の七月にイランが「洋上のパイプライン」のチョークポイントであるホルムズ海峡を「閉じるぞ!」と脅したことについて(誰に遠慮しているのかわかりませんが)ほとんど報じておりませんでした。
しかしアメリカ側の報道機関はしっかりと報道しておりまして、米海軍の高官も「閉じたら戦争だ!」と脅し返しております。
なぜこのような応酬が重要な意味を持っていたのかは地政学的な感覚がないとちょっと理解しにくいところでありますが、とにかく明確になったのは、日本のメディアの地政学感覚のなさでした(日本の商社や石油会社の中にはこの重要性を理解していた人がいたかも知れませんが)。
そして今回の経済危機なわけですが、大佐によりますと、やはり米軍内でもこの危機とオバマ政権のおかげで軍事予算の削減は不可避であるという雰囲気が生まれつつあり、必然的にこのような議論が出てきた、と言っておりました。
こうなると重要になってくるのは、米軍が中東からある程度パトロールを減らしはじめたらどうするかということ。日本は相変わらず原油を中東から9割ほど輸入しており、それを洋上のパイプラインであるタンカーで運んでいるからです。
近い将来に日本では「中東付近のシーレーンをどう守るのか」について真剣に議論をしなければならなくなる時がくるかも知れません。
ちなみに大佐は「今後の中東のシーレーンは、インド海軍にまだ力ないために中国海軍が守ることになる可能性がある」とあえて大胆に分析しておりました。ホンマかいな。


